世界の貧困問題
2022年9月2日公開、2024年3月13日更新
”お金”だけではない「貧困」の問題
国連開発計画(UNDP)では、貧困(ひんこん)を「教育、食料、保健医療、飲料水、仕事、住居、エネルギーなど、最も基本的な物・サービスを手に入れられない状態のこと」と説明しています。こうした困難な状況では、自分の人生に希望をみいだしたり、自信を持ったりすることも難しくなってしまいます。
引用:国連開発計画HP
「貧困」の種類・考え方について
貧困には様々な原因が複雑に関係しあっているため、ひとつの指標(数字)で計算・比較することはできませんが、以下の考え方・指標が主に用いられています。
「慢性的貧困(まんせいてきひんこん)」と「一時的貧困(いちじてきひんこん)」
慢性的貧困とは、貧困状態が何年も、何世代にもわたって長く続いている状態のことです。一時的貧困は、コロナ禍などの感染症の拡大や、災害や戦争、急激な景気の変化などの要因で一時的に貧困状態に陥ってしまうことです。
「絶対的貧困(ぜったいてきひんこん)」と「相対的貧困(そうたいてきひんこん)」
絶対的貧困とは、家が無い・着る服が無い・飲み水や生活用水が手に入らない・健康に生きるために必要な食べ物が手に入らないなど、「国や地域に関係なく、人間らしく生きるために必要最低限な生活水準や条件が満たされていない状態」のことで、主に開発途上国の貧困問題を考えるときに使われます。
具体的には、1日に使える生活費(食費以外にも日用品や水道光熱費や家賃なども含む)が2.15米ドル≒300円未満で生活していて、生きることが困難な状態をいいます。
こうした状態を「極度の貧困」と呼び、1日2.15米ドルの基準を「国際貧困(絶対的貧困)ライン」と呼びます。
※国際貧困ラインは2022年9月に1日1.90米ドルから1日2.15米ドルに更新されました。詳細は世界銀行HP(英語)をご覧ください。
※世界銀行では、中所得国の貧困状態を調べるためなどの目的で、国際貧困ラインである1日2.15米ドルのほかに、1日3.65米ドル(およそ500円)、1日6.85米ドル(およそ950円)の貧困ラインも設定しています。
※日本円への換算は1米ドル140円と仮定して計算しています。
一方、相対的貧困とは「ギリギリ生きていくことはできる生活水準ではあるものの、住んでいる国や地域の大多数(周りの人や世帯)よりも貧しい状態」を指し、先進国の貧困問題を考える際に使われます。詳しくは「日本の子どもの貧困」のページをご覧ください。
(参考)多次元貧困指数(Multidimensional Poverty Index:MPI)
考え方や計算方法が非常に複雑ですが、教育を受けていない・上下水道や電気が通っていない・テレビや冷蔵庫、電話、車などを保有していないなど、お金以外の貧困状況を数値化して調査・比較する「多次元貧困指数」という指標も、政府・国際機関などで用いられています。
参考ページ
内閣府HP「子供の貧困に関する新たな指標の開発に向けた調査研究 報告書 第2章 諸外国における子供の貧困に関する指標の状況(2.2.2)」(2017年3月)
世界銀行「貧困と繁栄の共有2020:運命の逆転」(英語) 全文pdf (29ページ・pdfデータ上では51ページ)
知っていますか?
世界で極度の貧困状態で生活している人の数
1990年以降、緩やかに減少し続けていますが、2020年から続いているコロナ禍や、戦争・紛争、異常気象の増加・激化により、この歩みが停滞・後退していると推計されています。
引用
世界銀行ブログ 「September 2023 global poverty update from the World Bank: new data on poverty during the pandemic in Asia」(2023年9月20日、英語・表1) または世界銀行データベース「Poverty & Inequality Platform」(英語)
貧困の格差
イメージ画像 (C)Getty Image
地域別格差
極度の貧困状態で生活している人はサブサハラ・アフリカ地域(ナイジェリア・コンゴ・エチオピア・タンザニアなど)、次いで南アジア地域(主にインド・バングラデシュ)に集中しており、前者が世界で極度の貧困状態で生活している人のうち59%、後者が24%(この2地域だけで83%)を占めており、貧困問題が特定地域に大きく偏っていることが分かります。(2019年時点の推計)
サブサハラ・アフリカ地域では、2019年時点で地域全体の人口のうちおよそ35.4%が、南アジア地域では、2021年時点で地域全体の人口のうちおよそ10.9%(ほぼ9人に1人の割合)の人が極度の貧困状態で生活していると推測されています。
また、サブサハラ・アフリカ地域に住んでいる極度の貧困状態の人は、統計数値の割合(%)だけ見ると、2011年当時は人口の41%が極度の貧困状態だったのが2019年では35.4%に低下しているため、一見減ったように見えますが、人数で見ると2011年は3億7,074万人だったのが2019年では3億9,737万人(旧国際貧困ライン:1日1.9米ドルの場合、2011年は4億420万人だったのが2018年では4億3,340万人)と増えてしまっています。これは、急激な人口増加(人口爆発)が起きているためです。
地方格差
2019年時点で、世界で極度の貧困状態で生活している人の81.2%が地方・田舎に住んでおり、残り18.8%が都市部に住んでいると推計されており、世界で極度の貧困状態で生活している人の数が地方に偏っていることがわかっています。
世代格差
先述した「世界で極度の貧困状態で生活している人」(現在の国際貧困ライン:1日2.15米ドル)の2019年の人数はおよそ7億人(当時の世界人口約77億人のうち約9%)でしたが、このうち52%(およそ3億6,400万人)が18歳未満の子どもでした。つまり、子どもの方がおとなよりも貧困に陥り易く、貧困の影響を受け易い状況になっています。
性別による格差
貧困から話題が少しそれますが(SDG1よりもSDG5、8に近い内容)、世界の男女間の賃金格差は2018年時点でおよそ20%=同じ量・内容・時間の仕事・作業をしても、女性は男性よりもおよそ20%少ない月給になっています。特に、日本の男女間の賃金格差はおよそ21.3%(2022年)と、先進国の中でも比較的大きな数値(OECD内では下から4番目)になっており、改善に向けた取り組みが続いています。
なお、これらの数値はフルタイム雇用や自営業の労働者の数値のみであり、全ての業種を合計したものなので、パートタイム(アルバイト)や非正規雇用の場合はより大きな格差が生じていたり、これらの数値よりも大きな賃金格差になっていたりしている業種もあります。
引用・参考
貧困状態になるとどうなるの?
生きていくために必要・重要な物資が手に入らない、社会サービスが受けられない
健康に生きていくために必要な食べ物が買えない
満足な栄養バランスや量の食事がとれず、飢えに直結してしまいます。特に子どもの場合は飢えによる栄養失調や、栄養バランスの偏りによって、心や身体が正常に発育・発達することができなくなったり、病気になりやすくなったりしてしまうため、子どもの貧困は特に深刻で早急に解決しなければならない問題です。
医療を受けられない
もし病気になっても、医療費や病院まで行くための交通費が払えないため医療を受けられず、そのまま亡くなってしまうケースも少なくありません。逆に、「病院がコミュニティ内や近くに無い・医療従事者や医療物資が不足している」ことなどのインフラ面や人的・物的資源の問題がコミュニティ全体の貧困の原因になっていることもあります。
(貧困から話が逸れてしまうのですが、医療格差問題に興味がある方は、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」などの用語を調べてみてください。)
教育を受けられない
学費や教材費が払えず学校に通えなかったり、学校に通えても空腹や栄養失調で勉強内容が頭に入らず、授業についていけなくなって中退してしまったりするケースが世界中で発生しています。
教育は貧困と深い関わりがあり、子どもが教育を受けられぬままおとなになると、安定した収入が得られる仕事に就くことが難しくなってしまい、貧困状態が子ども、子孫の世代まで受け継がれていってしまう「貧困の悪循環」や「慢性的貧困」にも直結してしまいます。
(詳しくは教育支援のページをご覧ください)
最近では、コロナ禍を受けた、急速なオンライン教育の導入によって、オンラインで授業を受けるためのスマートフォンやパソコンが買えない・電気代や通信費が払えずインターネットに接続できない(、そもそも地域に電気・通信インフラ自体が通っていない)ことで教育格差がさらに拡大している国もあります。
子どもが人権を侵害される
児童労働や人身売買の被害に遭う
家計を支えるため、早朝から深夜まで過酷な環境(性産業含む)で働かされたり、労働力や奴隷として売り飛ばされたりする子どもが世界中にいます。
(詳しくは児童労働の解説ページをご覧ください)
他にも、早く家庭から独立してもらうことで家計の負担を減らすなどの理由で、18歳未満で結婚させられる「児童婚」も起きています。(なお、児童婚は貧困以外にも、地域の慣習などの別の原因・背景も関わっています)
心の豊かさ(人生への希望や自己肯定感など)が失われてしまう
経済的に厳しい状況下での生きづらさから、自分に対する自信を失ったり、「頑張っても報われない・自分にはできない」と思ってしまうなど、心や考え方がネガティブになってしまうことで、メンタルヘルスの悪化や心の成長・発達の阻害のほか、おとなになってからの生き方にも悪影響が及び、やがて社会や未来も暗くなってしまいます。
(詳しくはウェルビーイング事業説明ページをご覧ください)
こうした状況は、「子どもの権利条約」で定められている「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」を侵害しているともいえるのです。
(詳しくは子どもの権利条約解説ページをご覧ください)
貧困が国の混乱に繋がることも
昨今、戦争・紛争の影響で貧困に陥るケースが急増していますが、高い税金や不平等な制度など、政治に対する不満から内乱や紛争が起きるケースもあります。その中で、子どもをだまして戦闘に参加させる「最悪の形の児童労働」も発生することがあります。
世界の貧困問題とSDGsとの関わり
国際社会が定めた持続可能な開発目標「SDGs」では、17の目標の中で「貧困をなくそう(NO POVERTY)」を1番に定めています。
このSDG1には、さらに7つの細かいターゲットが設定されていますが、特に私たちにとって身近で重要なものを抜粋して記載します。
・貧しく弱い立場にある人たちを守り支えるためにも、医療などの必要なサービスを受けられるようにする
・貧しい人が、仕事や土地を得られ、新しい技術を使い、会社を創ることができるようお金や人材などを使う
引用:当団体監訳 ルビ付きSDGs一覧表(無料教材)
貧困はなぜ起きるのか?
貧困は様々な要因が複雑に絡み合って発生しているだけではなく、貧困状態が原因で別の社会問題が起きていることもありますが、食糧や生活物資、学校・病院が無いことが貧困に繋がっているなど、貧困(SDG1)とそのほかの社会問題(SDGsの各ターゲット)のそれぞれが「原因と結果の関係」になっていることが少なくありません。
つまり、貧困問題を改善・解決すれば、SDGsの大半の目標の改善・解決にも繋がり、逆に貧困(SDG1)以外の目標(社会問題)を改善・解決すれば、貧困の解消・撲滅・防止にも繋がるともいえるでしょう。
ここでは、SDGsの番号に沿って貧困の原因の一部を説明します。
病気・ケガ、感染症・疫病の拡大
ケガや心や身体の病気で働けなくなったり、現在も続いているコロナ禍のような感染症・疫病の拡大に伴う経済不況で失業したりして貧困状態に陥ってしまいます。
インフラ整備や物資・資源の不足・整備の遅れ
例えば、家や地域に水道やお手洗いがないことで、不衛生な水や環境にやむなくさらされたりすることで病気にかかりやすくなってしまうことが貧困に繋がっていることもあります。さらに、病気になったりケガをしたりしても、近くに病院がないことで治療できず、働けない状態が長期化して貧困がさらに悪化してしまうという悪循環が起きているケースもあります。
参考:フリー・ザ・チルドレン・ジャパン ブログ記事「Freedom from Disease」(2012年5月4日)
他にも、「地域に農地はあるが水道がないので作物がうまく育たない」「学校はあっても校内にお手洗いや水道、女子用のお手洗いがない、教材・文房具・教員が足りない」「通学路や道路が整備されておらず、通学やモノの輸送が難しい」「家・地域に電気やネット回線が通っていないので、オンライン教育を受けたり自習したりすることができない」といった、インフラ整備の不足や遅れなどの理由で貧困に陥ってしまうケースもあります。
参考:フリー・ザ・チルドレン・ジャパン ブログ記事
【今日は何の日?】11月19日 世界トイレの日 / World Toilet Day(2021年11月19日)
【ユースチーム・クラウドファンディング】ミンダナオ島学校修繕プロジェクト完了報告(2022年8月4日)
(翻訳記事)安全な学校で学びたい!:エチオピアのwash Kolati村に新しい校舎ができるまで(2019年5月22日) ※現在、エチオピアでの支援活動は行っておりません。
(翻訳記事)「道なき道」にそびえ立つ学校(2018年2月18日) ※現在、ハイチでの支援活動は行っておりません。
インド支援事業:支援する新しい村のご紹介!(2012年12月6日) ※インド・ラジャスタン州への教育支援事業は2021年をもって完了致しました。
ノウハウの共有・提供不足
せっかく広い農地いっぱいに作物を育てているのに、収穫量を増やすための基本的な手入れの方法を知らなかったため、収穫量が思うように増えず、生計を維持するために必要な収入が不足して貧困状態に陥っていた、というケースもあります。
もちろん、農業に限った話ではありませんが、収穫・生産量を増やすためのノウハウ(知識・技術)を身につけることで、貧困状態を脱却できるだけではなく、自ら生計を持続・継続的に維持できるようにもなります。
参考:フリー・ザ・チルドレン・ジャパン ブログ記事
エクアドル支援事業報告2020年夏版を発行しました(2020年9月30日)
(翻訳記事)荒廃したカカオ園の復活を目指して(2020年1月16日)
(翻訳記事)ハイチの村びとの健康と復興を支える菜園(2018年6月21日)※現在、ハイチでの支援活動は行っておりません。
(翻訳記事)空腹の連鎖をぶち壊せ!:ケニアの農村に住む父親の挑戦(2017年12月19日)
格差・差別などの人権侵害
身分・階級制度などの差別的・不平等な決まりや、人種・ジェンダー・障害などに基づく偏見・差別・格差や搾取・人権侵害行為によって、収入を得にくくなっていたり、基本的な社会サービス(学校・医療など)を利用しにくくなったりしているケースもあります。
なお、貧困問題と関係している格差には、賃金格差・情報格差(デジタル・デバイドと呼ぶこともあります)・教育格差など様々です。
自然災害
台風や大地震、火山噴火、作物の不作などの天災によって、財産や収入を失い、貧困に陥ってしまうケースが後を絶ちません。さらに、災害後の混乱や貧困に乗じて、被災した女性や子どもを狙った人身売買などの悪質犯罪も起きています。
参考:フリー・ザ・チルドレン・ジャパン ブログ記事フィリピンの大型台風の影で子どもが人身売買の被害に(2014年3月5日)
乱獲や気候変動・環境破壊による資源の枯渇
例えば、もし特定の種類の魚を乱獲(らんかく:魚や野鳥などの野生動物や自然に生えている植物をやたらとること)して、それらの魚が絶滅してしまったら、その魚を獲ることで生計を立てていた漁師などが収入を失うことになります。同様に、もし特定の山や森の木を一度に全て切り倒してしまったら、木が無くなるだけではなく、生態系も崩壊してしまうので、そこで生計を立てていた猟師や林業で働いていた人が収入を失ってしまいます。
もちろん、こうした人的な原因で海や緑の豊かさが失われることを防ぐため、魚を獲ったり、木を切ったりできる数には国・自治体・国際機関などによって制限が設けられていますが、特定の海域の海水温が変わったり、プラスチックごみが海に流れ着いたり、船の事故で油が海に流出してしまったりすることで、本来その海域に生息していた魚や動物がいなくなって獲れなくなってしまったり、酸性雨や台風の増加、有害なごみや化学物質の不法投棄による土壌・大気汚染などによって木や作物が枯れてしまったりするなど、気候変動・環境破壊の影響で収入を失い、貧困に陥ってしまうケースも増えています。
こうした自然の恵みが失われることで収入を失うのは、直接魚を獲ったり、植物を切ったり収穫したりすることで収入を得ている漁業・林業・農業などの人たちだけではなく、漁に使う船を手がける造船業者や、作業に使う機械を作る工具・機材メーカー、獲った魚や収穫した作物、切った木などを食べ物や木材などの商品へ作り変える加工業者、商品を運ぶ輸送業者、商品を売る販売業の人など、あらゆる分野で働く人たちも含まれるので、「気候変動・環境破壊」「海や緑の資源の枯渇」(SDG13~15)は、貧困(SDG1)とも密接な関係があるともいえます。
(貧困から話題が離れますが、産業やものの流れに興味のある方は「産業分類」「第1・2・3・6次産業」などの言葉で検索してみてください)
環境や生態系の破壊、気候変動を食い止めることでも、世界の貧困問題の解決に近づくことができるのです。
紛争・戦争
とても残念なことですが、近年、紛争・戦争によって、争いに無関係な人たちが家や財産を失ったり、教育や医療などの基本的な社会サービス、電気・ガス・水などのインフラが使えなくなったり、難民化したりすることで貧困状態へ追いやられてしまう問題が急激に増えています。
補足:本来、「戦争時は、敵国であっても、学校や病院、医療従事者などの重要な建物や人を攻撃してはならない」という決まり(学校保護宣言、国際人道法など)があるのですが、こうしたルールが破られてしまっているケースも後を絶ちません。
また、こうした戦争の影響は、争っている当事者国だけではなく、当事者国と貿易を行っている国にも及びます。
2022年8月現在、ロシアによるウクライナへの不当な戦争行為が長期化していることが大きな国際問題になっていますが、この戦争の影響で、多くのウクライナ国民が大きな被害を受けているだけではなく、(日本を含む)多くの国々でもあらゆるモノの値段が高くなり(急激なインフレが起こり)、売るものが無くなって仕事や収入を失ったり、これまで買えていたものが買えなくなったりしたことで貧困に陥る人も増えています。理由や詳細は長くなってしまうので割愛しますが、こうした戦争の影響で世界のモノやお金の流れが変わってしまうことで、各国の経済も混乱してしまうためです。争いや憎しみ・恨みはマイナスの結果しかもたらしません。
参考:フリー・ザ・チルドレン・ジャパン ブログ記事
【今日は何の日?】9月9日:教育を攻撃から守る国際デー(2020年9月9日)
【今日は何の日?】1月6日: 世界の戦争孤児の日/World Day for War Orphans(2021年1月6日)
【学生・ユース世代の参加・投票大歓迎】「SDG4教育キャンペーン2022」政党アンケート設問詳細解説(2022年4月15日)
NHK NEWS WEB「【まとめ】ウクライナ影響 世界で値上げが止まらない」(2022年4月1日)
支援のかたち
当団体は「国内外の貧困や差別から子どもをFree(自由)にする。」ことをミッションの一つとして掲げ、支援先のコミュニティや現地の人々がいつまでも支援に頼り続けることなく、自ら貧困の悪循環を断ち切り、持続的に生活していくことができるようにすることが大切だと考えています。
先述したように、貧困は様々な原因が複雑に関わり合うことで発生するため、貧困を解消するためには、様々な側面(分野)からの取り組みが必要であり、当団体は下記4分野の国際協力・支援活動の他、災害・紛争などの緊急事態発生時には支援先のニーズに応じた緊急支援事業を行っています。当団体の海外支援事業の詳細は国際協力事業のページを、緊急支援事業の詳細・実績は過去のブログ記事一覧及び国内緊急・復興支援のページをご覧ください。
教育 | 水 | 保健 | 収入向上 |
ケースストーリー:子どもたちへの保健・教育支援・母親世代への収入向上支援
(インド・西ベンガル州、2014年)
私たちフリー・ザ・チルドレンは、現地パートナー団体と協力し、児童労働や虐待、路上生活(ホームレス状態)から救出・保護された子どもたちのケアや学用品や奨学金、薬、食糧/料などの支給したり、母親世代の女性たちに生計を維持するためのヤギを提供するなどの支援活動をインドで行っています。(詳細はインド支援のページをご覧ください)
こうした支援を受けて教育を受けるようになり、後に政府関係の仕事へ就職した事例を抜粋して紹介します。
***
少年の父親は結核で3歳の時に亡くなり、母親は心の病を患(わずら)っていました。少年は末っ子で、2人の姉と1人の兄がいましたが、姉は誘拐されて行方不明になってしまいました。家庭に収入が無いため、少年は生きるために3歳の時から固い土の塊をレンガで砕く作業(日給は僅か15円)や、ヤギ飼いの仕事を夜明けから日暮れまで行っていました。ヤギ飼いの仕事では、もし1頭でもヤギがいなくなったら、雇い主から暴力を受けたり、食事を抜きにされたりするなどのひどい体罰を受けていました。
少年は5歳の時に、こうした過酷で非人道的な児童労働から救出され、現地パートナー団体が運営している養護施設「マクタニール子どもの家」へ保護されました。また、現地パートナー団体は彼の家族が収入を得て生計を維持できるよう、村で生活していた彼の母親へ2頭のヤギを提供する収入向上支援も行いました。
少年は「マクタニール子どもの家」で心身のケアや勉強や職業訓練を受けながら、同じような境遇の子どもたちとともに子ども時代を楽しみ、自分自身に対する自信や人生への希望も取り戻しました。
高校を卒業して家族のもとへ戻った彼は、現地パートナー団体の奨学金支援により大学も卒業し、政府関係の職業へ就職しました。
***
ストーリー全文は下記の報告記事をご覧ください。(2014年7月当時に行っていたクラウドファンディングのページに投稿された新着情報と同じ内容です)
ヤギ支援の詳細は下記のページをご覧ください。
その他支援実績一覧
組織沿革ページの「支援プログラム」をご覧ください。
世界の貧困の問題についてもっと学ぼう!
クリックすると詳細をご覧いただけます。
【今日は何の日?】10月17日:貧困撲滅のための国際デー/International Day for the Eradication of Poverty
動画「SDGsとインドの子ども達」(1:12~1:25) ※動画内の統計数値及び団体ロゴは公開当時のものです。
世界の格差問題を視覚的に学べるワークショップ教材「ワールドマップ」紹介動画
フリー・ザ・チルドレンの支援事業へ