【ユースチーム・クラウドファンディング】ミンダナオ島学校修繕プロジェクト完了報告
当団体子ども・ユースメンバー(当時)の有志が2019年8月16日~9月に実施・達成したクラウドファンディング「未来を創る教育を子ども達へ!~ミンダナオ島学校修繕プロジェクト~」がこの度無事に完了しましたので最終報告をアップ致します。
※Readyforでご支援いただいた皆様には、本記事と同じメッセージを8月4日にReadyforのアカウントへお送りしております。
<プロジェクトの詳細・背景・経緯>
本節は下記の動画、または2021年8月25日に開催した「フリー・ザ・チルドレン活動報告会 2021夏」の報告記事と同じ内容です。最新情報はこちら
【報告】8/25「フリー・ザ・チルドレン活動報告会 2021夏」/ 【ユースチーム・クラウドファンディング】ミンダナオ島学校修繕プロジェクト進捗報告(第二回)
フリー・ザ・チルドレン活動報告会 2021夏(2021年8月25日)アーカイブ動画
●プロジェクト開始に向けて(2019年2~7月)
当団体では、子ども・ユースメンバー有志が主体となって「チョコレートプロジェクト」(寄付つきチョコレートの販売)を行っています。
(コロナ禍などの諸事情で2019年から3年間休止していましたが、2022年2月からプロジェクトを再開しました。なお、本年販売分は既に完売・終売しております。)
「チョコレートプロジェクト」の売上は、「フィリピン国立盲学校の修繕(2017年)」や「紛争被災地(ミンダナオ島マラウィ市)の子どもたちの教育支援(2018年)」など、毎年異なるフィリピン支援活動に充てられており、2019年は「ミンダナオ島の老朽化した小学校の修繕」が支援対象になりました。
当時、現地のコミュニティに建設された小学校の校舎は築20年を迎えようとしており、
・土台や床、壁のコンクリートにはひびが入ったり穴が開いたりしていた
・トタン屋根が錆びついて穴が開き、雨漏りが酷く、雨が降ると授業をストップせざるを得なかった
・柱も白蟻に食い尽くされ、最早柱として機能していなかった
→うかつに動くと、校舎が揺れ、机や椅子・足が穴にはまり、事故や怪我に繋がりかない
という、危険と隣り合わせ、倒壊寸前の環境下で子どもたちが授業を受けていました。
(補足:写真はいずれも2019年2月に撮影したものです。)
しかし、2019年のチョコレートプロジェクトの売上:60万円だけでは学校の修繕に要する費用(約250万円)をカバーしきれなかったため、「READYFOR」でクラウドファンディングプロジェクトを急遽立ち上げることにしました。このクラウドファンディングは、READYFOR(株)の専門キュレーターからの全面的なサポートを受けつつ(フルサポートプラン)、当団体の子ども・ユースメンバー(当時)の有志15名が主体となって実施・運営しました。
当時のプロジェクトページ:https://readyfor.jp/projects/ftcj-youth
●クラウドファンディングプロジェクトの実施(2019年7~9月)
2019年7月下旬からお盆前の約半月でプロジェクト期間中の広報スケジュールや広報素材の制作などの準備を行い、2019年8月16日から9月30日までの期間でクラウドファンディングを実施しました。プロジェクト期間中は、メンバーの自己紹介や、フィリピンの現状、SDGsや子どもの権利など、プロジェクトに関連する情報を週2回程度の頻度で新着情報として投稿していました。
当時の新着情報一覧:https://readyfor.jp/projects/ftcj-youth/announcements
プロジェクト中盤で支援額が伸び悩んだ時期もありましたが、プロジェクト終了3日前の2019年9月27日の夜に190万円の目標を達成しました。そこで、現地の校舎だけではなく、お手洗いの修繕に必要な費用を追加した220万円をセカンドゴールに設定し、プロジェクト期間中最後の週末(2019年9月28~29日)にお台場で開催された、「グローバルフェスタJAPAN2019」でもプロジェクトのチラシ配布や寄付の呼びかけなど行い、プロジェクトメンバー以外の子ども・ユースメンバー(当時)にもご協力いただきました。
●プロジェクト終了~コロナ禍による停滞(2019年10月~2020年)
クラウドファンディングプロジェクトは、セカンドゴールの220万円には届かなかったものの、最終的に211.5万円のご支援をいただきました。
2019年10月から年末にかけて、支援者へのお礼状やグッズ系のリターンの発送対応などを行いました。
※スライド内の画像の商品は、当団体ウェブショップからもご購入いただけます。(時期により欠品している場合がございますが何卒ご了承ください)
当初の予定では、2020年4月から修繕工事を開始する予定でしたが、
・コロナ禍の発生を受け、フィリピン政府が日本政府よりもはるかに厳しい外出制限措置を講じたため、現地パートナー団体のスタッフが首都マニラからミンダナオ島まで足を運ぶことが困難になってしまった
・コロナ禍とは別に、現地コミュニティの責任者だった方が急逝し、後任への引継や、現地パートナー団体と現地コミュニティとの信頼関係の再構築の必要が生じた
・フィリピン政府は工事の実施にも厳しい制限を課したことに加え、時短・少人数勤務推奨による行政機能の低下により、工事に着手するための行政手続に時間(概ね半年)を要した
・コロナ禍に加え、フィリピンでは地震、台風、火山噴火などの天災も相次いだ(参考:2021年12月のスーパー台風「ライ」被災者への緊急支援報告)
ことで、校舎の修繕工事は丸1年手つかずのまま停滞してしまいました。
●1年越しの工事着手、3校舎修繕から校舎棟新築への計画変更(2021年5~9月)
2021年5月8日から修繕工事がやっとスタートしましたが、長引くコロナ禍に伴う資材・人件費高騰などにより、当初の「3棟の校舎をそれぞれ修繕する」という計画がコスト的に厳しくなったことに加え、修繕しようとしていた校舎が想定以上に老朽化しており、最早解体する方が(安全・コスト面双方から)良いという判断になったことで、「3棟の校舎をそれぞれ修繕する」という計画から、「修繕できる1棟は修繕して倉庫へ転用、残り2棟は解体、代わりに(日本の大型会議室のように)可動式パーテーションで3教室に区切れる大きな教室棟(幅7m×奥行き27m)1棟を新築する」という計画へ変更することになりました。
また、工事の作業員として、現地コミュニティの住民4名を雇用し、荷下ろし場から工事現場への資材・機材の運搬(修繕する学校の周辺は道路が整備されていないことに加え、昨今の気候変動で雨季の時期や雨の降り方が変わり、道がぬかるんで車両進入が困難になることも増えてきたため)や、地面の掘削などの単純作業をお願いし、給与の代わりに食糧を提供する支援活動も同時に実施しました。(この食糧支援に要するコストも、本クラウドファンディングで調達した資金から捻出しました)
2021年6~7月にかけて、フィリピンでも豪雨災害があり、資材運搬に使っていた唯一の道が被災したことで復旧に時間を要しましたが、その後の工事は順調に進み、2021年9月末に無事完了しました。
ここまでの経緯を、2021年8月25日に開催した「フリー・ザ・チルドレン活動報告会 2021夏」で説明・報告しました。
(新情報はここから)
●新校舎棟の完成・運用開始、竣工式の実施(2021年10月~現在)
新しく建てた校舎棟(下記画像)は完成直後の2021年10月から早速使用されているそうです。また、解体せず修繕した旧教室1棟も、工事が終わったことで資材置き場から資料・備品室へと役割を変えて引き続き使用されているそうです。(上記スライド「工事計画の変更」参照)
●竣工式・リターン除幕式開催(2022年3月3日)
建物の完成を祝う竣工(落成)式は当初2022年1月28日を予定していましたが、現地のコロナ禍が悪化したため、3月3日に延期して執り行われました。式典では国歌斉唱や式辞のほか、子どもたちによる歌やダンスが披露されたそうです。
また、この竣工式と併せて、30万円の支援コース限定のリターン「支援者さまのお名前を記載したメタルプレート」の除幕式も行われました。
※当初、READYFORのプロジェクトページには「支援者さまのお名前を記載したタペストリー」と記載していたのですが、コロナ禍で工事や資材のコストが嵩(かさ)んだことや、タペストリーを手配するために時間やコストを要することから、記名・現地の新校舎に掲示するものを、納品が早く、タペストリーよりも安価に手配できる「小型のメタルプレート」へ変更(結果としてグレードアップ)することになりました(該当の支援者様全員からご了承いただいています)。
●現地の子どもたちからのお礼状(リターン)の送付(2022年4月15日)
10・30万円の支援コース限定のリターン「ミンダナオ島の子どもたちからのサンクスカード」が3月末に現地から当団体事務所へ届いたので、和訳を添えて、対象の支援者様へ郵送致しました。
<お礼状の内容(和訳・抜粋)>
・先住民族の学生にとって、無料で教育を受けられることはとても貴重なことです。学校があのまま修繕されることがなかったら、私たちは学校に通うことができなくなっていたと思います。
・皆さんのご支援のおかげで私たちは勉強を続けることができ、両親やコミュニティのおとなの皆さんも喜んでいます。
・皆さんのおかげで私は小学校を卒業することができました。これからも、将来の夢を叶えるために、いただいたご支援を無駄にせぬように全力を尽くします。
●2021年度終業式・卒業式を開催(2022年5月30日)
現地の小学校では、5月30日に2021年度の終業式・卒業式が実施され、6年生5人が無事に卒業したそうです。
DepED(フィリピン教育省、日本の文部科学省に相当)によると、フィリピンの学校の2022年度は8月22日~2023年7月上旬を予定しており、(感染拡大防止対策を万全にしたうえで)対面授業も全面再開していく方針とのことです。(フィリピンの本来のアカデミック・イヤーは6月~翌年3月で、日本の夏休み・冬休み(年末年始除く)に相当する長期休暇がない代わりに4~5月を長期休暇としています。)
引用
まにら新聞「22年度新学期は8月22日開始へ 教育省が新スケジュール提案」(2022年4月21日)
CNNフィリピン支局「DepEd eyes Aug. 22 opening for next school year, more face-to-face classes」(2022年4月19日、英語)
まにら新聞「対面授業全面再開へ 8月22日からの新学期中に」(2022年6月2日)
ドゥテルテ・レガシー・サミット2022 フィリピン教育省パート(The People’s Television Network(フィリピン国営放送、日本のNHKに相当)のアーカイブ動画、英語)
●完成した校舎の紹介動画が現地から到着!(2022年6月22日)
3万円以上の支援コース(一部除く)のリターンとしていた「完成した学校紹介動画」の元データが届いたので、和訳字幕と、10・30万円のご寄付をいただいた方のお名前をエンドロールに記載し、編集した動画を当団体Youtubeチャンネルで限定公開しました。先述した校舎や竣工式の様子のほか、現地の学校やコミュニティの責任者、PTA会長、先生方へのインタビューが収録されています。
※この紹介動画はリターンのため、一般向けには非公開にしていますが、今後のイベントや出前授業・出張講演などで上映する可能性がございます。
●プロジェクト完了報告書を発行(2022年8月4日)
3万円以上の支援コースのリターンとしていた、「プロジェクトの活動報告レポート」を対象の支援者の皆様へお送りしました。(内容は本記事をpdf文書1冊にまとめ、スタッフコメントなどを追加収録したものです)
また、5万円以上(一部除く)のご寄付をいただいた支援者の皆様のお名前も巻末に記載しています。
※この報告書はリターンのため非公開です。
【プロジェクトの今後について】
コロナ禍という未曾有の事態により、当初1年で完結する予定だった計画が3年もかかってしまいましたが、皆様のご支援・ご理解・ご協力のおかげで無事にプロジェクトを完了することができました。改めて深く御礼申し上げます。今回のプロジェクトにより、倒壊寸前だった3つの校舎は、頑丈で立派な校舎棟+備品室へと建て替えられましたが、先述した「クラウドファンディングのセカンドゴール」として設定していた、現地の「お手洗いの修繕」がまだ残っています。当団体ではこちらの修繕費用についても、引き続き資金調達を続けております。引き続きのご理解・ご協力をどうぞよろしくお願いします。
<2024年6月18日追記>みなさまの温かいご支援により、無事に工事費用が集まり、新しいトイレが完成しました。誠にありがとうございます。後日、このセカンドゴールの件につきましても最終報告を公表致します。
<2024年8月2日12:50追記>セカンドゴールの件も最終報告を公開しました。
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(参考)お手洗いの整備の重要性については、下記の記事をご覧ください。