国際協力事業
私たちフリー・ザ・チルドレンのミッションのひとつめ
「貧困や差別から子どもをFree(自由)にする」
を実現するために、日本を含むさまざまな国で事業を実施しています。
フリー・ザ・チルドレンの国際協力事業
持続可能な支援
支援先のコミュニティがいつまでも支援に頼り続けるのではなく、現地の人々によって継続し、貧困を断ち切ることができるようにすることが大切だと、フリー・ザ・チルドレンは考えています。
そのため私たちは、それぞれのコミュニティの文化や、人々の自主性、アイディアを大切に尊重しながら、その地域の人々と協力して一緒に事業を実施しています。「協力してほしい」という人々からの要望がない限りは、プログラムを開始することはありません。
こうすることで、彼ら自身が問題意識を持って取り組み、成果を実感し、またコミュニティ全体の協力を得ながら事業を実施することができるため、支援が終了した後もコミュニティでずっと続けていける仕組みを整えることができます。
支援の「4つの柱」
貧困を生み出す要因は、複数あります。そのため、貧困をなくすための解決策は一つではなく、様々な側面から事業を行なわなくては、その地域の貧困を終わらせることはできません。
わたしたちは、貧困地域の人々が生きるために必要な基本的ニーズが満たされ、子どもが継続して教育を受けられるよう、以下の4つの分野を軸とした村の自立を応援するプログラムを実践し、持続可能なコミュニティづくりに取り組んでいます。
教育
コミュニティの貧困を終わらせることを考えるのであれば、子どもたちへの教育について考える必要があります。子どもに教育の機会を提供し、文字の読み書きや計算の仕方、自分の持つ権利などについて学ぶことは、貧困の負のサイクルを終わらせるため、そしてコミュニティ自立のために最も有効な手段です。
水
多くの国や地域で、家族のために水を汲みに行くことが子どもの役目となっています。村の中で衛生的な水にアクセスできるようにすることで、水汲みの時間を勉強する時間にあてることができます。また、不衛生な水が原因の病気の予防や、女の子が生理の時にも通えるよう、学校に清潔なトイレを設置することも大切です。地域の人々と協力し、持続的に衛生的な水が入手できるよう支援を行っています。
保健
子どもたちは、自分や家族が健康でないと学校に通うことができません。家族が医療にアクセスできることや、病気の予防法や健康について正しい知識を持つこと、栄養バランスの取れた食事を十分に食べられることが大切です。私たちはコミュニティと協力し、衛生に関する教育やクリニックの運営、食糧の支援などを行なっています。
収入向上
家庭の収入が安定していなければ、子どもたちが家計を支えるために働かなくてはならなかったり、教材や制服を購入するお金がないなどの理由で、教育を受ける機会を失います。そこで、保護者、とくに母親たちを対象に、経済的に自立するためスキルを身に付ける研修を行い、支援しています。
「4つの柱」誕生ものがたり
12歳の時、ある新聞記事をきっかけにフリー・ザ・チルドレンを立ち上げたクレイグ。
「児童労働をなくしたい!」そう強く思ったクレイグは、兄のマークと一緒に、インドに児童労働から救った子どもたちの社会復帰のための施設を作ろうと動き出しました。
しかし、計画を進めていく中で、彼らは気づきます。
「この施設を作っても、根本の原因が変わらなければ児童労働はなくならない」
児童労働をなくすために最も必要なのは「教育」だと考えた2人は、学校建設を始めました。
こうやって、4つの柱の1つめ、「教育」が生まれたのです。
事業を進めていく中で、気づいたことがありました。それは、女の子が学校にいないということ。
理由のひとつに、女の子は家族のために遠くまで水をくみに行く仕事を任されているため、学校に行く時間がないことを知りました。
そこで、学校の近くに井戸を建設することに。女の子たちは学校へ通い、帰りに水をくんで帰れるようになりました。
4つの柱の2つめ、「水」支援の誕生です。
学校の先生たちから、こんな話がよく聞かれました。
「体が弱い生徒は学校を休みがちだし、授業に集中できない」
「家族が病気だと、看病や収入を支えるため生徒が学校へ来なくなる」
村の子どもたちが質の良い教育を受けるためには、村人みんなの健康を向上させる必要があったのです。
こうして、柱の3つめ「保健」支援が始まりました。
しかし、それでも子どもを学校へ行かせられない家族がいました。子どもが働かなければ、家族を養うためのお金が足りないのです。
子どもたちが安心して教育を受けるためには、おとなが安定した収入を得られる必要があります。そこで、「収入向上」のための支援を開始。村の資源や文化を生かした仕事を生み出し、親たちが安定した収入を継続的に得られるようにするプログラムを開始。
こうして、現在の「4つの柱」が完成しました。
問題の1つを解決しようとするのではなく、コミュニティの抱えるさまざまな課題に包括的にアプローチし、長期的なプログラムを通じて、段階的に村の自立を応援しています。