エクアドル支援事業報告2020~2021年版を発行しました
エクアドル支援事業の2020-2021版を発行致しました。
エクアドルの貧困地域の自立に向けてご支援ご協力くださった皆さまに心より感謝申し上げます。
皆さまから集まったご寄付で事業を実施することができ、現地からレポートが届きましたので共有いたします。
特に、大東建託グループみらい基金様からは、たくさんのご寄付をいただき、本当にありがとうございました。
重ねて心より温かいご支援ご協力に、感謝いたします。
エクアドルの持続的な発展へ向けて
エクアドル支援事業 報告書 2020-2021年
皆さんのご支援のおかげで、コロナ禍で困難な状況に陥っているエクアドルの支援先の人々が健康に守られ、貧困から抜け出せるよう、インフラ整備や、医療や生活物資の他、知識やスキルの習得のためのリソースを提供することができました。感謝とともにご報告します。
フリー・ザ・チルドレンの現地パートナー団体「WE」の国際協力事業では、地域開発モデルとして「5つの支援の柱」を展開しています。それは、教育、水・保健、農業と食料、収入の機会拡大の5つの観点から事業を包括的に行うものです。人々が貧困から抜け出し、持続可能な暮らしを送れるよう支援地域をエンパワーすることで地域発展に寄与しています。
この地域開発モデルで大切にしていることは、プロジェクトを実施する際に、必ず支援先の地域の人々とともに行い、地域がそのプロジェクトの成果物を所有し、次の世代へと引き継がれるように設計していることです。
WEの「5つの支援の柱」のもとで実施されている様々なプロジェクトは、コロナウイルス感染拡大という困難な状況下で、また、コロナ後においても、より地域の人々を支え、持続可能な地域になるよう、現在歩みを続けています。
現在、エクアドル政府による制限により、私達のプロジェクトは、一部を一時的に中断し、新型コロナウイルス対策に重点を移しています。エクアドルでは、このパンデミックの間にヘルスケアと食糧安全保障へのアクセス・確保が最大の課題であることが証明されています。
現在までに、エクアドルではすでに10万人を超える感染症例が確認されており、エクアドルの医療体制を圧迫しています。
こうした状況を受け、WEでは、近隣地域が必要とするケアを受けられるように、様々な医療用品を医療施設へ寄付することができました。
エクアドルがロックダウンになった時、特に地方地域に住む多くの人達にとって、食糧へのアクセスが大変困難になりました。
こうした地方地域をさらにサポートするため、WEはWE農業研修センターでの農作物生産に注力しています。
苗木などの農業資源を地域のメンバーに配布することで、各地域の食糧生産を促し、この激動の時代の間でもパートナーの地域が食糧確保を維持できるようにすることを狙いとしています。
5つの支援の柱:
現在、ベラビスタの地域には高校が無く、子どもたちは初等教育(日本の小学校、5~12歳の7学年)後の教育を受けるために長時間通学を強いられています。
そこで、子ども達が高校へ通いやすくなり、教育を受け続けられるようになるために、WEは9学年(日本の中学2年)の学生の新たな教室を建て、現在は10学年(日本の中学3年)の生徒を収容できる新しい教室を建てています。
今年の初めに、セメントで土台固めをするなど基礎工事を行いました。レンガの代わりにセメントを用いることで、アマゾンの暑い気候の中でも教室は涼しくなり、生徒達が勉強に集中できる快適さを維持することができます。
新型コロナウイルスによる、エクアドル国内での制限が解除され次第、セメントブロックの敷設、屋根、窓、ドアの設置や教材準備などの作業を続ける予定です。教室が完成すれば、ベラビスタの学生達は地元で中等教育をを受けられる機会を得られるようになり、将来の夢の達成に大きく近けるようになるでしょう。
5つの支援の柱:
皆さまのご支援により、カナンブに新しい水道システムを設置することができました。このシステムにより、清潔な水へのアクセスを容易にし、支援先の村の人々の健康が保たれます。
カナンブの地域では、長年に渡って、高い丘の上にある集水システムを利用していました。
このタンクは1万リットルの水を貯えていましたが、水は未処理のため、飲料に適した安全性が確保されていませんでした。そのため、地域の人々は集めた水をきれいに処理しなければならず、処理方法を誤ると深刻な病気にかかるリスクもありました。
皆さんのご支援のおかげで、カナンブの地域に清潔な飲み水を提供できる新たな水道システムを建造できましたこと、心よりお礼申し上げます。
今年の初め、新型コロナウイルスによる制限が課される前までに、私達は水を処理するプラントの建設に必要な電気システムの準備などを順調に進めていました。
元の集水システムに集められた水を処理プラントに通すことで有害なバクテリアを除去し、安全な飲み水を提供できるようになります。
工事が再開され次第、私達は水処理プラント、集水システムやアクセスポイント(水栓・水道・蛇口など)の建設を進めます。さらに、水を管理する委員会で、施設を適切に維持し、地域に今後何年にも渡って清潔な水を提供するための方法を検討していきます。
5つの支援の柱:
皆さんのご支援のおかげで、ベラビスタの学生達は、自分自身や地域の健康と幸福を保つための健康的な習慣を学ぶことができました。
「クリーン・スクール・プログラム」では、学生や先生達が教育ワークショップや実践的なプロジェクトに参加することで、彼らが健康的な習慣を実践し、学校や地域の適切な衛生状態を保てるようにしています。
新型コロナウイルスの影響で学校が休校になる前のワークショップで、ベラビスタの学生達は、リサイクルできるものの見分け方や、適切な廃棄方法、リサイクルが環境に与える効果など、3R活動に焦点を当てたアクティビティへ参加しました。アクティビティ後、生徒達は校庭を掃除することで学びを実践に移しました。
さらに、学生達は自分達の地域で手に入る健康食品に関する知識をプレゼンするワークショップにも参加しました。それぞれのグループで栄養価の高い食事を準備し、使った材料などについてプレゼンしました。
ワークショップの最後には、他の生徒、先生、保護者が集まって、全グループの食事を試食し、
それぞれのレシピについて学びました。
リサイクルや栄養摂取などの健康的な習慣を実践することで、生徒達は健康を維持し、これらの重要な実践が将来何世代にも渡って引き継がれていくでしょう。
5つの支援の柱:
今年初めのWE農業研修センターでの研修を通じて、マルゴスさんのようなカカオ農家の人達は、パンデミックの間、習得したスキルの恩恵を受け続けています。
マルゴスさんと夫のイヴァンさんは、6人の子ども達とともにカナンブに住んでいます。
大家族の家計のために、マルゴスさんは自宅でカカオを栽培しています。
5年以上に渡り、マルゴスさんは全てのカカオの花を咲かせる(収穫量を増やす)方法を探すことに苦労していました。「私達は2ヘクタールの土地を所有していますが、実際にカカオを生産できているのは半分です」と話しています。
畑を改善するため、マルゴスさんはエクアドル政府主催の農業研修に参加しました。
「私達はカカオの接ぎ木や剪定の方法を学んでいましたが、エクアドル政府の人達は突然来なくなり、どこへ行ったのかも分かりません。」と彼女は話しました。
そのため、WEが170エーカー(約69ヘクタール)を越える試験農場および研修施設であるWE農業研修センターで研修を行うというアナウンスにマルゴスさんは飛びつきました。
「WE農業研修センターでの研修は実践的な部分があったので、理論的で実践の機会が無かった、エクアドル政府主催の研修よりも良かったです。
最初のアクティビティは、最小限の管理しかせず腐ってしまった古いカカオを観察することでした。次に、こまめに手入れされたカカオを見た所、たくさんの実が生っていました。
そして、実習エリアに行き、自分自身で農業を練習する機会がありました。」とマルゴスさんは話しています。
マルゴスさんは、自分の畑にも応用できる、多くの新しいスキルを学び、彼女の畑のカカオが実をつけにくい理由のいくつかを発見しました。
「カカオの木がこんなにもたくさんの光を必要としていたことを知って驚きました。光を多く受けたカカオの木は多くの実をつけ、あまり光を受けなかったカカオの木は腐って菌が繁殖していました。」
実践的な研修を通じ、マルゴスさんのようなカカオ農家の人達は収穫・収入を増やすために必要な技術を習得しています。
現在、この研修は新型コロナウイルスの影響で中止していますが、私達は地域の人達に苗を提供し、家庭菜園で食料確保を維持できるよう支援しています。
補足:エクアドルのWE農業研修センターによるカカオ研修につきましては、
2020年1月16日に投稿した翻訳記事も併せてご覧ください。
5つの支援の柱:
収入の機会拡大グループでは、コミュニティの女子・女性に新たな収入源とするためのスキルを学ぶスペースを提供し、家計を支えていけるようエンパワーしています。
今年の初めに、サン・ミゲルのシサ・パチャ・クイヅァクナ女子クラブは、民芸品のコスト、ローンの利子・支払の分割に関する計算など、金融スキルに特化したワークショップへ参加しました。
民芸品の販売を通じて、グループは売上をローンに集約することができ、集めたローンを畜産などの他の収益源となる活動へ投資することができています。
現在、グループはソーシャル・ディスタンスのガイドラインのために会うことができていませんが、ロックダウン中に家庭菜園での作物栽培を行いました。サン・ミゲルのシサ・パチャ・クイヅァクナ女子クラブに加え、他の多くの女子クラブでも、コロナ禍でも家族や地域の食料確保が維持できています。