子どもの権利(けんり)

 

人権(じんけん)という言葉があります。だれでも、その人がその人らしくしあわせに生きる権利のことです。
子どもも、人権をもっています。

特に、子どもの権利については、「子どもの権利条約」などに定められています。
子どもの権利条約に定める「子ども」は、18歳未満のすべての子どもです。

子どもの権利は、すべての子どもが生まれたときから持っていて、子どもである限り、何度でも使うことができる
「チケット」のようなもの。もし、奪われたり守られたりしなかったら、「権利を奪われて、困ってます!」と、声をあげて助けを求めることができ、その権利はすぐに取り戻されるべきものです。

 

子どもの権利条約とは?

「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」は、基本的人権が子ども(※1)に保障されるよう国際的に定めた約束ごとです。世界中の子どもが、健康的に安心して自分らしく豊かな子ども時代を送れるように世界の国々がともにつくりました。
1989年11月20日の国連総会(※2)で制定され、2017年3月現在で196の国と地域がこの条約を守ると約束しています。日本の政府も1994年にこの条約を批准(ひじゅん)(※3)しています。
※1 ここでいう「子ども」とは、18 歳未満をさします。
※2 国連総会とは、国連に加盟する国がすべて出席する大きな会議のこと。
※3 批准とは、条約などルールを国が守ると約束すること。
 
 

★動画「知ろう!子どもの権利条約」(ショートバージョン 2分36秒)
女優・鈴木夢さんと子役・鈴木楽さん姉弟にナレーション担当いただき、子どもの権利条約ついて学べるアニメーション動画ができました!

※この「知ろう!子どもの権利条約」動画は、ショートバージョンとロングバージョンがあります。

下記に、フリー・ザ・チルドレンを12歳でたちあげたクレイグくんのストーリーも入ったロングバージョン動画もご紹介していますので、そちらも見てみよう!


「子どもの権利条約」の内容を見てみよう!

子どもの権利条約には、すべての子どもが、子ども時代を自分らしく健康的に安心してゆたかにすごせるよう54の条文が書かれています。

その条文に、子どもの権利が書かれています。

子どもの権利には、例えば・・・

・病気やけがをしたら、治療を受けられる権利
・安全な水や十分な栄養を得て、健やかに成長する権利
・教育を受ける権利
・休んだり遊んだりする権利
・自分らしく成長するために、様々な情報を得て、自分の考えを持ち信じることができる権利
・あらゆる種類の暴力や差別から守られる権利
・虐待やいじめから守られる権利
・自分に関係のあることがらについて自由に意見を表したり、集まってグループを作ったり、活動したりする権利
・子どもには「子どもの権利」があると知る権利 などなど他にも子どもには権利があります。

そして、政府は、こういった子どもの権利が守られるようにする義務があります。

・政府は、子どもの権利を国民に知らせる義務があります。
・政府は、日本にいるすべての子どもが、性別、宗教、人種、信じていること、障害の有無、国籍、財産、出生に関わらず、差別されることなく、この条約に掲げている権利がすべて守られるようにする義務があります。

このように、一人ひとりの子どもの権利が守られるようにするため、その義務は政府にあります、と書かれています。

FTCJ翻訳 子どもの権利条約一覧表 ダウンロード

▼子どもの権利条約には54条あります。この条約に書かれた権利は、大きく4つに分けられます。

 

子どもには病気やけがをしたら、適切な治療を受けられる権利があります。子どもは健康に生まれ、安全な水や十分な栄養を得て、健やかに成長する権利を持っています。
関連する主な条項:第6,24,25,26,27条

 

 

子どもには教育を受ける権利があります。また、休んだり遊んだりする権利や、自分らしく成長するために、様々な情報を得て、自分の考えや信じることが守られる権利があります。
関連する主な条項:第7,8,9,10,11,18,21,28,29,31条

 

 

子どもにはあらゆる種類の差別や虐待、暴力から守られる権利があります。紛争下の子ども、障害のある子ども、少数民族や先住民族の子どもなどは特別に守られる権利を持っています。
関連する主な条項:第19,20,22,23,30,32,33,34,35,36,37,38,39,40条

 

 

子どもには、自分の関係のあることがらについて自由に意見を表したり、集まってグループを作ったり、活動する権利があります。こうした活動をするときは、他の人の権利を侵害しないように注意する必要があります。
関連する主な条項:第12,13,14,15,16,17,31条

 

▼子どもの権利条約には4つの原則があります。

1.差別の禁止(第2条)

 

子どもの権利条約第2条1項では、「締約国(ていやくこく:条約を守ると約束した国)は、その管轄内にある子ども一人ひとりに対して、子ども又は親もしくは法的保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的・民族的もしくは社会的出身、財産、障害、出生またはその他の地位にかかわらず、いかなる種類の差別もなしに、この条約に掲げる権利を尊重しかつ確保する。」と定めています。

 

2.子どもの最善の利益の保障(第3条)

 

子どもの権利条約第3条1項では、「子どもに関わるすべての活動において、その活動が公的もしくは私的な社会福祉機関、裁判所、行政機関、または立法機関によってなされたかどうかにかかわらず、子どもの最善の利益が第一次的に考慮される。」と定めています。

 

3.生命・生存・発達の権利の保障(第4-10、14、18、20、22-32、42条)

 

子どもの権利条約第6条1項、2項では、「1.締約国は、すべての子どもが声明への固有の権利を有することを認める。2.締約国は、子どもの生存および発達を可能な限り最大限に確保する。」と定めています。

 

 

4.子どもの意見の尊重(第4、12-17条)

子どもの権利条約第12条1項では、「締約国は、自己の見解をまとめる力のある子どもに対して、その子どもに影響を与えるすべての事柄について自由に自己の見解を表現する権利を保障する。その際、子どもの見解が、その年齢および成熟に従い、正当に重視される。」と定めています。

 

 

子どもの権利条約Q&A

子どもの権利条約ってどうやってできたの?

今から300年前のヨーロッパでは王様やお金持ちの貴族がいばっていて、人々を支配し不平等な時代でした。でも、そういった状況はおかしい!と人々が異を唱え、立ち上がり、18世紀後半には「人間は、すべてひとりひとり平等で、自由や幸せを求める権利を持っている。」という考え方が広まっていきました。こうして、フランスでは人権宣言が1789年にでき、アメリカでも人民の権利と平等をうたい政府をつくっていきました。しかし、この当時は、おとなの男性にのみ権利が認められ女性や子どもには権利は認められていませんでした。

 

その後、第一次世界大戦がおこると、たくさんの子どもが殺されたり家を失ったりして犠牲になりました。こうしたことを反省し、国際平和のために「国際連盟」が設立されました。「子どもを守るのは人類全体の責任である」と考えられるようになり、1924年に世界で初めて子どもの権利に関することが盛り込まれた「ジュネーブ宣言」がつくられました。

 

しかし、1939年になると第二次世界大戦がはじまってしまい、戦争によって再び多くの子どもが世界中で犠牲になりました。終戦後の1945年に、戦争をもう二度と起こしてはいけないと世界は国際平和を誓い、新たな組織「国際連合(国連)」が設立されました。そして、世界人類共通の幸せのために、「世界人権宣言」が1948年に、子どもを権利の主体ととらえ、子どもにとっての最善が何かをまとめた「子どもの権利宣言」が1959年に国連でつくられました。それでも、世界では争いや貧困のために搾取され、物のように売り買いされ、虐待を受ける子どもがたくさんいることが国際児童年の1979年に、国連で報告されました。

 

こうした背景から、世界の子どもの幸せの実現のためには、「宣言」ではなく、各国政府に法的な義務が生じる「条約」にしよう、と提案され、世界の人々が国連に集まって10年以上かかって1989年11月20日にできたのが、「子どもの権利条約」です。国連総会に集まった全ての国が賛成して、採択(さいたく:意見や案を良いと思って選ぶこと)されました。

 

子どもの権利条約ってどんな内容?

世界中の全ての子ども(18歳未満)が、子ども時代を自分らしく健康的に安心してゆたかにすごせるよう54の条文が書かれています。子どもの権利を守るための、国(政府)の義務、親や社会、子どもの役割、子どもが持つ特有の権利などについて記されているのです。

 

条約を守るって約束した国はどのくらい?

2017年現在、アメリカ合衆国を除く、世界中の196の国と地域が「子どもの権利条約」に賛同し条約を受け入れると約束しています。このように、国(政府)が条約に賛同し条約の内容を守ると約束することを「締約(ていやく)」といいます。締約国は、法的に条約を守り報告をする義務があります。

 

締約国が、やらなければいけないことって?

「子どもの権利条約」を批准(ひじゅん)などして締約した国や地域は、国内で子どもの権利が守られているかどうかを、定期的に「子どもの権利委員会」に報告書を提出しなければいけません。子どもの権利委員会とは、子どもの権利条約がきちんと守られているかを調査するところです。18人の専門家から構成されています。この委員会に国や政府は、条約を締約した2年後に最初の報告書を提出します。その後は5年ごとに提出することになっています。

 

子どもの権利条約に関する教材

フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは、「子どもの権利条約」について学べる教材や書籍を販売しています。ぜひご活用ください。

 

動画「知ろう!子どもの権利条約」(ロングバージョン 6分03秒)

女優・鈴木夢さんと子役・鈴木楽さん姉弟がナレーションを担当する、子どもの権利条約や12歳でフリー・ザ・チルドレンをたちあげたクレイグくんについて知れる動画です!

ロングバージョンは子どもの権利条約に書かれている子どもの権利が持つ内容や、子どもの権利の理念が後押しになって活動を始めたFree The Childrenを12歳で設立したカナダのクレイグくんの歩みなどが分かりやすく紹介されています。ショートバージョンは、子どもの権利条約についてのみ紹介していますので、ぜひ、ご覧ください!

 


子どもの権利条約条文一覧 FTCJ監訳 全ルビ付き(無料)

FTCJ翻訳 子どもの権利条約一覧表 ダウンロード

こちらの資料は「大東建託グループみらい基金」のご支援によって作成されました。

知ろう!子どもの権利条約カード付ハンドブック(税込500円)

子どもの権利条約の概要、権利条約を子ども向けに翻訳し、イラストと解説をまとめた冊子となっています。

子どもの権利について考え、子どもの権利を侵害する様々な問題や状況について気付くことができます。

この教材は、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンの高校生・大学生メンバーとともに制作しました。

 

【知ろう! 子どもの権利条約 子どもの権利条約カード付ハンドブック】

・イラスト協力:後藤瑞穂さん ( FTCJ子どもメンバー/当時高校 2 年生)
・翻訳協力: 清田健介さん(FTCJ翻訳ボランティアチームリーダー)
・監修:平野裕二さん(ARC = Action for the Rights of Children =代表)
平尾潔さん(日本弁護士連合会子どもの権利委員会幹事、世田谷区せたがやホッと子どもサポート委員)

 

▼データ版(全28P)は無料でダウンロードいただけます。

 

▼冊子をお求めの方は500円にて販売しております。購入額の50%(250円)は子どもの権利を守るための活動への寄附となります。

 

ワークショップ教材:スピーチから考える子どもの権利(税込3,850円)

元児童労働者や、国内でいじめ被害にあっていた子どものスピーチを題材に、
子どもの権利条約について学ぶことができる教材です。

ワークショップ教材:写真でのぞいてみよう-世界で働く子どもの生活- (税込4,400円)

様々な写真をもとに参加型のアクティビティで人権教育ができる教材です。
共感的な理解や想像力を高め、自分の持っている価値観にも気づくことができます。

 

ワークショップ教材:児童労働シミュレーションゲーム(税込9,350円)

働く子どもの人生をもとに作られた、児童労働者の一生を体験できるゲーム教材。
子どもの権利条約も学べます。

広げよう!子どもの権利条約キャンペーン

フリー・ザ・チルドレン・ジャパンは、子どもの権利を広め、子どもの権利が大切にされる
社会の実現を目指すキャンペーン「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」に実行委員として参加しています。