【報告】12/12「桜丘中・西郷前校長×子ども×親×FTCJ トークイベント」

12月12日(土)に、「桜丘中・西郷前校長 × 子ども × 親 × FTCJ トークイベント ~子ども自身が「世界は変えられる」と信じ行動できる社会にするには~」を毎日メディアカフェで開催し、オフライン(会場観覧)16名、オンライン103名の方にご参加いただきました。当日、講演・お話いただいた内容の中から一部を抜粋して報告致します。

当日オンラインでご参加された皆様には、通信・音声の不調で多大なご不便・ご迷惑をお掛けしましたことを改めてお詫び申し上げます。

 

最初に、当団体代表の中島から挨拶と当団体の設立経緯について説明を行いました。

 

第1部では、代表の中島と世田谷区立桜丘中学校前校長の西郷孝彦さんが対談し、校長在職中の学校改革の取り組みについて話しました。

「すべての子どもたちが3年間を楽しく過ごす」ことを目標に、5年かけて必要のない校則を見直していった結果、校則が無くなった=校則廃止に至ったこと、その後学力向上に注力する中で、非認知能力(社会情動的スキル)の育成を重視したインクルーシブ教育環境の導入するようになったいきさつや取り組み事例について、動画を交えて解説されました。対談内容の一部をご紹介します。

中島「西郷さんは桜丘中学校校長時代に、FTCJの出前授業を受け入れてくれましたが、どうして受け入れてくれたのですか?」

西郷さん「日本社会では、こうしてほしいとお願いする方は多いが、世の中を変えようとする人が少ない。言うことを聞いていればいいという教育をしてきた私たちが、そういう社会をつくってきたという反省があって、大人になったら社会を変えようとする子どもを育てる教育をしてきました。子ども自身が大人になる前に、社会を変えようというのはもっとすばらしい。衝撃を受け、ぜひ出前授業をしてほしいと思いました」

中島「桜丘中学校では、校則がない、定期テストがない、宿題がない、服装・髪型の自由、スマホOKなどの特徴があります。どういう経過で改革したのでしょうか。」

西郷さん「桜丘中の目標は全員の生徒が楽しく3年間を過ごすことです。最初に取り組んだのは校則でした。必要のない校則を一つひとつ消していったら、結果として5年ほどで全てなくなりました。校則がなく、楽しくなったかなと思うと、そうでない生徒がいる。勉強が楽しくない生徒、発達障害などいろいろな事情で溶け込めない生徒がいます。『みんなの学校』という映画を観たことをきっかけに、インクルーシブ教育を始めました。」

西郷さん「幼児教育で、非認知的能力と呼ばれる、将来成功するために必要な学力ではない能力をつける方法があります。子どもが言うことを否定しない、子どもの話を聴いてあげる、子どもに共感する、積極的にふれあう、能力ではなく努力をほめる、行動を強制しないといったことです。こういう環境を学校でつくったのです。桜丘中は本当に緩いです。何のプレッシャーもない」。

<1年生のクラスの授業の様子を動画を紹介>

西郷さん「自分たちの授業を、つまらない、教え方が悪いと言っている。ちゃんと言えるようになったことがすごい。小学校では、先生の言うことを聞きましょうと教えられた。そうした子どもがだんだん自分を出して、批判できるようになる。これが社会を批判的に考え、意見表明できるということにつながります。この経験がないと、社会を変えようと思わない。学校の中で何か変えられたという成功体験が社会を変えようという力になります」

中島「桜丘中の先生方はたいへんだと思いますが、生徒はみんな自分たちらしく表現していると思います。非認知能力を育む大切さは同感です。脳科学的に、社会貢献活動は子どもの成長や記憶力、安心につながる、自分がいいものをもらうよりも人は喜びを得ると言われます。自分の声をあげられるということも、それにつながると思いました」。

西郷さん「桜丘中では、誰もがいつでも、どこでも発言できます。校長室に来る生徒もいるし、生徒会で決めることもできます。教員は多様性の受容、尊重を価値観として持ってなければいけない。みんな違っていい、みんな違うほうがいいという価値観を育まなければなりません。当たり前のことですが、愛情をもって生徒と接する。愛情がないと、何をやってもだめです。一人ひとりを大切にする、そして子どもとともに生きる。管理する、される、勉強を教える、教えられるではなく、一緒に生きましょうという感覚です」

西郷さん「桜丘中では、「ゆうゆうタイム」という時間があります。放課後、生徒が好きな先生を選んで15分間、おしゃべりできます。実際の様子を映像で紹介しました。西郷さんは「先生たちも巻き戻しが必要です。子どもを支配しようとしていると、だれも来てくれない。素に戻る。先生方は元々やさしい人たちです。管理することが教員の仕事だと思い込んでいたのが、素に戻る。桜丘中に来て1年たつと、先生の顔つきが変わります。怖そうな顔がやさしい顔になります」

中島「子どもたちがどう変わりましたか」

西郷さん 「今年3月の卒業前に3年生をインタビューした動画を見てください」

<動画の内容の一部をご紹介します>

男子生徒「校則がないのは普通じゃないですよね。高校の面接でも、聞かれました。ルールがあるけれどもどうしますかと。自由だからこそ、ルールがあると思っています」

男子生徒「自由というのは信じることだと思います。お互いに信頼関係があって成り立つものだと思います。先生たちがやさしくて、話しやすい空気があり、コミュニケーションがとれていて、そこからの信頼関係で自由が生まれているのだと思います」

女子生徒「自由だからこそ、自分で考え、責任を持って行動しなければならないと学びました。伸び伸びと自分の個性を出せるようになりました。前はくそまじめでした。この学校に入って、明るくなり、自分をさらけ出せるようになりました」

女子生徒「みんなと合わせなければいけないと思う自分がいたのですが、自分が違っていていいのだと、自分に自信が持てるようになりました」

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第2部では、桜丘中学校卒業生で、当団体の2020年度子どもアンバサダーを務めている石川実桜(いしかわみおう)さん、当団体FTCJユースメンバー/サポーターを務めている中村伊希(なかむらよしき)さん、当団体の元子どもメンバー保護者の與座友美(よざともみ)さんの3名をゲストに迎え、それぞれの活動内容や活動のきっかけ、経験や想いなどを共有しました。

 

まず、石川さんからは、チャイムや制服が無いなどの校風によって自己管理能力が養われたことや、「ゆうゆうタイム」(生徒が任意の先生と任意の話題で15分程度雑談するという取り組み)で西郷前校長と話したことなど、桜丘中学校在学当時のエピソードを話してくれました。

 

石川さんは、ご家庭が元々国際協力に積極的で、幼少の頃から他団体の活動に参加していたそうですが、活動する中で「ボランティアは大人やお金のある人がやるもので、子どもでは何もできない」と思うようになっていたそうです。

 

そんな中、桜丘中学校在学当時に当団体の出前授業を聞いて「社会貢献・国際協力は子どもでもできる!」と考えが変わり、パープルリボン(女性に対する暴力根絶の国際シンボル)の配布や、高校の合唱コンクールでのフェアトレード商品の販売などの活動に取り組むようになったそうです。「まず、知ってもらうこと・無知をなくすこと」をモットーにして、活動の幅を今後さらに拡げていきたいと語っていました。

 

 

次に、中村さんからは、親の転勤で香川県に住んでいた2015年当時に、兄弟で行った絵本の読み聞かせや、手作りパンの販売・売上の寄付などの活動の説明のほか、幼い頃から国際協力活動に参加していたきっかけについて話してくれました。


(補足)
活動の詳細は過去のブログ記事をご覧ください。

Kagawaグループより、活動報告が届きました!

【活動報告】The little bakeryでパンを販売しました

中村さんが活動を始めた原体験(きっかけ)は、2歳当時に親からアフガニスタンの地雷問題に関する絵本を読み聞かせてもらっていたことで、「(イベント参加などで)経験・見識をとにかく拡げること」を重視するご家庭の教育、出身小学校(和光小学校)の教育方針や取り組みなども現在の活動において大変役立っているそうです。

 

次に、與座さんから、子ども(次女・三女)を当団体の活動に参加させたきっかけや、娘の育児をする中で心がけていたことなどについて保護者目線からお話しいただきました。

與座さんが当団体を知ったのは国際協力活動ではなく、当団体が約10年前に実施していた英会話教室事業「FTCJ English School」(現在は実施しておりません)がきっかけだったそうです。

 

子ども達が(英会話よりも)当時千歳烏山に移転して間もなかったオフィスやスタッフの雰囲気を気に入ったことで、FTCJの他の活動(テイク・アクション・キャンプ(オフライン及びカナダ本部でも開催していた頃)など)にも参加するようになり、国際協力活動に興味を持つようになったそうです。

(参考:当時のブログ記事)

FTCJ Englishスクール 開講します!!

 

 

子どもたちが当団体のイベントや活動に参加して変わっていく姿を見る中で、「思っていることは自らの口で伝えないと伝わらない」ことや「褒めることを大事にする」「自分で自分を認めることを第一にする」ことなどを考えるようになったそうです。

 

また、4人のお子さんの子育てを経て、「”一個人”として子どもと接すること」「親が敷いたレールに沿わせるのではなく、自分がどうしたいのか考えて相手に伝えること」が大事で、これらを実践するには「言葉」が重要だと考えるようになり、「やっぱり」といった決め付ける言葉を用いることを避けたり、困った時は「困った!」と周りに助けを求めたり(子どもにも、困った時はしっかりヘルプを発信するよう伝え続ける)、間違った時は子どもにもしっかり謝ったりするなどの取り組みをご家庭で実践されてきたそうです。

 

次に、ゲスト4名への質疑応答を行いました。
Q.どうすれば桜丘中学校のような学校が増えるのか?
A.(西郷前校長)自分の意見を表明できるようにすることや、自分が接している子ども達と学校を変えていくこと、賛同者を増やすことが繋がっていくのではないか。

 

Q.子ども自身が「世界は変えられる」と信じ、行動できる社会にするにはどうすればよいか?
A.(石川さん)親自身が実践する姿を子どもに見せてみる。
(中村さん)「世界は変えられる」と子どもに自信や自己肯定感を与えるよう、親から変わることを実践してみる。
(與座さん)「どうすれば変わるのか?」という観点ではなく、「自分が変わる」ことで周りも必ず変わっていく。

といった質問・回答がありました。

 

最後に、ゲスト4名から参加者へのメッセージを語っていただきました。

(與座さん)日常生活の中で言葉と捉え方が大変重要なので、自分にとって気持ちの良い言葉を使って生活するようにしてみてください。子どもだけではどうしてもできないこともあるので、そうした時に(親でなくても)子ども達を手助けできる大人であることも心に留めておくと、子ども達も自分自身もよい変化に繋がっていくと思います。

(中村さん)声を上げたり、意見を述べたりするためには、批判的思考を持ち、まず、自分が知って、誰かに伝えることから始めてみること、これらを継続することで活動の輪が広がっていくと思います。自分もこれからも頑張ります。

(石川さん)興味のあることややりたいことがあれば、小さなことでもできることから挑戦し、何でもやってみることが第一歩かなと思います。一緒に頑張りましょう。

(西郷前校長)周りと違うことをすると必ず非難されて落ち込みそうになることがありますが、”周りと違うことが個性であり自分自身である”という解釈の、「君のなかで世間が非難するところのものを、十分に手を入れて育てあげたまえ、それがほかならぬ君なのだから」(ジャン・コクトー(フランスの詩人・小説家)「ポトマック」)という一節を思い出すようにしています。

 

最後に、代表の中島から子ども自身が「世界は変えられる」と信じ行動できる社会をつくるためにキッズパワーサポーターにぜひ登録していただきたいというお願いの場をいただきました。

サポーターとして団体を応援していただければ幸いです。

 

2時間弱という短い時間の中、たくさんの学び・気づきや力強いメッセージを頂き、とても有意義なイベントになりました。
登壇いただいた皆様、全国からご参加いただいた皆様、ありがとうございました!