【報告】ケニア教育支援レポートが現地から届きました!(1)

フリー・ザ・チルドレン・ジャパン(FTCJ)は、ケニアの現地のパートナーNGO「WE Charity Foundation」を通じてケニアのナロック群マサイマラ地区に暮らす先住民族の子どもたちが、質の良い教育を受けられるよう、キサルニグループ中等学校(4年制高校)の「ミリマニ女子キャンパス」及び「ングロット男子キャンパス」で学ぶための奨学金支援や、学校の運営を支援しています。

2022年10月に、奨学金を得て学校に通う生徒さんたちの様子や、中等学校で学び大学進学した学生の学びの様子など教育支援事業についてレポートが届きました!一部をご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キサルニグループ中等学校では、学問の専門家・学生団体・コミュニティの人々と協力し、生徒たちの生活を変革し、コミュニティの発展へ貢献するリーダーになるための質の高い中等教育と課外活動を提供しています。キサルニグループ中等学校は、2011年の設立以降400人以上の卒業生を輩出しており、卒業生の大半が大学へ進学し、教育・社会・商業・看護・観光の分野の学位を取得しています。

 

2022年、私たちが運営する女子中等学校では、50人の新入生を迎えることができました。入学した女子生徒たちは、みな優れたリーダーシップを発揮し、学校全体に活気をもたらしています。新入生たちは早速学校生活にうまく溶け込み、他の学年の生徒たちも保護者とともに新入生を歓迎しています。徐々にコロナ禍の混乱から抜け出しつつあります。

 

そして、47人が卒業し全員が大学に進学することができました。私たち(WCFの現地スタッフ)はこのことを誇りに思っています。生徒たちは、学問だけではなく若きリーダーとしての能力を育んでいます。学生リーダーシップクラブ、サービスラーニングプロジェクト(後述)、継続的なカリキュラム変革、ファシリテータによる導きなど、これら全てが組み合わさり、生徒たちひとりひとりの発達・成長を後押ししています。

 

新入生の保護者からも、学校見学会で「素晴らしい理念に基づいた、ユニークで美しいこのキサルニグループ中等学校(ミリマニ女子キャンパス)へ安心して娘を預けられる」というコメントをいただきました。私たちは新入生たちがこれからの4年間をどのように過ごしていくのか、新入生ひとりひとりの精神がお互いや学校へどのような影響をもたらしていくのかを見ていくことを楽しみにしています。

 

ラエル・チェベットは9学年(日本の中3相当)新入生の1人です。彼女は、キサルニファミリーの一員であることを光栄に感じており、学校の全てが好きだと言っています。彼女は、キサルニグループ中等学校で学ぶことで、自分が将来素晴らしい女性になって、コミュニティを助け、貧困の悪循環を徐々に断ち切れるようになることを確信していると話してくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キサルニグループ中等学校の基本的目標は、学習者が個々の才能を将来世界に役立てるために必要なリーダーシップ能力の醸成を支援していくことです。キサルニグループ中等学校に入学する生徒たちは、皆多様な興味・関心・能力を有しています。それらは、生徒それぞれの文化と、コミュニティの生活をよりよくしていくという強いコミットメントに深く根ざしており、コミュニティを越え、ケニア、そして世界と、より大きく・広い領域でそれぞれのコミュニティの人々を象徴していくという夢も持っています。

 

本校にはローテーション制の生徒会があり、生徒全員に学問を学びつつ、リーダーシップも実践する機会が与えられています。これにより、本校の生徒はお互いを導き、批評し、サポートし合うことで学校をより良くしています。現在の生徒会長は11学年(日本の高2相当)のジョイ・ムエニさんで、彼女の情熱とリーダーシップはほかの多くの生徒から支持されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼サービスラーニングプロジェクト(2022年11月15日追記)

リーダーシップを醸成し、生徒たちとそれぞれが属するコミュニティとの関係を維持するため、生徒たちは休暇期間中にサービスラーニングプロジェクトを行うことが推奨されています。
学習者たちは両親だけではなく、他の年長者やコミュニティの人々と話し合ったり、繋がったりしてそれぞれのコミュニティのニーズや可能性を見出し、個人または小グループでそのニーズを満たすための活動を決めることができます。

 

プロジェクトが合意されると、学習者たちは敬意と自信を持ってそれぞれのコミュニティへ変化を起こすサービスラーニングに着手します。
こうしたサービスラーニングは、リーダーシップ醸成、クリティカル・シンキング、成功体験を得るためのコミュニケーション手法の形成・確立に向けた心構えに必要不可欠です。

 

ミリマニ女子キャンパスでは、多くの生徒たちが、環境保全、ピア・メンターシップ、キャリアガイダンスなどの様々なプロジェクトに取り組んでいます。
(補足:ピア・メンターシップは、同世代・同じ立場の仲間同士で刺激し合ったり、相談し合ったりすることなどで学び合う手法のこと)

 

例えば、「選ばれし世代」と銘打たれた、直近の休暇中に行われたプロジェクトでは、周辺のコミュニティの500人以上の少女たちと、若年妊娠・若年/児童婚・教育の重要性、薬物乱用の悪影響などに関する話し合いを行いました。
他には、深刻な土壌汚染を受けやすい地域を特定し、その対策として100本以上の植樹を行ったプロジェクトなどもあります。

 

 

▼生徒の声

エマキュレート・ケルボさん
(11学年、日本の高2相当、ナロク郡・オロランガコミュニティ出身)

彼女は「ひとり親家庭で、母親も子どもたちを養うことが難しく、彼女の教育費を賄えるか確信が持てない状況だったため、高校に通うことは難しいだろう」と入学書類に記載していましたが、本校の奨学金を満額で受給できることになり、彼女と彼女の母親は「高校生活を通じて、将来にとって大切な、素晴らしい物事に出会うことができるだろう」とわくわくしたと語っています。

 

 

 

 

Q.本校での楽しみは何ですか?
A.それぞれ素晴らしい考えを持っている、様々なコミュニティの他の学習者と交流です。このことは、人間や意見の多様性を大事することを教えてくれます。

Q.本校に通うことで、人生にどのような影響がありましたか?

A.入学当初、私は内気だったのですが、リーダーシップトレーニングに参加したことで、自分の意見を表明する勇気を持てるようになりました。

Q.好きな課外・部活動はありますか?
A.ジャーナリズム部の活動も、私のリーダーシップスキル向上に繋がっています。今では、自信を持って人前に立ち、恐れずに話すことができます。9・10学年(日本の中3~高1相当)当時、学級委員に選出され、他の学習者たちのためにベストを尽くしました。

Q.本校の生活を通じ、自分自身にどのような変化がありましたか?
A.アクティブラーニングを通じ、私は学力、リーダーシップスキルを向上でき、何よりも自信がついたと感じています。将来、英語・国語教師として、自分のコミュニティの女の子たちが一人でも多く教育を受けてエンパワーされるようにすることが私の夢です。

 

***

ケニアの先住民族の女の子がキサルニグループ中等学校で、質の良い教育を受けられるように奨学金や学校運営のためにご協力くださった皆さま、改めて心から感謝申し上げます。特に、募金活動をしたり資金を集めたりするなど、心を込めて活動してくださった東京学芸大学附属国際中等教育学校ソーシャルアクションチームの生徒の皆さん、本当にありがとうございました!!

今回の現地からの報告はまだありますので、追ってブログにアップしていきます、お楽しみに!!

 

 

※当団体では、この「キサルニグループ中等学校の奨学金」に充てるための寄付を引き続き受け付けています。

ご協力よろしくお願いいたします。詳細は下記をご覧ください。
https://ftcj.org/freethechildrenprogram/area/kenya/kisaruni
https://ftcj.org/donate/kenya

 


<関連情報>

東京学芸大学附属国際中等教育学校ボランティア部Facebookでの活動報告(一部)

クリック/タップで展開


<ミリマニ女子キャンパス関連過去記事一覧>