フィリピン 障害者支援プログラム

フリー・ザ・チルドレン・ジャパン フィリピン 障がい者支援

フィリピンの視覚障害者たちーー教育の現状と課題

フィリピンの子どもたち

フリー・ザ・チルドレン・ジャパン フィリピン 障害者支援
フィリピンの子どもたち

 

フィリピンでは、初等教育への平均就学率が96%に達していますが、 視覚障害児の初等教育就学率はいまだに5パーセント未満に過ぎません。

また、WHO(世界保健機関)が途上国における障害者の割合を約15%と発表している一方、フィリピン国家統計局が把握している障害者の割合はわずか1.57%です。多くの障害者が出生届も出されず、存在も知られぬまま暮らしています。

障害者の中でも、車いす利用者と視覚障害者の社会参加率は特に低く、視覚に障害のある人で学校や教会・支援団体など何らかの団体に属している人は、首都圏でもわずか48パーセント、地方では20パーセントを下回るという調査結果があります。

何かしらの団体に属している人でも、その外出回数は月に4回と少なく、毎日学校に通ったり通勤したりできる状況には程遠いのです。何も団体に属さず、 外出する機会も与えられていない半数以上の者に関しては、もはや視覚障害者同士でさえ状況が分かりません。

日本には盲学校が70校以上ありますが、フィリピンにはたった2校しかありません。12年生、つまり高校卒業までの教育を提供しているのは、フィリピン国立盲学校のみです。

地域の学校に通っている視覚障害者もいるのですが、適切な学習支援が受けられないため授業に参加できずにただ教室に座っている子が多く、とくに7年生以降の中等教育になると、障害のある児童・生徒への支援者が在駐している学校はほとんどありません。

地方ではとくに、障害者理解が進んでいないことや学校の数も少なく通学距離が長いことなどが理由で、視覚障害者が教育を受けるのは本当に難しいのが現状です。

未就学の視覚障害者に届く活動をしなければいけない、障害者の社会参加率を改善したい、と現地の視覚障害団体はみな思っているのですが、とにかく統計に表れてこない人々を探し出すことは困難で、 未就学視覚障害児への教育普及はあまり進んでいません。

私達は、こうした視覚障害者の人達の可能性に寄り添い、学びたいという想いを応援するために何かできないかと考えてきました。そこで、すでに学校に通っている、視覚障害を持つ児童・生徒達が中退しなくて済むようサポートすることならできるはずだと思い、本事業を実施することにしました。

盲学校の授業の様子

視覚障害者への教育が重要な理由

盲学校では、点字の読み書きや数学などの教科科目のほか、白杖を使って外を単独で歩く方法や、調理や掃除・スポーツをする方法、コップに適量の飲み物を注ぐ方法、洋服の前後の見分け方、刃物の安全な使い 方、一人で買い物する方法など、日常生活で必要な様々なスキルを全て学びます。

視覚障害者の生活に関する解説動画(一例)
他にも視覚障害者の生活に関する解説動画を、
当団体Youtubeチャンネルに多数アップしています。

ほとんどの家族にとって、障害のある子どもを持つのは初めてなので、親たちはどう育てたらいいのか、どう教育したらいいのか不安に思っています。障害のある自分の子には何もできない、将来の可能性がないと考えてしまっている親もいます。

だからこそ、障害者への教育方法を心得た人と出会って いるか否か、学校教育を受けているか否かで障害者の人生の選択肢 、社会参加の幅は大きく変わってくるのです。

事業のあゆみ

国立盲学校学生寮修繕/スクールバス寄贈→点字プリンタ、読み上げソフト寄贈に向けた
クラウドファンディング
(2016年11月~2018年2月)

2020年現在、フィリピンには盲学校がたった2校しかなく、日本の高卒相当までの教育を提供しているのは、フィリピン国立盲学校のみです。

フィリピン国立盲学校

そのため、質のいい教育の場を求めて、大学進学資格を得るため、あるいは職業訓練を受けるため、フィリピン国立盲学校にはフィリピン全土から志願者が集まり、併設された学生寮で生活しています。

■フィリピン国立盲学校学生寮の改修工事

フィリピン国立盲学校の学生寮(2016年時点で築46年)には、約100人の生徒が暮らしていましたが、屋根の断熱性能が低く、太陽の熱を直接寮内に通していたので、午前でも室温が35度を超えていました。

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修繕前の学生寮の室内

さらに、建物で使える電力量も少なく、ブレーカーがすぐ落ちて停電が頻繁に起きていたため、この画像の天井に設置されていた扇風機も、使えるタイミングが限られていました。

視覚障害のある生徒が学校へ通うためには、盲学校に併設された寮が必要です。日本とは違い、いくら白杖を使ったとしても、まだ整備が行き届いていないフィリピンの公道を歩いて学校まで通うことは非常に困難です。
盲学校に通うことはできても、学生寮が暑過ぎることを理由に中退してしまう生徒もいました。

白杖を使い学校へ通う生徒たち

そこで、このフィリピン国立盲学校学生寮の屋根の修繕・断熱化と建物の電気設備を改良する工事を行うことになりました。

■校外学習用スクールバス→点字プリンタ・読み上げソフトの寄贈

フィリピン国立盲学校では、「障害者は何もできない、教育を受けても仕方がない」と考えられている社会を少しでも変えるため、児童・生徒たちは学校のスクールバスで積極的に校外のイベント・セミナーに参加し、視覚障害者の可能性がどれだけ広がるかを披露することで障害者理解を深めようとしています。

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20年以上使っていたスクールバス(当時)

しかし、スクールバスは20年以上使用していたため、屋根や床が腐って穴が開き、児童・生徒たちの安全な移動が確保できなくなっています。フィリピンで定められている車の使用期限(10年)も超えていたので、修理の対象にもならず、車を買い換える他ありませんでした。

■クラウドファンディング実施・寄贈物変更

当時のプロジェクトページ:https://readyfor.jp/projects/ftcj_phspd

<ご支援いただいた皆様>
医療法人 貴和の会、丹藤 京祐、今居 勇気、黒澤 公人、井上 富子、安倍 昭恵、長澤 滋、小林 千恵子、古井 郁恵、福山 博、福田 正人、小林 智子、畠山 珠美(順不同・敬称略)
※事業実施にあたりクラウドファンディングサイトReadyforにてご支援いただいた方々のお名前を掲載しております。

 

学生寮改修・スクールバス寄贈に必要な資金(800万円)を調達するため、2016年11月17日~2017年2月15日の期間でクラウドファンディングを実施しました。期間中の2017年1月には、安倍前首相夫妻のフィリピンを訪問とともに、本クラウドファンディングが日本国内外の多数のメディアに取り上げられました。その結果、支援総額は目標を大きく上回る999.5万円に達し、同年のREADYFOR賞を受賞しました。

担当スタッフの石田(2018年11月当時)

クラウドファンディング終了直後の2017年4月、学生寮の修繕やバス寄贈に向けてフィリピン盲学校と、当時の担当スタッフだった石田との間で確認を進めていたところ、

・2017年1月の報道を見た他の財団から、フィリピン盲学校にスクールバスが既に寄贈されていた
・2017年2月、フィリピン国内で多数の死者を出すスクールバス事故が発生し、フィリピン教育省
(日本の文部科学省に相当)がフィリピン国内全ての学校・大学を対象に、スクールバスなどで
校外学習やイベントに生徒たちを大量に移動させることを禁止した

ということが判明し、スクールバスを寄贈することができなくなってしまいました。

 

そこで、全ての支援者様の同意を得た上で、寄贈するものを、スクールバスから点字プリンタと画面読み上げソフト(スクリーンリーダー)「JAWS」へ変更することになりました。(詳細は当時のブログ記事をご覧ください)

 

当時、フィリピン国立盲学校には約150名の生徒が在学していたにもかかわらず、点字プリンターが1台しかありませんでした。点字印刷には1枚あたり1分以上要するため、先生方が休日出勤するなどの最善を尽くしても印刷が間に合わず、生徒たちへ十分な量の教材が提供しきれていない状況でした。

また、画面が見えるだけの視力がある生徒へのパソコン講習は積極的に行われていますが、パソコンの画面を読み上げるソフト(スクリーンリーダー)が高額なため、全盲の学生へのパソコン講習の機会が限られていました。

(補足)
視覚障害は全盲の方だけではなく、弱視・ロービジョンなど、「一部しか見えない・見えにくい状態」の方も含まれます。
詳細は「世界白杖の日」の無料教材(2020年10月15日公開予定)をご覧ください。

 

■学生寮改修・点字プリンタ、読み上げソフトの寄贈へ

学生寮の改修工事は2017年5月~8月に行われ、2018年1月26日に引き渡し式が行われました

修繕後の学生寮室内

屋根を鉄・断熱材・木の3層構造にしたことで断熱性能が上がりました。さらに、天井の形状を平面から三角形に変更したことで室内空間が高くなり、熱もこもりにくくなりました。電気設備も改修・強化され、扇風機などの空調機材を常に使えるようになりました。

 

点字プリンタ・読み上げソフト「JAWS」は、2017年8月10日にフィリピン国立盲学校へ納品されました。

フィリピン国立盲学校に点字プリンタが届いたときの様子

学生寮改修・備品寄贈後、最後に残った支援金でフィリピン国立盲学校の視覚障害者や、ナガ市障害者支援センター所属の学生5人を無料で日本へ招聘して研修を提供し、本事業を完了しました。

 

視覚障害マッサージ師(35歳以上)の起業・再就職支援に向けたクラウドファンディング
(2020年9月~)

(For English Version, please refer the blog post.)

当時のプロジェクトページ:https://syncable.biz/campaign/1218
※Syncableは混雑などの理由でエラー表示になることがよくありますが、何度か再読み込みすることで解消します。エラー表示が続く場合は、お手数ですが時間を置いてから再アクセスをお願いいたします。
ブログ記事:https://ftcj.org/archives/18746

 

フィリピンでは、視覚に障害のある子どもたちが質の良い教育を受けられるような学校・盲学校が少ないこと、安全に通学できるような環境が整っていないこと、経済的理由で通学をあきらめざるを得ない家庭が多いことなど様々な理由により、障害者の教育を受ける権利が守られていない状況にあります。

十分な教育を受けられないフィリピンの視覚障害者にとって、安定した収入を得られる仕事に就くことは難しく、職業の選択肢があまりないという現実があります。

そのため、視覚障害者のほとんどがマッサージ(按摩)師の仕事に就き、1日10米ドル(1,000円)程度の収入で生計を維持していました。

マッサージの様子 (C)PBU

しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、視覚障害マッサージ師は職場も仕事も失う事態に直面しました。

フィリピン政府の新型コロナウイルス対策は日本よりもはるかに厳しく、3~5月にフィリピン国内で1回目のロックダウンが行われていた間、障害者や高齢者などへの厳しい外出制限により、視覚障害のマッサージ師は仕事ができない状態となりました。

6月に入ると、フィリピン国内のロックダウンは一部緩和されましたが、ソーシャル・ディスタンス確保などの感染対策をした上での営業再開が困難だったり、患者側が感染拡大を恐れる「受診控え」で客足が戻らなかったりしたため、収入を得られない状態が続きました。

7月末から8月初旬にかけて感染者数が再び増えたため、フィリピン政府は8月4日に2回目のロックダウンを実施しました。
2020年9月現在、この2度目のロックダウンは地域毎に緩和・再強化が繰り返されており、解除の見通しが立たない状況が続いています。

マッサージの様子 (C)PBU

フィリピン国内で6,000人以上いると言われている視覚障害マッサージ師の人達は、半年近く収入源を絶たれ、貯金を切り崩して家族を養い、家計を維持しようと持ちこたえていますが、この2度目のロックダウンが追い討ちとなり、貯えが底を突くのはもはや時間の問題となっています。

フィリピン政府や民間組織からの食糧や資金の支援もありますが、それらも十分ではなく、治療院を手放して廃業に追い込まれたり、貯金が尽きて物乞いで飢えをしのごうとしている人が日々増えつつあります。

そこで、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは、パートナー団体である現地のフィリピン盲人連合(Philippine Blind Union、略称:PBU)、視覚障害者ITセンター(Adaptive Technology for Rehabilitation, Integration and Empowerment of the visually Impaired、略称:ATRIEV)と協働し、これまで支援の手が行き届いていなかった35歳以上(子育て世代)の視覚障害のあるマッサージ師100人に、パソコンと経営スキルの短期研修を行い、
起業・再就職して収入源を再確保するまでの緊急支援を行うことにしました。

パソコン研修の様子(C)ATRIEV 2019

ATRIEVでは、助成を受けた上でコロナ禍で職を失った35歳未満の視覚障害マッサージ師の起業に必要なパソコンスキル研修を2020年6月から実施していましたが、この助成は35歳未満のみが対象だったため、子育て世代の就労支援まで支援を拡大できずにいました。

そこで本事業では、この研修の対象から外れていた、35歳以上の視覚障害マッサージ師向けに、パソコンと経営スキルの研修を行い、起業・再就職までのサポートを行います。

受講者100人の選考はフィリピン盲人連合に委託し、研修講師はATRIEVの既存講師にお願いしています。

これらの研修の経費や、研修参加者の起業・再就職のサポート・援助などに必要な資金のうち200万円を、2020年9月にクラウドファンディングを実施することで調達しました。

現在、研修の実施に向けて調整を進めています。

 

「共に生きる社会」を目指したい

生まれる国が違うだけで、 教育を受けられないどころか家から出る機会もほとんど与えられず 、邪魔者呼ばわりされながら暮らさざるを得ない障害者たちがいます。能力に違いがあるわけではないはずです。違うのは、その能力を伸ばし、十分に発揮できる機会や環境があるかどうかです。

人は生まれる国を選ぶことはできません。障害者として生まれるか否かを選ぶこともできません。同じ生まれてくるなら、精一杯できることをして人生を楽しみたい、誰かに必要とされたい…、そう願うのは障害者だって同じです。

世界のどこに生まれても、障害があってもなくても、各自が「できること」を見つけてその能力を伸ばしていける社会、誰もが「自分は必要とされているんだ、ここにいていいんだ」と思いながら生きていられる、「共に生きる社会」の実現を目指していきたいと願っています。

 

 

郵便振替・銀行振込による寄付

郵便振替

郵便口座
00120-5-161532
口座名称
フリー・ザ・チルドレン・ジャパン
他金融機関からの振込用口座番号
〇一九(ゼロイチキュウ)店 当座 0161532
  • お振込みいただきましたら寄付の使途の指定を通信欄に明記ください。
  • 寄付のご指定がない場合は活動全体へのご寄付として受けさせていただきます。
  • 領収書希望の方は「領収書希望」と明記の上、お名前、ご住所、電話番号をご記入ください。

 

銀行振込

銀行名
三菱UFJ銀行
支店名
上野支店
口座番号
普通5360502
口座名
特定非営利活動法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパン トクヒ)フリーザチルドレン
  • お振込みいただきましたら寄付の使途の指定を下記の「お問い合わせはこちら」からご連絡ください。
  • 寄付のご指定がない場合は活動全体へのご寄付として受けさせていただきます。
  • 領収書希望の方は「領収書希望」と明記の上、お名前、ご住所、電話番号をご記入ください。

こちらのページに関する内容のお問い合わせは、 下記までお願いいたします。

特定非営利活動法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパン

TEL:03‐6321‐8948
E-mail:info@ftcj.org

 

寄付に関するお問い合わせ先