ケニアに行ってきました!事業地域訪問だより②

こんにちは、フリー・ザ・チルドレンの中島早苗です。ケニアに2月~3月にかけて訪問し、現地で行っているマサイ民族のコミュニティでの国際協力活動のモニタリングや、事業地域で暮らす子どもや村人たちの声を聞いてきましたので、ご報告します。

 

・ケニアに行ってきました!事業地域訪問だより①

・ケニアに行ってきました!事業地域訪問だより③

 

ケニアに来て3日目、2017年度を通じて実施した「Water Project(水事業)」の様子を調べるために事業地のコミュニティに向かいました。宿泊施設からコミュニティまでは車で1時間ぐらいですが、早速朝からアクシデントが。前日の夜に激しく降った雨の影響で、道のあちらこちらが沼るんでいたため、私たちの車はそのぬかるみにはまってしまいました。

 

あまりの大きなぬかるみに、車は傾き横転しそうになりました。これは事故るのではないかという不安から、一瞬のうちに「あれ、海外旅行保険入ってたっけ・・・?」という心配事が頭をよぎりましたが、そんな不安な様子の私を察知してか、マサイのスタッフは、

 

「ハクナ・マタタ!」と笑顔で話しかけてきました。

 

ライオンキングの台詞でも聞いたことのある「心配ないさぁーっ」の意味のハクナ・マタタを笑顔で聞いたら不思議と不安がどっかに消え落ち着きました。彼の言葉通り、車が横倒しになることはなかったのですが、車は動きません。

ぬかるみにはまった傾いた車からひとまず出て、脱出を祈るスタッフたち

 

 

 

そこで、私を含む4人のスタッフは車を降りてみんなで大きな石を持ってきて車のタイヤが空回りしないよう道を整えたり、後ろから車を押したりしましたが、なかなかうまくいきません。

近くに住む人たちも長靴を持ってきて貸してくれたり、手を貸してくれますが、タイヤは空回りしてしまいます。木や石などを穴の開いた柔らかい土の穴に埋めたり、草をひいたりすることかれこれ45分、ようやくぬかるみから車が抜け出せました。

こうして、2時間ぐらいかかって目的地のコミュニティに到着。その間ずっと私たちを待っていてくれた村のお母さんたち(マサイママ)や現場にいるスタッフは嫌な顔せず、笑顔で私たちを出迎えてくれました。

 

「ジャンボ!」
現場スタッフやお母さんたちと挨拶をかわしたあと、2017年度を通じて実施した水事業がどういった効果を生活にもたらしているかのインタビューを代表してマサイママ2人に聞くことができました。

 

私たちが実施した水事業についてご説明すると、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンは、ケニアの農村開発や自立支援に取り組む現地パートナー組織「WE Charity」を通じて、マサイ民族が暮らす地域のひとつの村にて、きれいで安全な水を人々が手にすることができるよう、「給水システム確立プロジェクト」を実施しました。

 

ケニアは国土の8割以上が乾燥・半乾燥地帯のため、乾季に水不足に陥ったり安全な水へのアクセスが難しい地域が多くあります。特に、事業地のコミュニティには、2016年時点で給水システムがないため村人、特に女性や子どもは1日何時間も費やし家から離れた川まで水汲みに行かざるを得ませんでした。しかもその川の水は動物が水浴びをしたり、人々が洗濯をしたりしており、きれいな水ではなく、汚染された水なのです。従って何時間もかけて川まで水汲みに行って20キロもの水樽を持ち帰ってもその水を飲むと感染症にかかるなどして病気になることも多くありました。

 

川まで水汲みに行った時の様子

 

川で20キロ以上汲み、水樽で何時間もかけて運びます。

 

そこで、村人がきれいな水を手に入れられるよう、地下300メートルから水を汲み上げるシステムと水タンク及び給水所を村内の小学校敷地内に設置したのです。また、今後村人によって持続的に給水システムを運営管理できるよう、水管理委員会と給水所運営チームを組織し村人から15人の水管理委員と5人の給水担当者を選出し、人材育成、研修を行いました。

村に給水システムができて、どのように生活が変わったかについてお話してくれたお母さんたちの言葉を紹介します。

 

▼ナモニセさん(年齢不明、多分40代、6人の子どもの母親)と、ネッパパさん(年齢不明、多分60代、7人の子どもの母親)

 

「今までは、川まで何時間もかけて水汲みをしていたので、重たい水を運ぶために体も痛くなり大変でした。しかし、今は家から近い村の小学校の敷地内に給水所ができたので、気軽に水が手に入るようになり、水汲みの時間が短縮されて本当に嬉しいです。」

「給水所ができたことで、汚い水を食事に使う必要がなくなりとても安心して生活できるようになりました。かつては水を8キロ先の川に汲みにいかないといけなくて、20キロの水を8キロ運ぶのはとても大変でした。しかも、その川の水は汚染されたいたので、子どもたちが体を壊したりすることもあって困っていました。でも今後は安全なきれいな水なので水を飲んで病気になる心配もなくなって、とても嬉しいです、本当に生活がよくなりました。」

2人のお母さんが、給水所ができたことで生活が改善し、今まで水汲みに費やしていた時間をほかの家事や仕事に充てられるようになったことを心から喜び、協力してくれた日本のみなさんにどうぞお礼を伝えてください、ということをお話されていたのを聞いて、私もとても嬉しくなりました。

 

インタビューに答えてくれたマサイママのふたりと。ママのおうちの前にて

この事業の実施のために、TOTO水環境基金からたくさんのご支援を頂きました。心から感謝申し上げます。また、1円玉募金や、その他ご寄付を下さったたくさんの皆さん、本当にありがとうございました。