ケニアに行ってきました!事業地域訪問だより③
ケニアに行ってきました!事業地域訪問だより③
こんにちは、フリー・ザ・チルドレンの中島早苗です。ケニアに2月~3月にかけて訪問し、現地で行っているマサイのコミュニティでの国際協力活動のモニタリングや、事業地域で暮らす子どもや村人たちの声を聞いてきましたので、ご報告します。
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過去のケニア訪問記はこちらから
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ケニアに来て4日目、2017年度を通じて実施した「Water Project(水事業)」の様子を調べるために本日も事業地のエシノニ村に向かいました。
宿泊施設からエシノニ村までは車で1時間ぐらいですが、今日もアクシデントが。警察官による検問が行われており、そこで引っかかったのです。現地パートナー団体のスタッフ3人とドライバーさんと私を含め5人で車に乗っていたところ、大きな道の途中に警察官が上下ともに検問をしており、すべての車が一時停止していました。
私たちの車がチェックされる番になり停まると、外国人の私に気が付いた警察官は
「どこから?」
「日本から来ました」
「では、IDを提示してください。パスポート、プリーズ!」とのこと。
私はパスポートを携帯していなかったので、宿泊施設に戻らないとないと伝えると、何やら車に乗っているケニアのスタッフにスワヒリ語で話しはじめました。
スタッフは20年もこの地域で活動していること、今まで外国人スタッフがたくさん来たが、パスポートの提示は求められたことがなく、なぜ、今回はパスポートを見せないと通れないのか、など説明したり質問したりしましたが、警察官はパスポートがないとここを通さない、の一点張り。
埒が明かないので、ひとまず車を路肩に寄せてどうするか作戦会議。現地パートナー団体WE Charityは自治体や警察署のトップに活動の意義を理解してもらっており、一緒に今までも活動しているので、トップに連絡を入れて、上から警察官に説明してもらおう、ということに。
数十分かかり警察署のトップと連絡がとれ通行許可を出していただき、ようやく警察官は私たちを通してくれました。今日もこうして40分以上足止めをくらい、予定よりも遅れての現地訪問となりました。
さて、目的地のエシノニ村に到着し、今日は給水所などがあるエシノニ小学校にまずは行きました。小学校の入り口から左側にまわったところに、背の高い大きな貯水タワーがあり、その横に水汲み上げジェネレーターと、給水所が建設されているのが見えました。
高くそびえたつ貯水タワーと、給水所などの建設がうまくいき村人たちがここにきて安全な水を手に入れることができている様子が分かり、大変嬉しく感じました。
「ジャンボ!」と声をかけてくれたのは、村の水管理委員長。給水所が機能するようになり、きれいな水を村人たちが手に入れることができるようになって本当に嬉しい、協力を本当にありがとう、とお話されました。水管理委員長からは水汲み上げジェネレーターのメーターの見方や太陽発電で動いている仕組みなどを説明してくれました。
給水所で水を供給することができていると、担当者も誇らしげに水を出すなどデモンストレーションし、説明してくれました。
小学校の正門のほうに行くと、小学生たちが歌でもてなしてくれました。リズミカルな素敵な歌。スタッフはみな手をたたきながら聞き入りました。その後、小学生たちに学校での様子や、給水所ができたことについて質問しました。
「学校できれいな水が飲めるようになり、本当に嬉しい!」
「学校帰りに水を家に持ち帰ることができて、お母さんが喜んでいます。ありがとう」など、
みな、喜びと共にきれいで安全な水を手にすることができることに感謝の気持ちを表していました。
その後、村から選出された水管理委員会(男性10人、女性3人)とその他給水所担当係が集まってくださり、活動の様子や課題などを聞くことができました。
▼水管理委員会の役割
汲み上げポンプや貯水タワー及び給水所のシステムやインフラがちゃんと壊れていないかチェックし、もし、不具合が生じたら直せるようにして、給水システムを管理することが役割。水システムやインフラの管理は、どうしてもいつか不具合が生じたり工事が必要になってくるので、そのときに備えお金をためて、設備を直したりするのに使えるよう、銀行にお金を預けていくら使ったかなども管理する。また、給水所では、有料で住民に水を提供する。水代金の徴収など給水所(キオスク)で水を販売するのは、水管理委員会ではなく、水管理委員会から委託された担当者(村人から選出)が行う。その水の販売の仕方や代金の管理の仕方などもキオスクで働く人に払い、管理するように伝える。水販売代金は、40リットルで5シリング(日本円で約5円)
▼水組み上げシステムと給水所ができたことでどう変わったのか。
証言1:以前は、川の水などを生活や料理など飲料水などのために使わざるを得なかった。汚染されているとわかっていても、その水を使わざるを得ない状況にあり、その汚れた水を使ったり、飲んだりすることで、病原菌が体内に入り、病気になっていた。特に子どもたちは影響を受けていて、身体を壊していた。でも、今は、その病気から解放され、本当に嬉しい。
証言2:以前は、水汲みのために妻や子ども、自分自身も遠くまで行かざるを得なかった。5キロ以上歩いて20キロもの水を毎日運ばなければいけない。そのために、身体が痛くなり、体調を崩すこともある。そのために、他の仕事ができないから、大変だった。子どもは学校を遅れたり行けなくなったりする。でも、今は、学校の敷地内に給水所ができて、きれいな水が手に入るようになり、本当に有難い。本当に、生活が変わった。
証言3:給水所ができるまでは、5、6キロ以上の道のりを歩いて水汲みに毎日いかなければいけなかったので、なかなか農業やその他のために時間を割くことができなかった。でも、今は、近くにきれいな水を得られる場所ができて、生活の質が良くなった。
証言4:子どもたちが、水汲みの仕事から解放され、学校の授業に出席できるようになった。子どもたちの教育の機会が保証されている。
証言5:以前は、川や池に水汲みに行っていたが、その水は動物たちが水浴びに来たりして使っていた水で、非常に汚い。そんな水をもうこれからは使わなくてよくなったのです。
証言6:実際に、給水所ができたことで、病気からの解放だけでなく、余計なお金を使わなくてよくなりました。以前は、水汲みに自分たち家族がいけないときは、誰かにお願いしてお金を払って水汲みをしてもらっていた。その時払っていたのは20リットルで20シリングや30シリングだった。でも、今は40リットルで5シリング払えばよいのだから、ずっと安くて質の良い水が手に入るようになった。だから、有料になってもまったく誰もいとわない。
その他いろいろな意見や現状、課題などを聞くことができました。
課題としては、村にはまだここのエシノニ小学校内にある一か所しか給水所がないので、この小学校から遠く離れたところに住む村人にとっては不便であるので、村の反対側にも給水ポイントが必要であることなどが意見として出されました。
様々な課題がありますが、この給水システムは、村の人たちの責任で管理され、村人たちで不具合があれば直していけるようになったことは意義あることだと思いました。今後の課題については、また村の人たちと一緒に考えていきたいと思いました。
水環境委員の男性委員のみなさん
女性委員や水問題について学ぶチームのお母さんたち
今回の水事業を実施するにあたり、一円玉募金やその他寄付によってご支援くださった皆様、TOTO水環境基金の皆様、本当にありがとうございました、改めて心よりお礼申し上げます。