インドレポート:「マクタニール子どもの家」卒業生のストーリー①
フリー・ザ・チルドレン・ジャパン(FTCJ)は、2001年からインド西ベンガル州で、
現地パートナー団体CCDを通じて国際協力事業を行っています。
CCDは、路上や児童労働から少年を救出し、運営する養護施設「マクタニール子どもの家」で保護し、
教育や医療を提供したり、貧困地域の子育て世帯へヤギを提供し、生計維持支援などを実施しています。
学生時代にCCDを支援する学生組織AshAを立ち上げ活動していた
FTCJの協力者の3人の皆さんが2024年1月に、インドのパートナー団体CCDを訪問し、
インドの現状と課題を探ってきてくれました。
その際、CCDによってかつて貧困から救出され、支援を受けて自立した児童労働に従事していた
元少年たちに約15年ぶりに会い、現在の状況を聞くことができましたので、
彼らが養護施設マクタニールで過ごすようになった経緯や背景も含め2回に分けてご紹介します。
リンクさん 7歳から18歳まで「マクタニール子どもの家」で過ごしました。 |
リンクさんはお父さんお母さん弟の4人家族。
お父さんは漁港で見張り番をする仕事をし、お母さんは専業主婦で子育てをしていました。
幸せに暮らしていましたが、ある日突然、お父さんが仕事中に事件に巻き込まれて命を落としてしまいました。
お母さんはそれまで仕事をしていなかったので、家族は収入がなくなってしまいました。
子どもたちを育てるため、お母さんはなんとか仕事を探し、ブラウスの縫製工として働くようになりました。
お母さんは縫製の経験がなかったため、技術が未熟であまり質の高い製品を作ることができませんでした。
そのため得られた収入はほんのわずか。家族3人が生活するにはとても足りず、支払いなどが滞るようになりました。
しかし縫製の仕事以外に収入がなく、さらに収入を増やすため夜遅くまで仕事をし続けました。
仕事を続けるうちにお母さんは体調を崩し、同時期にリンクさんの弟も虫垂炎になってしまいました。
働き手がいなくなり、病気になってしまった2人を支えるため、リンクさんは日雇い労働の仕事を始めました。
その当時リンクさんはたったの7歳でした。
仕事内容は畑での種まき、収穫、他の働き手への食事運び、牛の世話、雑用など様々で同時に複数の仕事を任されることもありました。1日に10~12時間働かされ、給料は固定されておらずいつも雇い主の機嫌を伺わなければいけませんでした。
当時7歳のリンクさんには病気で苦しむお母さんや弟の面倒を見ることと仕事どちらもこなす余裕はなく、日に日に債務労働者となっていき、毎日とても苦しい日々を過ごしていました。
そんなとき、養護施設マクタニールを運営するCCDのスタッフがリンクさんと出会いました。
CCDのスタッフはリンクさんや家族の状況を調査し、リンクさんを養護施設マクタニールで保護することにしました。
そしてお母さんや弟が治療を受けれるよう支援もしました。
お母さんや弟はその後回復し、弟もマクタニールで保護し、過ごすようになりました。
リンクさんはマクタニール(養護施設)で過ごすようになり、学校に通えるようになりました。
その後、大学に進学できるようCCDが支援をしました。
大学では、会計学を専攻し、現在衣服会社で働いています。
弟のクトゥブさんも学校に通い教育を受け、現在は政府関係の仕事をしているそうです。
リンクさんは
「マクタニールで過ごしたことで人生がより良いものになった。
今は幸せですが完全には満足していません。もっとできることがあると思うので、
もっと頑張りたいと思っています。」
とメッセージをくれました。
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CCDが運営する「マクタニール子どもの家」は、児童労働や路上など過酷な環境にいる子どもを救出し、子どもが権利を守られ、安心して生活できる環境を提供する養護施設として2020年まで事業を行っていました。現在は運営を終了し、貧困農村地域の子育て家庭への自立支援を行っています。
■インドの貧困と子どもたちの動画を公開しています。
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