【報告】中高生及び教職員の方に向けた、ジェンダーに対する意識のアンケート(We are the MOVEMENT 2021-2022)
フリー・ザ・チルドレン・ジャパンは、2021年度も大東建託グループみらい基金さまからの助成を頂き、子ども・若者のソーシャルアクションイベント開催を応援する「We are the MOVEMENT 2021-2022」を実施しています。
この度、プロジェクトメンバーからアンケート実施報告が届きました!
【アクション実施報告】
私たちは、静岡県沼津市にある加藤学園暁秀中等学校・高等学校で活動するボランティアクラブのNational World Committee(NWC)です。
WE Are The Movementの一環として、昨年に引き続き、ジェンダー不平等に関するアンケートを行いました。アンケートは、Google formを利用し、11月1日~12月3日の期間で加藤学園暁秀中等学校及び高等学校の生徒と教職員向けに、11月1日~12月12日の期間で校外の中高生や教職員向けに実施しました。
昨年も学校内で同内容のアンケートを行いましたが、今年は広く学びを得るために学校外でもアンケートを行いました。また、私たちが主に活動している加藤学園暁秀中学・高等学校では来年度から制服が変わり、女子生徒のスラックス着用が可能になるなど制服の男女差が改善されます。そこで、新しくその変化への意見を調査する質問を新設しました。
加藤学園暁秀中学・高等学校の生徒170名と教職員9名、学外からの中高生6名、教職員2名、合計187名の方にご協力いただきました。昨年(84件)に比べ、学校内だけでも2倍以上の回答をいただきました。加藤学園暁秀中学・高等学校の生徒たちが、ジェンダーというトピックを「難しい」、「自分とは関係ない」と思うことなく回答してくださったことから、ジェンダーというトピックを認知し、それを自分ごとだととらえる人が増加したと感じました。
参考:制服変更に関する学校ブログ記事
https://gyoshu-hs.blogspot.com/2021/09/blog-post_1.html
【企画・アクション内容報告】
【アンケート内容】
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【調査結果】(画像クリックで拡大)
[加藤学園暁秀中学・高等学校、生徒への調査]
・男性と返答した方
・女性と返答した方
・どちらでもないと返答した方
・女性と返答した方
[その他(加藤学園暁秀中学・高等学校以外)の中高生への調査]
[その他(加藤学園暁秀中学・高等学校以外)の教職員の方への調査]
・男性と返答した方
・女性と返答した方
【アンケートを分析しての気づき、考察】
(設問2) 「ジェンダー」に関する言葉を聞いたことはありますか。
・「ジェンダー」という言葉の認知度が9割を超えている。
→これはかなり高いと思う。最近はテレビなどメディアでジェンダー問題が取り上げられることも多く、ジェンダー問題に目を向ける人が増えたことの影響だと思われる。
(設問3) 「ジェンダー問題」に対して、関心を持っていますか。
・男性より女性とどちらでもないと回答した方の方が、ジェンダー問題に対する関心度が高い。
→日常的に女性の方がジェンダーの差別を受けてストレスを感じたり、不利な立場に立たされることが多く、その経験からジェンダー問題に関心を寄せる傾向があると考えた。女性だけでなく男性もそのような経験はあると思われるが、やはり一般的に女性の方がパワーバランスが弱い傾向にあることのあらわれかと思われる。
(設問4) 普段生活をする中で、「男性らしさ」「女性らしさ」を求められたことはありますか。可能であれば、具体的な経験を教えてください。
・「男性らしさ」「女性らしさ」を求められたことがある人は多く見られる。
・男性の方は、「重い荷物を持たなければいけない」「泣いてはいけない」という回答が比較的多く見られた。筋力や精神面での「強さ」というものを求められることが多い傾向にある。しかし、2番目に多いのが「特にない」という回答であった。
・女性の方は、「姿勢や立ち振る舞い、言葉遣いをきれいに」「足を閉じて座る」といった回答が多く見られた。また、傾向として見られたのは、「女の子らしく」「おしとやかに」「上品に」「静かに」といった女性らしさを説明する形容詞が男性の回答と比べて多く見られたことであった。
・どちらでもない方は、「家事ができなくてはいけない」「恋愛は男女がするもの」などの回答が得られた。
(設問5) 「男性だから…」「女性だから…」などの言葉を聞いた時、違和感を覚えましたか。
・「女性らしい」「男性らしい」という言葉に対して、指摘されなくとも違和感を覚える人、指摘されて初めて違和感を覚える人がほとんど同じ割合いる。
→違和感を覚えるかどうかには個人差があることがわかった。ジェンダー問題への意識を高め、違和感を覚える、違和感を覚えたら声を上げる力をつけるきっかけづくりをしていこうと思う。
●加藤学園暁秀中学・高等学校の生徒の回答について:2021年(母数170)と2020年のもの(母数70)を比較した気づき
(設問2) 「ジェンダー」に関する言葉を聞いたことはありますか。
・「ジェンダー」に関する言葉を聞いたことがある割合
2020年:58.6%⇒2021年:97.3%
(設問3) 「ジェンダー問題」に対して、関心を持っていますか。
・「ジェンダー問題」に関心を持っている割合(左が2020年、右が2021年の数値)
女性:64%⇒92.4%
男性:47.8%⇒70.4%
どちらでもない:57.1%⇒100%
全体的に「ジェンダー問題」へ目を向け、関心を持つ人が大きく増えている。これは東京オリンピックを巡るジェンダー差別発言や、各界の著名人のセクシュアルハラスメント(セクハラ)行為などが問題視され、メディアなどでの報道が増加したことが影響していると考えられる。また「#MeToo」「#KuToo」といった運動や、SDGsの認知が広がったこと、ジェンダー問題に取り組んでいる各団体の活動などにより、ジェンダー問題に目を向ける人が増えたということも考えられる。
【アンケートを実施してみて】
まず、このアンケートを実施したことで、回答する方々が質問に答える際に、一度立ち止まって自分のジェンダーに対する考えや行動について考え、そして、周りの人とのジェンダーに関する会話も生まれた可能性があります。これらはジェンダー問題に意識を向けるきっかけの一つになったと思います。
昨年より回答数を得られたのは、ジェンダーというトピックへ意識が向く人が増え、ジェンダー問題を「自分ごと」としてとらえる人が増えたことの表れでもあると思いました。これからも社会問題へ意識を向けるきっかけづくりをしていきたいと思いました。
また、昨年との比較をすることで意識の変化を見られたので、これらのアンケートはこれからの活動の参考にし、多くの人に学びを提供できる企画を計画していきたいと思います。