【報告】「SDG4教育キャンペーン2021」子ども・ユースロビイング活動(文部科学省・財務省)

フリー・ザ・チルドレン・ジャパンは、持続可能な開発目標(SDGs)の教育目標4の達成を目指す「SDG4教育キャンペーン」に、本年も実行委員として参加しています。「SDG4教育キャンペーン」は、SDG4(教育目標)に関する、主要政党へのアンケートの実施、アンケート結果に対する子ども・ユース世代からのウェブ投票・意見募集や、子ども・ユース世代によるロビイング活動を展開しています。

キャンペーンバナー (C)JNNE

 

本年の「SDG4教育キャンペーン2021」では、4~5月にかけて、6党(自民・公明・立憲・共産・社民・れいわ)から頂いた「SDG4(教育目標)に関するアンケート」の回答を、政党名を伏せた状態で読み、自分が「最も賛同する」党を選んでウェブ投票を行いました。その結果、昨年を大幅に上回る3,896人から延べ4,134件の投票・コメントをいただきました。(詳細はキャンペーンHP内の報告をご覧ください。)
※アンケートの詳細解説はこちら

 

全国からいただいた投票結果・コメントは、当団体が4月~大型連休にかけて募集・選考した子ども・ユースロビイングメンバー24名が、6~8月にかけて、アンケートに回答した政党及び関連省庁へのロビイング(訪問・政策提言)時にお届けします。

 

今回は第5・6回ロビイングとして、8月24日(火)に文部科学省、8月27日(金)に財務省の担当者とオンラインで面会しました。(当初、対面・オンライン混合形式で実施する予定でしたが、緊急事態宣言延長により全面オンライン形式に変更して実施しました)
本記事では、子ども・ユースロビイングメンバーが行った質問・提言や、省庁担当者との意見交換の様子を抜粋・要約して報告致します。


8/24(火)文部科学省

8月24日(火)17:00~17:45に、文部科学省の皆様(義本総合教育政策局長・平川総合教育政策局地域学習推進課青少年教育室長・新免国際統括官付ユネスコ協力官・高野 男女共同参画共生社会学習・安全課女性政策調整官・中野 国際教育課係長)とメンバー7名がオンラインで面会し、政党アンケートの質問1・2・3(国内)とメンバー7名がオンラインで面会し、政党アンケートの質問123(国内教育にまつわる社会問題)に関する提言を行いました。

また、スタッフとして、キャンペーン事務局である開発教育協会(DEAR)、同じくキャンペーン実行委員であるラオスの子ども、ガールスカウト日本連盟の職員と当団体の鈴木(洋)も同席しました。
本記事では、文部科学省の返答・コメントを抜粋して報告致します。

 

(C)JNNE

 

(はじめに)
1月26日に「令和の日本型学校教育」の中央教育審議会答申があった。SDGsにおける目標4(質の高い教育をみんなに)等の達成に向けては、教師のウェルビーイングも政策に考えている。
「誰一人取り残さない」という観点から、外国にルーツを持つ子どもたち、夜間中学、不登校の子どもなどへの教育機会の保障・拡充を考えている。
補足:(「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(令和3年1月26日中央教育審議会答申)【本文】P.8末尾~9上部及び「総論解説」参照)

 

質問1 子ども参加・子どもの意見の尊重について「ブラック校則」について
コロナ対策を大人の都合だけで決めるのではなく、子どもたちの意見を聞き、代替案を聞くという取組を促していくことが重要。
不合理な校則に対しては、子どもたちのウェルビーイングの観点からも、子どもたちの意見を聞きながら改善していく必要がある。

 

質問2 外国にルーツを持つ子どもたちについて
外国人の子どもたち約2万人が就学していない可能性があったり、就学状況が確認できない状況にあったりすることが「外国人の子供の就学状況等調査結果」(リンク先3ページ末尾の注釈参照)で分かった。
共生社会を目指していくうえで、ギャップを埋めるべくきめ細かい政策を市町村レベルでできるように資金を出したり、指導ができるよう日本語指導補助者を配置したりするなど、学校現場での取組を進められるよう支援している。今後、外国人の子どもたちの就学・進学実態をさらに詳細かつ継続的に調査し、調査結果を施策に反映していきたい。
参考:「外国人の子供の就学状況の把握・就学促進に関する取組事例 」12

 

高校段階の外国人の生徒に対しても、日本語の指導や特別な指導も必要になってくるが、そのための「特別の教育課程」を編成できる制度がないため、現在、外国人の高校生に向けた日本語指導を行うための制度を整備する取り組みもしている。
参考:文化庁HP「外国人児童生徒等教育の現状と課題」(2021年5月、P.25)

 

質問3:日本の教育課題:ジェンダー・多様性について

教育現場における「女性の先生は教頭・副校長・校長に就きにくい」という考えを変えられるよう、女性教師が学校管理職に就くチャンスを拡げていく政策や機会を拡充するとともに、女性教育改革の研究もしている。

 

意見交換の様子 (C)JNNE

 

その他:「生理の貧困」について
国会でも取り上げられているが、生理用品を貧困が理由で使えないという問題については、スクールソーシャルワーカー等と連携して適切に支援するよう、これまでも教育委員会などに対して示しており、NPOを支援する形で、取組を推進している。
性教育の問題については、子どもたちが接する情報環境の変化や、時代の潮流に鑑みて、専門家の意見も聞きながら検討していく。


文部科学省の皆様、有難うございました!


8月27日(金)財務省

昨年に引き続き、「財務省・NGO定期協議会」(第76回)の1プログラム(約30分)として、財務省国際局開発機関課の皆さんと面会し、メンバー2名が政党アンケートの質問456(海外女子教育支援、学校保護宣言の支持)に関する提言を行いました。また、スタッフとしてキャンペーン実行委員であるセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、ワールド・ビジョン・ジャパンの職員と当団体の鈴木(洋)も同席しました。財務省国際局開発機関課の皆さんからは「財務省としても、教育支援は重要な支援分野であり、状況に応じて、最適な基金への資金拠出を検討していきたい」というコメントをいただきました。
財務省国際局開発機関課の皆様、有難うございました!
※「財務省・NGO定期協議会」の詳細は、特定非営利活動法人「環境・持続社会」研究センター(JACSES)のウェブサイトをご覧ください。http://www.jacses.org/sdap/mof/

財務省国際局開発機関課の田部 真史課長、中村正行さんとの意見交換の様子 (C)JNNE

 


フリー・ザ・チルドレン・ジャパンは、子どもや若者が「声を上げることで世界を変えられる」と信じることができる社会の実現に向け、キャンペーン実行委員として活動を続けています。
「SDG4教育キャンペーン2021」のロビイング活動は、9月30日の外務省オンラインロビイングをもって完了予定です。
(政治・社会情勢・政府/省庁側の都合などにより中止・延期になる可能性があります)