【報告】6月15日(火): 院内集会「きいてよ!私たちの声~子どもの権利に関する基本法実現に向けて~」

フリー・ザ・チルドレン・ジャパンは、日本国内での子どもの権利保障の促進を目指して、「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」の趣旨に賛同し、実行委員として参加しています。

6月15日(火)に、同キャンペーン実行委員会の主催により、子ども達と国会議員による対話イベントを開催しましたので、ご報告します。

【開催概要】
「きいてよ!私たちの声~子どもの権利に関する基本法実現に向けて~」国会議員と子どもがともに、子どもの権利保障を考える院内集会

日時        2021年6月15日(火)17:30~18:30/開場17:10
会場        衆議院第二会館多目的会議室
主催        広げよう!子どもの権利条約キャンペーン実行委員会
後援        自民党児童の養護と未来を考える議員連盟、超党派ユニセフ議員連盟、超党派子どもの貧困対策推進議員連盟、超党派ママパパ議員連盟
参加費    無料

 

【詳細報告】
キャンペーンでは、4月22日(木)に院内集会「包括的な子どもの権利保障を!~子どもとともに考える~」を開催し、提言を発表しました。今年2回目となる今回の院内集会は、当事者である子ども自身が直接国会議員にそれぞれの思いや主張を伝え、子どもの声を政策決定の場に反映させることを目指して衆議院第2議員会館にて開催されました。

院内集会には、都内在学もしくは都内在住者である子どもの会場参加に加え、遠方在住の子どもはオンラインで参加し、小学校、中学校、高校、その他フリースクール等に所属する、多様なアイデンティティをもつ小学6年生から18歳までの子ども16人が集まりました。当日は、内閣不信任案が国会で提出されたこともあり、参議院の出席予定議員が参加できなくなるというトラブルはありましたが、それでも国会議員14名が出席し、子ども達との対話を行いました。子ども庁創設の構想が自民党から出されていることもあり、子どもの権利に注目されている議員が多いと感じました。

院内集会では、高校3年生の鈴木理紗さんの司会により開会が宣言され、続いて、キャンペーン共同代表である甲斐田万智子さんから子どもに関する新たな省庁創設の動きなどに関連した子どもに関する基本法の制定などを求めるキャンペーンの共同声明(リンク先:広げよう! 子どもの権利条約キャンペーン ウェブサイト)についての説明を行いました。

次に、子ども達と国会議員が数名ずつ6つのテーブルに分かれ、「子どもの権利を保障するために政府に取り組んでほしいこと」について対話を行う時間を設けました。話し合いを始める前に、参加する子どもや国会議員に対して、安心して参加してもらうための約束と話し合いの手順を司会から説明しました。そして、テーブルごとに子ども達がそれぞれの意見を発表し、そのうえで国会議員と話し合うという流れで対話は進みました。

参加した子どもたちからの主張には、日常生活から感じている問題意識が多く見受けられ、「子どもの権利条約をより多くの子どもや人々が知れるようになること、そのためには人々への周知や人権教育の徹底、義務教育の間に子どもがちゃんと、子どもの権利条約の内容をしっかりと学ぶ授業をしてほしい!」や「学校内で悩みなどを相談できる、プライバシーがしっかりと守られたかたちでの独立したソーシャルワーカーの設置をお願いしたい」、「学校以外で学ぶことの選択肢があることを政府として示してほしい、例えばフリースクールや家庭で学ぶことはマイナスのイメージではなく、選択肢の一つだと認知されるような啓発に取り組んでほしい」、「外国にルーツのある子どもの就学状況の調査をしっかりと行ってほしい」、「開発途上国の子どもが質の良い教育をうけらるような援助を政府としてもっと取り組んでほしい」、「里親で育つ子どもに虐待がないような仕組みづくりを!」、「いじめや虐待を根絶させるために、幅広い視野に立った長期的な解決策を打ち出してほしい」、「家庭の収入の違いから国内の子どもの間で格差がうまれつつある。でも、家庭環境に関わらずどんな子どもでも取り残されず、質の良い教育が受けられるような政策を」などの意見が出されました。

院内集会には、多くの報道機関も取材に訪れ、子どもと議員の対話の様子をメモに取っていました。

キャンペーンでも、当日の様子を発信するユース記者を募り、SNSで配信を行いました。キャンペーンのfacebookページにてその一部が紹介がされていますので、あわせてご確認いただけると幸いです。

話し合いは、子ども達からより多くの国会議員に声を届けたいという主旨で、一度国会議員の席移動を行い、グループでの話し合いは2回行われました。1度目と2度目の話し合いの後に、国会議員数名ずつから感想と子どもの権利の実現のために個人としての意気込みを発表してもらう時間も設けました。

議員からの話の後には、全体司会を務めた鈴木さんが子ども発言者からの総括を行い、「主な課題として、子どもの権利条約をまず子ども自身が知り、誰一人取り残さない社会を作ること。そして、家庭環境によって起こる生活や教育の格差をなくすこと。最近は、インターネットを普及からSNSを通じて起こるいじめの撲滅などです。私は、新型コロナウイルスの影響がある今だからこそ、子どもが安心・安全で過ごせるような提言をし、目標とされている社会に向かって進んでいくことが改めて大切だと思いました。」と締めくくりました。

最後にキャンペーン実行団体を代表しセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの川上園子さんから閉会の挨拶を行い、院内集会は終えました。

【感想】
参加した子ども達から感想をお寄せいただきましたので紹介します。
「前回の院内集会では私が発言したことに対してコメントをいただく時間がなかったため、少し不安でしたが、その後、党の政策にしてくださったというお話などを今回伺うことができて嬉しかったです。今回は対話形式だったことにより、議員が私の発言に対して同意してくださったり、質問をしてくださったりしたのできちんと自分の提言が伝わっているように感じました。また、閉会後に、テーブルが違った議員の方とも意見を交わすことができ、これからも自分の意見を深め、もっとアクションを起こしていきたいと思いました。」(阪本瞳さん)
「一見何も価値のない私子どもたちの意見でも、時には社会を変えられる。だからこそ、声をあげ続けようと思います。」(関志翔さん)
「直接私たちに関わる法律や制度を作っている国会議員の方々に、私たちの考えていることを伝えられたので非常に良い機会を持てました。そして話を各議員の方々が真摯に聞いてくれたのが嬉しかったです。同席した議員の方から母子手帳やその他のメディア含めた周知も大切だけど、自分たちで勉強会や講演会を実際に開くことも大切じゃないかという意見がありました。確かに実践するこれも非常に大切だと思います。このような機会を今後も作ってもらい、意見交換だけではなく、どのように私たちの言葉や行動が反映され、そして私たちのためになっているのか確認できるように、全ての人が閲覧できる完全な情報公開、子どもたちの提言ができる場と権限を持たせて欲しいです。」(松田紬さん)

 

【終わりに】
院内集会後にも、会場の撤収作業の合間に子ども達から国会議員に働きかけをしている様子も見受けられました。

フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは、子ども達が自分たちの生きる社会について声をあげ、しっかりとその声を聴いてもらうことができる社会が重要だと考えています。こうした活動を通じて、社会をよりよくしていくことだけでなく、参加した一人ひとりの子どもが国会議員や政治を遠い存在ではなく、自分たちの手の届く範囲のことであるという認識が広がっていくことを願っています。