【報告】「SDG4教育キャンペーン2021」子ども・ユースロビイング活動(社民党)

フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは、すべての人々が教育を受ける権利を受けられるよう、教育分野で活動する国内のNGO・NPO団体が加盟するネットワーク「教育協力NGOネットワーク(略称:JNNE)」に加盟し、「SDG4教育キャンペーン」の実行委員をつとめています。

 

SDG4教育キャンペーン」は、SDG4(教育目標)に関する、主要政党へのアンケートの実施、アンケート結果に対する子ども・ユース世代からのウェブ投票・意見募集や、子ども・ユース世代によるロビイング活動を展開しています。

キャンペーンバナー (C)JNNE

 

本年の「SDG4教育キャンペーン2021」では、4~5月にかけて、6党(自民・公明・立憲・共産・社民・れいわ)から頂いた「SDG4(教育目標)に関するアンケート」の回答を、政党名を伏せた状態で読み、自分が「最も賛同する」党を選んでウェブ投票を行いました。その結果、昨年を大幅に上回る3,896人から延べ4,134件の投票・コメントをいただきました。(詳細はキャンペーンHP内の報告をご覧ください。)
※アンケートの詳細解説はこちら

 

全国からいただいた投票結果・コメントは、当団体が4月~大型連休にかけて募集・選考した子ども・ユースロビイングメンバー24名が、6~8月にかけて、アンケートに回答した政党及び関連省庁へのロビイング(訪問・政策提言)時にお届けします。

 

今回は第3回ロビイングとして、7月15日(木)に参議院会館で社民党の福島みずほ議員と45分間面会しました。当日は現場スタッフ・メンバー引率・補佐として、実行委員会から開発教育協会(キャンペーン事務局)、プラン・インターナショナル・ジャパン、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの職員、当団体インターン(筆者)も参加しました。

 

子ども・ユースロビイングメンバーからは、アンケートを取った6つの質問に対する社民党のコメントや、アンケート回答に基づいた、子ども・ユースからの質問・提言が行われました。一部を抜粋・要約して報告致します。

参考:昨年の報告

 

対面参加者 (C)JNNE

 

オンライン参加者 (C)JNNE

 


質問1 子ども参加・子どもの意見の尊重について(コメント)

福島議員:子ども参加は当たり前のことにしなければならない。制服は性別に関係なく、ズボンとスカートを選べるようにすべきである。下着の色指定、検査やツーブロック禁止などの「ブラック校則」は子どもの人権を侵害している。制服(そもそも制服が必要か否かという議論も含め)や校則など、子どもたちに関わるルールや仕組みは、当事者である子どもたちの声を聞いていかないとおかしなことになってしまう。

 

質問3:日本の教育課題:ジェンダー・多様性について

Q.社民党HPの「基本政策 4.ジェンダー平等社会をめざして」に「パリテやクオータ制など諸外国の先行事例を参考にしたポジティブ・アクションを進めます」という記載がありました。こうした制度は逆差別(平等を通り越して、女性の方が優遇されるような扱い)になるのではないか?という反論も出ていますが、どのように対策していくのでしょうか?

福島議員:最近ではセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの分野で声を上げる女性が増えてきたり、「生理の貧困」などの話題が自治体や国会の場でも積極的に取り上げられることも増えてきたりしており、社会全体が大きく変化しつつあることを感じている。

女性が意思決定の場に入ると、議題の優先度が変わる。例えば、男性がセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)のことを質問したり発言したりすることは非常に少ない。日本の国会、特に衆議院は女性議員の割合が約1割と少ない。(引用:内閣府男女共同参画局「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」

仰るように「パリテなどを法律で設けることは逆差別になりかねない」という意見はあるかもしれないが、あまりに(管理職などに就く)女性が少な過ぎる現状を変えるためには必要な仕組みだと考えている。海外では成功・失敗双方の事例がたくさんあるので、こうした先例を参考に、行き過ぎた制度、仕組みにならないように対策していきたい。

(補足1)
パリテ(parité)とは「均等」(など)を意味するフランス語で、2000年にフランス政府が男女が平等に政治や経済などの社会活動に参加できるように定めた法律(通称「パリテ法」)をきっかけに広まった言葉・概念(考え方)のことです。

(補足2)
クオータ制とは、特定の職業や地位に就く人数などに対し、男女比に偏りが出ないよう一定の比率を予め割り当てておく制度のことです。1978年にノルウェーで「男女平等法」が制定されたことをきっかけに世界へ広がりました。なお、「クオータ:quota」は「割り当て」を意味する英単語であり、4分の1(など)を意味する「クォーター:quarter」ではありません。

参考ページ:朝日新聞「「クオータ制」とは何か 採用していない日本は少数派」(2020年12月26日、無料閲覧範囲内)

 

質問4~6:教育を後回しにできない(Education Cannot Wait)教育のためのグローバル・パートナーシップ(Global Partnership for Education)学校保護宣言について(コメント)

福島議員:どうしても日本の国会はドメスティックな(自国内の)話題(国内の学費の問題や給食無償化など)ばかり議論しがちになってしまうことや、「海外の話を議論しても支持に繋がらない」といった先入観から、こうした海外教育支援に関する基金、宣言は議論にあがりにくい現状がある。しかし、昨今の入国管理法改正問題で全国的な抗議の声が上がったように、少しずつだがこうした国会の内向きな状況が変わり始めている。これらの基金・宣言を積極的に国会の場で取り上げていくことで、国会(他の議員)の理解・関心を高めていくようにしたい。

 

子ども・ユースロビイングメンバーとの対談の様子 (C)JNNE
子ども・ユースロビイングメンバーとの対談の様子 (C)JNNE

 

最後に、ジェンダー平等について対談している途中で、福島議員から1冊の書籍をご紹介いただきました。

福島議員:女の子は守られる存在なだけでなく、力があるというメッセージが込められている、『わたしは無敵の女の子(原題:STRONG IS THE NEW PRETTY)』(ケイト・T・パーカー著、海と月社)という本が海外でベストセラーになっている。日本でもこういった本を出せたらと思っている。

ご興味のある方は是非下記(出版社HP)をご覧ください。
詳細:http://www.umitotsuki.co.jp/book/b573489.html

 

記念撮影 (C)JNNE

 

<メンバーの振り返り・感想>

・福島議員がジェンダー問題や性教育について考え、積極的に問題解決に向けて活動していらっしゃるということを知ることができて,とても嬉しかった。政治家の方々とお話をすることで、社会問題を身近に感じることができた。これからも、自分が今の社会、政治に対して感じた疑問を忘れず、自分の意見をはっきりと示せるよう、行動していきたい。(伊東さん・東京都)

・福島議員は、私たちの質問に対して丁寧に回答してくださり、質問したこと以上の情報量を返してくださるのでとても勉強になりました。また、時間を過ぎても積極的に私たちユースの声を一人でも多く聞こうとしてくださり、とても嬉しく思いました。(櫻井さん・栃木県)

・性教育をはじめとするジェンダーの問題や国外の問題に関する議論が徐々に取り上げられ始めるなど、国会の中でも意識の変化の兆しが見えていると知ることができました。また、ECWや学校保護宣言などの国外の教育問題についても国会での議論を検討する、とお話をしていただき嬉しく感じました。(田中さん・東京都)

・福島議員の国内外の教育に対する話に引き込まれました。私は、「年齢に関わらず、自分の感性で社会を理解することが大切であること、そして生きづらさこそ社会を変えていく原動力になる」という言葉が、特に心に残りました。最後に「もっと国内外で教育予算が使われるように働きかけていく」と約束をしてくれたことに今回のロビイングの達成感を感じました。(小島さん・東京都)


フリー・ザ・チルドレン・ジャパンは、子どもや若者が「声を上げることで世界を変えられる」と信じることができる社会の実現に向け、キャンペーン実行委員として活動を続けています。
次回は日本共産党を訪問予定です。(政治・社会情勢などにより変更になる可能性があります)