【報告】11/14-15 子どもの権利条約フォーラム2020 in 南砺

みなさん、こんにちは!インターンの凜です。
11/14,15に開催された「なんとキッズライツフェス 子どもの権利条約フォーラムin南砺」にて、
当団体が実行委員として参加している「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」の政策提言チームによる、11/15の分科会E【子ども政策に求めること】ついて報告します。

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分科会では、子どもが自分の持つ権利の内容とその大切さを知り、権利の主体者として生きていくため、また、子どもの権利が包括的に保障されるための土台となる「子ども基本法」制定に向け、第一次政策提言書の発表と、事前に集めた、子どもたちからの意見の共有などを行いました。

 

【イベント当日について】

  • イベント開催日時:2020年11月15日午後1時~2時55分
  • 会場:東京でのサテライト会場に運営スタッフ数名が集い、本会場(富山県南砺市)や、関西、名古屋などのサテライト会場の他、全国の個人の参加者とオンラインでつながって開催
  • 参加者数:42人(うち南砺会場18人、うち分科会運営スタッフ16人)

 

・分科会を運営した「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」政策提言チームからは、下記の皆さんが出席しました。(13人)

 荒牧重人さん(キャンペーン共同代表/子どもの権利条約総合研究所代表/山梨学院大学教授)

 甲斐田万智子さん(キャンペーン共同代表/NPO法人国際子ども権利センター代表/文京学院大学教授)

 成田由香子さん、杉山綾香さん(NPO法人ACE/「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」事務局)

 川上園子さん、田代光恵さん、西崎萌さん(公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン

 奥田睦子さん、根岸恵子さん、本岡恵さん(子どもの権利条約フォーラムinとうかい 事務局:特定非営利活動法人こどもNPO

 中島早苗、広瀬太智、上條茜里(インターン)(NPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパン

  

 

・「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」とは

国連で「子どもの権利条約」が採択されて30年、日本政府が批准して25年となった2019年に発足しました。

(参考記事)

2019.4.22「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」ローンチイベント報告


日本社会において、「子どもの権利」の概念が浸透し、国、自治体、家庭などのあらゆるレベルにおいて、子どもの最善の利益が確保されることができるような社会状況をつくることを目的として、ネットワーク構築、政策提言、啓発等の活動に取り組みます。
「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」HPより

 

 

「子どもの権利基本法」第一次政策提言案について

 最初に、キャンペーン共同代表の荒牧さんから、第一次政策提言案の内容とその位置づけ、今後の展望について説明がありました。

 

 

*第一次提言案の位置づけ

今回発表した本提言書には2つの特徴があります:

①今回の第一次提言書は、直接、「子ども基本法」の制定に向けての内容を提言しているわけではありません。
日本社会における子どもの権利の実現に向けて必要なことを今回の提言書にまとめたので、子どもの権利保障を基本にした総合的な「子ども基本法」に関する内容を多く含んでいます。

②今回の第一次提言書は普段子どもと関わり、子どもを巡る環境について課題を感じているおとなが、子どもの意見をできるだけ取り入れながら作ったものです。

 

現在日本には子どもの権利を保障するための総合的な法律がなく、子どもに関する政策を総合的に推進する部署もない。未だに縦割り行政が続いている状況であることから、子どもの権利条約に則った「子ども基本法」の将来的な制定を私たちキャンペーンは目指しています。

 

 

*第一次提言案の6つの柱

1.子どもの権利と条約を日本および世界の中でひろめる。

① 子どもからおとなまで、みんなが子どもの権利と子どもの権利条約を知り、学ぶ機会をもち、毎日の生活の中で使っていけるようにすること。

② とくに園・学校や学校以外の子どもたちの居場所・学びの場、その他子どもたちが暮らす施設で、子どもたちが子どもの権利や子どもの権利条約を知ることができるようにすること。また、保育士・教職員や学校以外の居場所・学びの場のスタッフ、その他子どもたちが暮らす施設の職員が、子どもがおとなと同じように権利を持っているということを、きちんと理解できるようにすること。

 

2.子どもを誰ひとりとして取り残さない。

③ 子どもに対するさまざまな差別(例:「子どもだから~」「子どものくせに」などの言葉やそういう認識に基づいた行為)をなくすための取り組みを進めること。

④ すべての子どもが十分な教育を受けられるようにすること。 

⑤ 経済的な理由で他の人にとって当たり前がない状態の子ども、虐待をはじめとする不適切な関りをされている子ども、地震や台風など災害にあった子ども、その他生きづらさを感じる環境に置かれている子どもなど、子どもの権利をうばわれ、とくに大変な状況の子どもたちを支えるための取り組みを積極的におこなうこと。

 

3.子どもへの暴力をぜったいにゆるさない社会をつくる。

⑥ 虐待、いじめ、子どもに一方的に不快に感じさせる性的な行為、体罰や心を傷つけるいやな言葉など、あらゆる形態の子どもへの暴力をなくすために取り組むこと。

 

⑦ 子どもは、あらゆる形態の暴力を受けない権利をもっていて、暴力を受けたときには助けを求めることができます。そのことを子どもたちが知る機会を増やし、何かあれば相談したり、すぐに電話したりして助けを求めることができるようなしくみをつくること。

⑧ 子どものSOSをおとながしっかりと受け止めることができる人を地域に増やす取り組みをおこない、子どもにとって緊急的な避難場所を含め、安心・安全な「居場所」を全国にたくさんつくること。

 

4.子どもの声を聴き、子どもとともに行動していく。

⑨ 子どもには、自分の気持ちや意見を周りに伝えたり、集まってグループをつくったり、参加する力があることをおとなが理解して、その力を発揮できるようにするためのしくみや環境をつくっていくこと。 

⑩ まわりのおとなが子どもの声に耳を傾け、子どもが自分の気持ちや意見を伝えたり、集まってグループをつくったり、参加する力を発揮できるようにするための取り組みを進めること。

※⑨は単に理解のあるおとなが子どもの声を聞くということではなく、誰もが声を挙げられるような仕組みを作るということ、⑩はそのような取り組みを行うということ。
この違いを明確にするよう検討する予定。

 

5.子どもの権利が守られているかどうかを調べるしくみをつくる。

⑪ 法律や政策で、日本に住んでいるすべての子どもたちの権利が守られているかどうかを調べて、守られていないと分かったときにはその法律や政策を変えるよう、政府にしっかりと子どもの視点から意見できる機関が必要です。そのような機関を、国と都道府県や市区町村など自治体の中でもつくること。

⑫ 子どもがSOSを出したら、しっかりと受け止め、その解決方法を子どもといっしょに考えて行動する、独立した公的な機関(政治に影響されない子どもの視点から考え、動く機関)を、国や自治体がつくること。

※⑪は国レベル、⑫は自治体レベルに分けて明記する予定。

 

6.国の法律や政策、自治体の条例などのつくり方を変える。

⑬ 日本に住んでいるすべての子どもたちの権利を守る法律や政策をつくるために、国は、いろいろな情報やデータをあつめる必要があります。
日本政府は、
情報やデータをあつめて調べて、公開する体制をつくること。

※このために必要な調整機関や部署の追記について今後議論する予定。

 

 ⑭ 子どもに関係する法律や政策は、子どもの権利や子どもの権利条約に基づいてつくること。法律をつくるまえに、子どもの意見をしっかり聴いて、できるだけその意見を法律の中で活かすこと。そして、どんな子どもの権利に基づいてつくったかを、法律の中できちんと説明すること。 

⑮ 子どもの権利を守るための取り組みを進め、国、都道府県、市区町村がみんな協力して、子どもの権利を守っていくこと。

※市民・NPOも含め国民全体で子どもの権利を守っていくという旨を明記するよう今後議論する。

 

*今後の展望

 今後、子どもたちの声を集めつつ、本分科会で出た参加者の皆さんからの意見をキャンペーン政策提言チームで持ち帰って検討し、第二次提言案を来年春ごろに発表する予定です。その後、最終提言は子どもとともに時間をかけて議論し、2022年春ごろを目指し作成しキャンペーンとして政策提言活動を展開していきます。

 

イギリスにおける「子どもコミッショナー」の紹介

 提言書(上記)の4,5でも触れている、日本に未だ確立されていない、「子どもの意見を取り入れるシステム」の例として、イギリスの「子どもコミッショナー(リンク先英語)の事例を、子どもの権利条約フォーラムin東海の奥田陸子さんからご紹介いただきました。

 

子どもコミッショナーとは、子どもの権利の観点から国内の状況を調査し、政策提言を行う国の機関です(画像参照)。
国連子どもの権利委員会の勧告に則って創設されました。

 

子どもの声を聴いて社会に発信し、調査し、政策決定者にエビデンス(証拠/根拠)を提供します。
困っている子どもの個別救済を越えて、国全体として色々な状況の子どものことを調査し、政府への提言・社会への啓発活動を行います。

他にも、子どもたちが実際の職場におとなと対等な立場で参画する ”Takeover Day(リンク先英語)を全国で開催しています。

 

子どもの権利を包括的に守る機関として、非常に興味深い事例を提示していただきました。

 

 

事前に聞いた、子どもたちの意見の共有

キャンペーン実行委員として活動する団体や、政策提言チームに関わる団体が、事前に集めた高校生以下の子どもの意見を共有しました。
第一次政策提言案に対する提案や、提言には盛り込まれていなかった新しい視点を中心に、抜粋して紹介します。

 

・ACE(発表者:杉山さん) 対象:中学3年~高校2年の約22名       

 

・FTCJ(発表者:上条(インターン))  対象:小学5年~高校3年の8名

 

・子どもの権利条約フォーラムin東海(発表者:根岸さん) 対象:小学1年~高校3年の15名

 

東京シューレ(発表者:FTCJ広瀬代読) 対象:高校生5名

 

ワールド・ビジョン・ジャパン(発表者:FTCJ広瀬代読) 対象:小学5年~中学1年の3名

 

  • ふりがなが多用されていて中高生には読みにくいため、小・中・高校生版に分けて作成して、ふりがなや漢字を使い分けたほうが読みやすい(ACE)。
    また、公民を学習する小学校高学年より下の年齢の子どもは、権利について考えたことがないため理解が難しい(ワールド・ビジョン・ジャパン)。

 

  • 子どもがSOSを感じたとき、公的機関にアクセスし助けを求められる仕組みがあるということが大切。それだけではなく、そのことを子どもが知っているということが重要で(ACE)、「子どもの権利条約週間」やポスターなど、そのための具体的な提案を盛り込むべき。
    また、子どもが主体的に自分の権利について学べるように学校の
    カリキュラムに組み込むなども有効(FTCJ)。

 

  • 子どもを守る環境づくりのために、「子どもが過ごしやすい生活を送れているか」という視点で調査をするべき(ACE)。
    また、「子どもに対する差別的な行動をなくすための行動」について、自分が
    辛い状況にあることを話せない子どもに対するアプローチも検討する必要がある(FTCJ)。
    例えば、相談したことが漏れると事態が悪化する危険性がある場合(保護者からの虐待など)に、相談者の
    秘密が守られることも大切(ACE)。
    さらに、よっぽどつらい状況でないとSOSは出せないため、気軽な愚痴や悩みを吐ける場も必要。ただの愚痴がSOSを察知する重要なきっかけになることもある(東京シューレ)。

 

  • 全体的に抽象的でわかりにくいため、具体的で明瞭な表現にするといい。
    例:「子どもへの暴力を絶対にゆるさない社会をつくる」→「子どもへの暴力とは〇〇である。それをなくす。」(子どもの権利条約フォーラムin東海)

 

  • 子どもには得意・不得意があり、それぞれの成長や発達段階があることも明記し、どんな子どもでも主権者であることを示す(子どもの権利条約フォーラムin東海)。

 

  • 「保育士・教職員や~その他子どもたちが暮らす施設の職員」だけでなく、親や保護者が「子どもがおとなと同じように権利を持っている」ことを理解することが重要。親に子どもの権利を認めてもらえないことが一番つらいから(東京シューレ)。

 

  • 「子どもに対するさまざまな差別」を具体的に。発達的な理由で制限されるべきこと(飲酒・運転など)と区別してわかりやすくしてほしい(ワールド・ビジョン・ジャパン)

 

  • 「安全・安心」の基準を決めるのは子ども自身(子どもの権利条約フォーラムin東海)。
    すべての子どもが「十分な教育」を、学校に限らず
    それぞれが安心できる環境で受けられることが大切だということも書くべき(東京シューレ)。

 

  • 子どもの意見を聞く仕組みづくりは大切だと思う。子どもの権利についておとなも子どもも知らないから伝えるということをCMや本、動画などをうまく使いながらもっとしていくべきだと思う。書いてあることが本当に実現したらいいな!「子どもを誰ひとり取り残さない」ということはとっても大切!みんなで一緒に歩んでいくことができたらよい。子どもは人口が少ないということを認識したうえで行政関係者には政策を考えて欲しい。
    子どもにとって学校や家以外のコミュニティの場を作ることが大切。この提言書を作成し提出するだけでなく、その先が大切だと思う。
    (午前の分科会B「子どもからの発信」で出た意見)

 

子どもたちがこの政策提言を前にして、自分を権利の主体者として認識し、感じたこと、疑問に思ったこと、もっとこうしてほしいと思ったことを子どもの視点から出してくれました。子どもの権利を考えるうえで見過ごせない非常に重要な視点を提供してくれたと感じます。

協力してくれた子どものみなさん、本当にありがとうございました!

 

参加者からの質問・コメント(抜粋)

参加者同士で提言書に関する質問の投げかけや意見交換を行いましたので一部ご紹介します。

・どんな条例や法律を作ったとしても、広める努力をし続けないと忘れられてしまう。子どもの権利条約関西ネットワークが製作した、子どもの権利条約を考える「なんでやねん!すごろく」は、「私の部屋に捨てたレシートの内容を親が知っている。なんでやねん!」など、子どもが身近な権利侵害に気づいて言い出しやすくなる工夫がされており、子どもたちの心をつかんでいたのでとても良い取り組みだと思う。

 

・子どもの権利条約について、海外の国ではどのように子どもたちに発信しているのか、事例を教えてほしい。

→  (FTCJ中島)フリー・ザ・チルドレンを12歳で設立した、カナダのクレイグ少年は、地域にいる「子どもアドボケイト(子ども権利擁護者)」を通じて、子どもの権利条約の存在を知り、条約の理念が団体のバックボーン(背景)になっていることを感じた。

 (シーライツ甲斐田)インド、カンボジア、ネパールで事例がある。子どもの権利条約は西洋の概念と思われているけれど、途上国でも熱心に啓発活動を取り組んでいる事例はあり、「子どもに関わることは必ず子どもに聞いてからでないとダメ」という理念を当たり前にしていこうとする意識がある。
Child Rights Coalition AsiaというNGOなど
が子どもの権利に関する啓蒙をしながら、システムづくりを支援したという事例がある。
日本はそのような支援も入らず、政府も消極的、教師も消極的な傾向があり、子どもは子どもの権利について学校で学ばずに育っている、といった悪循環が生じている。

  (セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン田代)セーブ・ザ・チルドレン・スウェーデンが行ったYoung Voices(2014)(リンク先英語)という調査では、「だれもこれについて『あなたの意見はどうなの?』って聞いてくれなかった」というメッセージが子どもから寄せられた。
日本の中でも子どもの声を公で聞いていくということが重要だと思う。とはいえ、行政関係者もどうやって子どもの声を聞いたらいいのかわからないという人が多く、
民間団体の方からその手法を示して仕組みに取り入れていくという可能性もあるのではないか。

 

・子どもからの意見で、信頼出来るおとなが政治をしてほしいという意見があった。ニュースや新聞を見てるのだなと思うが、しっかりやっている人もいる。
一方的な報道などメディアの公平性など、おとなや社会も変わっていかないといけないと思った。

 

・子どもの権利の主体(主役)は子どもであり、おとな・支援者の役割は主役である子どもに伴走することである。権利を守ることの具体例としては、「子どもが自分で決めること」の尊重とか、子どもに同意を求めることなどが分かりやすい。おとなや支援者が「子どもの声をきかねばならない」という働きかけにつながると思う。

 

・フィンランドの憲法の中に「子どもが人として尊重される。年齢の発達に応じて、自分にかかわることに対して意見を言うことができる」ということが書かれている。子どもの権利が日本ではまだまだ重んじられていない。
第一歩として、まず基本法の制定によって
おとなたちの認識を作らなければならない。一方で、この提言書を作っても、実際にうまくいくんですか?という子どもの指摘には共感。おとなも頑張るので、子どもたちも待っていてほしい。
参考:国立国会図書館調査及び立法考査局「各国憲法集(9) フィンランド憲法」(13ページ)

 

・日本で暮らす多文化の子どもたちの声も聞いていかなければと思う。

 

・午前中に分科会D【外国にルーツをもつ子どもの権利】(主催:アレッセ高岡に参加した。子どもの声を聴くというとき、言語の壁がないように努めることの大切さを改めて思った。

 

 

最後に参加者のみなさんで、記念撮影を行いました!

有意義な発表をしてくださった登壇者のみなさん、さまざまな意見を寄せてくれた子どものみなさん、
そしてお忙しい中ご参加・視聴してくださったみなさん、本当にありがとうございました!
皆さんからの貴重なご意見をもとに、更により良い提言書の作成へとつなげ、子どもの権利保障の実現を皆さんと共に目指していきます。

 

【謝辞】
本イベントに当団体がが関われるようご支援くださった
大東建託グループみらい基金」さま、ありがとうございました。

 


(参考)
「子どもの権利条約フォーラム」の過去記事

2019年

子どもの権利条約フォーラムが開催されました!

2016年

12/11・12子どもの権利条約フォーラム2016in関西で分科会を実施します!

 

2013年 ※記事内の「アクションキッズ」は活動終了しました

アクションキッズ公演@子どもの権利条約フォーラム2013

【活動報告】子どもの権利条約フォーラム実行委員