十代の活動家が、おとなに伝えたいこと

子どもが、「世界は変えられる」と信じられる社会を創っていくためには、どのようなことが必要なのでしょうか?

十代の活動家のキアラ・ピカオは、おとなの後押しや応援が不可欠だと訴えます。

キアラの寄稿文を今回はご紹介します。(清田)

 

https://www.we.org/stories/five-ways-adults-can-empower-youth-to-change-the-world/

私は、「若者は未来のリーダーではなく、いまのリーダーだ」とおとなが励ましてくれる環境の下で育ちました。

それは、「私だったら世界を変えられる」という想いを育むことができる環境でした。

 

このような環境に育ったため、弱冠11歳にして、私は募金集めのキャンペーン「Climbing Mountains for Girls’ Education」を始めるにようになりました。

文字通り実際に山登りをしつつ、目指す目標は不公平と言う名の山―女の子の教育を受ける権利が保障されていないという山と闘うことでした。私はWE Charity(フリー・ザ・チルドレン)がケニアで支援する2校の女子校のために資金を集めました。

募金活動を通じて、支援に必要なお金が集まるだけでなく、「女の子や女性が教育を受ける権利は人権だ」という意識が広まることを願って活動をしました。

両親や先生、地元のおとなたちが、私がリーダー・活動家になるに必要なスキルを身につけるために力を貸してくれました。

 

若者に世界を変えて欲しいと期待を寄せる人たちに、私は次の5つの重要なステップをお伝えしたいと思います。

おとなのみなさんも行動を起こして下さい。

1.世界の情勢に注目するよう若者に促す

 

世界の情勢は社会的正義への情熱をかき立てることがあります。

私が何かをしたいと思うようになったのは、ニュースでパキスタンのマララ・ユスフザイさんが銃撃されたのを知ったときでした。

彼女が教育の権利を強く訴えたため過激派グループから標的にされていたという事実は私を奮い立たせ、誰もが教育を受ける権利があると訴える活動を始めるきっかけになったのです。

テレビでマララさんの話を見ながら私は衝撃を受け、悲しくなり、世界を変えたいという衝動に駆られたのです。私が社会運動の道を歩み始めた時に極めて重要だったことは、世界の情勢に関心を持っているということでした。それは私の住む世界についての理解や、視野を広げる際に大きく役に立ちました。

おとなは、世界の情勢について関心を持つよう若者を励ましながら、彼らに社会の不公正な問題について触れさせるきっかけを作ることができます。

それが、いまの世界、あるいは未来の世界に、変化を起こすことにつながるかもしれません。

 

2.タブーな話題を無くす

 

初めて人権について興味を持った時、世界の特定の問題について議論することがしばしば避けられていることに気づきました。これらの議論は何となくタブーであったり、物議をかもしそうで、良い悪いとかいう是非を問うことも多く、政治性も絡み、一般に的に議論するのが不適切だと思われがちだからです。

しかし、こういった話題を議論しないことで、おとなは若者がこれらの重要な問題について学び関わる機会を奪っています。

私は家族から、世界のことについての知識を身につけるために、世界のどんな問題でも議論し質問をぶっつけるようにと、常に励まされていました。教育を受ける権利の問題も、その一環でした。それについて両親は、研究して議論を深めなさいと私を励まし、その問題の活動家になる道を切り開いてくれました。

このような後押しが無ければ、女性が教育を受ける権利を訴える活動を私がすることは決してなかったでしょう。

以上のような経験から、若者が世界で起きている問題について触れることのできる機会を持ち、深く勉強することができるようになるために、おとなのみなさんにも努力を求めます。

 

3.勉強だけじゃなくて、生きていくうえで大事なスキルも教える

 

学校では、若者は徹底した労働倫理、組織、自主管理など、職場の中で彼らが使う多くの重要な知識を学びます。

家庭では、料理やモラル、倫理のような実用的なスキルを学びます。でも、リーダーシップ、批判的思考力、自分の意志に従って、ときにはリスクを冒すといったようなことついてはどうでしょう?

私の場合は、常にこのようなことを促してくれた家庭に育ったため、私は自分自身の考えや計画、意見を確立することができました。このおかげで、私はリーダーとして成長し、個人としても自立することができるようになったのです。

WE Charityとのキャンペーの企画は想像以上に簡単になりました。

私はすでにこのようなことをするに必要なスキルを身につけていましたから。

若者がこれらのスキルを伸ばせるようおとなが手助けすることで、若者はチェンジメーカーとして成長していくのです。

 

4.若者が情熱を探究できるようにする

 

教室や家庭での生活はとても忙しいことがありますが、そんななかでも学校や家庭で、柔軟性を持って、若者が抱くその情熱を駆り立て探求できるようにさせることが大切です。

先生が授業の中で、資金集めの一環として、クラスメートと女平等について議論する時間をつくってくださっていなかったら、学校の人たちからの寄付を受けることもなかっただろうし、この基金集めは到底成功とは言えなかったでしょう。

そのうえ、学校で私の情熱を探求する時間と空間を与えられたことによって、私はこの活動を続けるモチベーションと、先生やクラスメートたちからの応援を得ることができました。

若者に自分の情熱を探求し学習できる時間を与えることは、彼らが計画を立てる上で力になるでしょう。

 

5.若者の大志を尊重する
私の人生の中で出逢ったおとなは、私の社会変革への情熱や意見、活動家としての私の活動すべてを評価してくれました。両親や先生、家族の友人の支援が私の背中を押す力となり、私は直面する全ての困難を切り抜けることができました。

私があまりにも若く、リーダーとして見られてもいいのだろかと疑問に思い怖くなったり、無力感を味わうことが度々ありましたが、その度に、私はより力強く歩むことができるようになりました。

おとなが、世界をより良い場所にしようとする私の活動を評価してくれていることを、私は知っていましたから。

若者の努力に高い評価を示してくれるおとなたちは若者が自信を持つ上で大変重要であり、「世界を変えるためにまず自分が変わろう」(ガンジーの言葉)と努力し続けたいと思っている若者の励みになることでしょう。

だから私はおとなのみなさんに強く求めます。若者が私たちの住む世界に貢献する姿への評価と、そしてリーダーとしての働きに対する評価を、たとえ一言でも言葉で示してください。

一人のおとなからの小さな励ましが、大きな助けになるのです。

 

私のこれまでの人生の中で、おとなたちが実行してくれたこの5つのステップは、活動家としての歩みの中で私には欠かせないものになってきました。

あなたが親であり、先生、コーチや地域社会に影響力を持っている人であれば、あなたの生活の中でこれら5つのステップを若者のために使って、将来のリーダーを育てるよう力を尽くしてほしいと強く望みます。

キアラ・ピカオの活動を紹介した過去の記事

 

目指している頂上は、「全ての子どもが教育を受けられる世界!」若き登山家の挑戦

 

(原文記事執筆: キアラ・ピカオ  翻訳:翻訳チーム 松田富久子 文責:清田健介)