「空腹の人をゼロにしたい!」:小さな学校の生徒たちの素晴らしき団結力

「腹が減っては戦ができぬ」ともいうように、お腹を

空かせた状態を長引かせることは、誰にとってもよ

くありません。でも、充分な食糧を得られない人もい

ます。そんな人をなくすために、若者が立ち上がりま

した。(清田)

https://www.we.org/stories/small-school-in-yorkton-saskatchewan-leads-we-scare-hunger-food-drive-for-community/

「何がきっかけで、このアクションを始めたの?」マ

ディソン・ホフマンにこう聞くと、彼女は即答してくれ

ます。穏やかな口調ではにかみながら。少し恥ずか

しそうにも見えますが、そのいきさつを語っている姿

には、情熱が垣間見えました。最初はゆっくり喋りな

がらも、次第に熱くなり雄弁になっていきました。

 

マディ(友達は彼女のことをこう呼んでいます)は母

子家庭の子として育ちました。幼少期から請求書が

山積していたのを覚えています。「両親が離婚した家

庭の子に生まれると、経済的に本当に苦しい状況に

おかれます」と彼女は言います。「ひとり親家庭だと、

水道や電気代などすべて独りで支払わなければなら

ないからです」。マディは次々と話を続けます。その時、

中学3年には背負いきれない様々な思いが、彼女の脳

裏をよぎって行くのです。

 

中でも彼女が思い出すのは空腹です。朝食抜き、また

はお弁当なしで学校に行くのが日常という日がありまし

た。そういう時は、夕食までじっと我慢して、ようやく母親

と食事ができたのです。

 

祖父と暮らしている今では、テーブルにはいつも食べ

物が置いてあります。食べるものが無いとはどんなも

のか知っている―「どんな感じのものなのかがよく分

かる」ので、マディはみんなにこのことをぜひ知ってほ

しいと思っています。彼女は他の生徒たちに余分に食

べ物を持ってきます。彼女の言うとおり、実際に、「空腹

の状態でいるべき人は一人もいない」からです。

 

サスカチュワン州、ヨークトンのヨークデール・セ

ントラル ・スクールのWE(フリー・ザ・チルドレン)

クラブの全員がマディの経験を実感しているわけ

ではないとしても、全員が彼女に共感しています。

 

ケンドラ・ヘルフリッチは、7年前WE Schools のプ

ログラムを生徒たちに紹介しました。ケンドラの説

明によると、ヨークデールは地域の食べ物の不安

定な状態には特に敏感だということです。およそ4

分の1の生徒が学校の行う朝・昼食の無料提供プ

ログラムに登録していて、空腹や貧困を焦点に、ク

ラブのメンバーは自分たちにも非常に身近、かつ重

要な問題として取り組んでいます。

 

去年、ハロウィンに先立つWE の食品寄付の募集運動の

期間に、大規模な全校キャンペーンがあり、ヨークデール

・セントラル校のほとんど全員の生徒が参加しました。しか

し、クラブの設立者にとって、それは地元のフードバンクに

持っていく缶を集めること以上のものでした。彼女は生徒た

ちに貧困そのものをより深く理解してほしいと思っています。

「私たちの地域にはさほど多くのホームレスの人がいるという

わけではありませんが、家賃を支払うか食料を買うか、また、

新しい靴を買うかガス代の支払いに当てるかを選択しなけれ

ばならない人がいるのです」と、このベテラン先生は言います。

「一口に貧困と言っても、それは千差万別であることを生徒たち

に知ってほしいのです」。

 

地域のニーズについて情報を集めるなどしながら、ク

ラブは集めたものを学校給食を提供する地元の団体

、Soup Havenに直接寄付することにしました。準備の

ために、生徒たちはどんな寄付が最も必要なのかこ

の団体に予め訊いておいて、それから、ハロウィンに

向けての数週間の準備期間に近所の家々を回り、家

の人がいつドアをノックされても必ず準備ができている

よう依頼しました。

マディは、さらに踏み込んだアクションを起こしまし

た。

 

週に2度は朝早く登校して、寄付が順調にいきわたる

よう手助けしました。近隣の家の食料品収納棚から食

料をもらいSoup Havenのレンジの上に乗せる手伝をす

ませると、次に彼女はカフェテリアでボランティアとして

働き、朝食を用意して生徒を迎えました。

 

WE School クラブのリーダーであるケンドラは、活動

を通して取り組んでいる問題をより深く生徒たちに理

解させるために、どんなことでもします。去年クラブの

生徒を連れてウィニペグ(カナダ・マニトバ州南部)に行

きました。校外見学で人権博物館を訪れた後、この先

生は13人の生徒を連れて地域の(困窮者のための)無

料食堂まで足をのばしました。ここでも生徒たちは貧困

と飢えについて更に学びました。

 

Winnipeg Harvest フードバンクで数時間トマトと玉

ねぎの区分けをしたり、Siloam Mission(州内で事

業展開するNPO)で提供された支援プログラムに

ついて学びながら、この郊外学習に参加した生徒

たちは、貧困と闘っている人々の生活を垣間見る

ことができました。

 

マディは、この二つの経験を愛情込めて語り、それか

ら、クラブについて最も忘れられない経験を話します。

2年前のこと、メンバーはSiloam Missionの巣立ったば

かりの若い音楽プログラムを支援しようと地域から中

古のギターを集めました。クラブの援助を得て、ほこり

だらけの物置にしまいこまれていた古い楽器は、絃

も新しくなり、必要としている人のたちに届けられ、「

第二の人生」を歩み始めました。

 

ミッションツアーの間、マディとクラスメートは、こ

れらのギターが役立っているところを直に目にし

ました。「誰かが私たちのところに来て即興的に

作曲し、弾き始めました」。マディはその場面を

笑顔で振り返ります。「彼の幸せそうな顔に出

会えるとは驚きでしたね。彼の目には希望が

あり、その光は彼の周りを明るく照らしていま

した」。

 

このような結びつきは、WEクラブ設立者の活動の究極

の目標です。WE の食品寄付の 活動、トマトの仕分け

作業、朝食の準備、これらの活動はすべて共感と理解

を深めるための旅の通過点に過ぎません。街の人口の

僅か400人のうち、クラブのメンバーは現在65人に達して

いますが、将来は、より多くのつながりが徐々に広がって

いくに違いありません。

 

マディ自身―5年生の時からWEで動をしている若い

女性―について言えば、彼女がこのクラブに関わっ

たことからコツコツ積み上げて来た学習は、すでに彼

女の物の見方を変えて来ています。彼女は進行中の

この旅を要約して誇らしげに言います。「このクラブお

かげで、私は成長できました」と。

 

(原文記事執筆: ジェシー・ミンツ  翻訳:翻訳チ

ーム 松田富久子  文責:清田健介)