【報告】国会議員のための「世界一大きな授業」2018

2018年も中高生が教師役、国会議員が生徒役になり世界の教育について学ぶ

「世界一大きな授業」が6月6日に開催されました。

本年は過去最大となる24名の国会議員に参加いただきました。

*なお当日の様子は以下のリンク先から動画で見ることができます。

https://www.youtube.com/watch?v=5ITGrVEI4t8

今回の授業を実施するにあたって、4月より中高生は集まり世界の教育についての

現状を学び、また、これまでにフリー・ザ・チルドレン・ジャパンも参加して

いる教育協力NGOネットワーク(JNNE)が行っている政策提言の内容にの理解

を深め、そのうえで、授業と提言内容を決めました。

当日の授業では、大きく3つのパートに分かれて展開されました。

まず最初に「教育の重要性」について、アラビア語で記載された文字から

風邪薬を見つけるというアクティビティを通じて考えました。国会議員の

生徒たちを3つのグループに分け、それぞれ「読み書きができない状況」

「初等教育」「中等教育」とみなして、冊子(教育レベルが上がるほどに

言葉の意味が分かるようになっている)が配布され、字の読めることの

意味合いについての理解を深めました。

そして、実際に自分たちが風邪薬だと思う水を試飲しました。

続いて、「GPE(教育のためのグローバル・パートナーシップ)基金に

ついての理解」を深めるアクティビティを行いました。中高生たちは、

今回の授業では、全ての子どもが教育を受けるために必要な資金について

問題意識を持ち、そのうえで、世界的に行われているGPE基金と基金に対する

日本の貢献について中心的に取り扱うことになりました。

2つ目のアクティビティでは、世界銀行の主導で立ち上がり、開発途上国への

初・中等教育普及のための基金であるというGPE基金の概要を説明し、

そのうえで、日本の2018年度の拠出金額をODA(政府開発援助)全体との比較を

リボンを用いて行いました。

そして、GPE基金の拠出実績をGDP(国内総生産)などとの比較から、

日本が現在行っている拠出金額についての理解を深めていきました。

最後に中高生からの提言として、SDGs(持続可能な開発のための開発)の

教育分野の目標達成にも資するといううえでGPE基金への拠出を含めて、

建物や道路だけでなく、教員の給与など「目に見えない支援も!」という

メッセージの発信を行いました。

イベント終盤に、生徒として参加した国会議員の方からは、

「国会の参考人招致で中高生に発言をしてほしい」というような

意見も出されました。また参加した国会議員一人ひとりから教育支援に

ついての考えや参加した中高生へのメッセージもいただきました。

こうした一つひとつの発言を得られたことも、中高生一人ひとりが

情熱をもって取り組んだ結果なのではないかと思います。

参加した中高生からは感想が届いていますので、以下に紹介します。

「深い知識や情報を頭にいれてから企画をするのがすごく大変でした。

どんなアクティビティをすれば、心に響くか考えるのも難しかったです」

(高校生 宮島さん)

「どのようにしたら、分かりやすく相手に伝わるのか、言い回しなど

一言一言細かいところまで考え、最後の最後まで調整していかなければ

ならなくて、既存のものよりもさらに良いものを作るための手間が

とても大変でした」(高校生 田中さん)

また、今回の企画を通じて苦労の中にも発見ややりがいを見出した

という声もいただきました。「今までは授業やワークショップを

受ける側だったので、授業を企画して実際に教師役となって生徒に

教えるということがとても新鮮で、苦労もしたけれども、とても

やりがいがあった」(中学生 越野さん)

「今まで教育支援というと寄付や学校を建てるというようなもの

でしか考えられていなかった。今回、国に働きかけるという方法を

知り、自分の視野を広げることができた。また、授業後の反応から

今回国会議員の方に伝えたかったことはある程度伝えることができた

と思う。しかし、実際に行動に移してもらうことが最も大切だと思う

のでこれからは行動に移してもらうように働きかけることが必要だと

思いました」(中学生 松尾さん)

「まず、大阪から参加したという地理上の不利があり、事前の

打ち合わせにすべて参加できなかったことが残念です。

もっと参加し自分の意見を企画に生かしたりしたかったという

思いはあります。けれどもとても楽しく、いい経験になりました。」

(高校生 池邊さん)

「最後の議員さんからの感想で私たちが言いたかったことをある

程度伝えられたなと実感しました。国会議員さんだけではなく、

学校の人、家族にもこのことを話したいと思いました。

貴重な経験ができて本当によかったです!」(高校生 廣瀬さん)

「初めは一から十まで自分たちで完成しなければならないことに

すこし不安を感じていましたが、やり通すことができて本当に

達成感でいっぱいです」(高校生 有馬さん)

「(世界を変えていくために)自分にできることがあまりにも小さいの

を歯がゆく思っていた中で、国の政策を決める立場にいる国会議員に

直接働きかけることができたのは大きな収穫でした。当日の授業の

内容については、正直内容には満足していません。説得力に欠ける

論理構造のところもまだありましたし、議員の感想を聞くと私たち

の意図とは違って受け取られていたところもあったように思います。

ただ、中高生の新鮮な視点や無邪気さで伝えられたことはあるの

ではないかと思います。個人としては、実は、プレゼンがものすごく

苦手でした。人前で話し、しかもライブ配信があるので画面の向こう

にも聞いている人がいて、さらにインターネット上に残ってしまう

というプレッシャーがあったはずなのですが、話しているときは

なぜかすごく楽しかったです」(高校生 明畠さん)

多くのメンバーから人に物事を伝えることのむずかしさがあったと

感想をいただきました。

また、今回は国会議員に対しての授業を行う同世代を応援しようと

全国各地から「発信メンバー」を集い、自分の選挙区の国会議員に

授業への参加をお願いしたり、あるいは、youtubeで配信される

動画を共有するという活動も行いました。当日「教師」役を担った

中高生だけでなく、全国各地の同世代の子どもや若者、そして、

教育協力に関わるNGOとして共に活動ができたことをうれしく思っています。

当日授業に参加していただいた議員の皆様、ありがとうございました。

参加してくれたメンバーのみんな、お疲れ様でした!