ニューヨークの都市農園から始まる、静かなる食の革命

ファーストフード店がひしめくアメリカのニユーヨーク。そんな大
都会で都市農園をつくり、アメリカの食の現状に風穴を開けよ
うと奮闘する若者がいます。(清田)

https://www.we.org/stories/green-city-force-brings-farm-fresh-food-to-the-city/

ションタニス・ベイリーが、ニューヨークのど真ん中で農業革命の
種を蒔いています…

ブルックリンで生まれた彼女は、すぐ近くにファーストフードチェ
ーンが軒を連ねる一方で、近くに果物や野菜を売る所を見つけ
るのに大苦労するといった環境の下で育ちました。この若い女
性は、「ファーストフードチェーンの所有者なんて、この地域の
住民には無縁の人だろうからと即座に決め込んで、そのような
所有者を探すことさえ思いもよらなかったと、言います。
「頭が凝り固まっていました。」ションタニスは話します。
「食品のことや社会正義の問題についての知識もなく、
現状はどうなのかについてさえ何の知識もありませんで
した」。

彼女がより新鮮な野菜の食品に接したきっかけは、アメリカ政
府が運営するボランティア体験事業「アメリコー」の「グリーンシ
ティーフォース」に参加したことでした。このプログラムは、若者
に環境に関心を持ってもらうことを目指したプログラムです。土
に手を入れて作業を開始する前に、このプログラムでは、健康
的な食事についての考えを紹介します。この場面で、意識喚起
が行われるのです。「健康的な食事をするというのは、単に食に
生活ついてついてのことだけではない。新鮮な野菜を手に入れ
られるかどうか、それは野菜へのアクセスが確保されるかどうか
という問題でもある。健康的な食事を食べられるかどうかの問題
は、社会正義の問題でもある」という気づきを得るのです。

これはションタニスのような若者にとって、これは死活問題です。
「『私が最も関心を寄せているのは何だろう?』と考えました。貧
困とか、健康的な食事の摂りかたとか。健康的な食品を安価で
買えないことも問題だと思ったんです。」彼女は強調します。


この若い女性の問題への熱意の目標のなかには、当然彼女自
身がファーストフードを絶つことも含まれていましたが、正直、全
く容易でなかったと打ち明けています。しかし間もなく、この場違
いにも思える新米農家の女性は、これまでの生活から欠けてい
たもの、より正確に言えば、ファーストフードやフライドフードを避
ける生活を始めたことから得られたものを発見していきました。
それから間もなく、新鮮な野菜作りは、名実ともに彼女の生活に
欠かせないものになりました。

Green city Forceと協同して、ションタニスは公営の住宅用地で
都市農園を発展させていきます。そして、その都市農園で収穫
された農作物を付近の住民に無償で与えることに助力しました。

しかし、この新たな都市農園の誕生を、近所の住民全員が喜ん
でいた訳ではりませんでした。事実、最初の収穫の時には、地域
の人たちこの農地から採れたものを口にしてもらうのは難しい状
況でした。「みさんには、まったく気に入ってもらえませんでした」
とションタニスはふり返えります。住民には、農園が地域にそれ
に見合った見返りをしてくれるというより、むしろ地域から何かを
奪い取り去って行くように思えたのです。ションタニスの言葉によ
れば、彼女の野菜作りはこのような意見に遭遇しました;「ここに
農園など作るべきじゃないわ、子どもたちには公園が必要なのよ、
子どもたちには遊ぶ場所が必要だわ」。

「自分たち自身の地域に農園がある素晴らしさを説明するのは
難しい」ことが分かり、彼女と仲間たちは、地域の住民と栄養の
ある食事(新鮮な果物や野菜が必ず入っている)の大切さについ
ての対話を始める一方で、実際に野菜を育てて実演して見せる
ことにしました。

それでもなお、住民はこの新しい緑豊かな都市産野菜を受け入
れる気にはなりませんでした。しかしチームは諦めませんでした。
「私たちの食品を配ってみてはどうかしら、『ちょっと手にとって、食
べてみて。どうぞ、どうぞ、無料よ』と言うふうに」。

今ではもう、地域の住民に農園から採れる新鮮な食べ物の恩
恵を説いて回る必要はありません。収穫の時期は今では地域
全体の祝いごとなのです。「それはもう大興奮! こんなふうに
『よく戻って来てくれたわね。助かるわ;素晴らしいわ』とね」

それでも、まだこの取り組みは道半ば。ションタンニスはもっと多
くの地域住民に「健康的な食事を」と呼びかけたいと思っていま
す。彼女は農園があり野菜にアクセスできることは―どこに住ん
でいても、住んでいる地域にかかわらず―誰にでも保障されるべ
き大切な権利だと思っています。さらにまた、栄養の摂取は、全て
の人が利益を得ることができる―且つ全ての人が恩恵を受けるべ
き―投資だと強く訴えます。「自分の手で作業をし、今までより健康
的な生活を始めたら、心身ともにこれまでとは違うなと実感しますよ。
本当に気分が良くなるんです。」

(原文記事執筆:ワンダ・オブライエン  翻訳:翻訳チーム 松
田富久子 文責:清田健介)