社会を変えるアクションを起こすことで生まれる社会とのつながり

 

カナダのキャピラノ大学で社会に出るためのトレーニングに励む障害を抱える若者たち。

彼らはプログラムのなかで行われている社会問題を解決するプログラムを通じて、世界を変えると同時に、自分たちの人生を切り開いています。(清田)

https://www.we.org/en-CA/we-stories/local-impact/we-bake-for-change-create-connection

 

 

 

 

 

 

 

 

高校生活から大学生活やフルタイムの仕事へ移行するのは大変です。

ADHDやディスレクシア(いわいる失読症)自閉症スペクトラムといった学習障害や、不安障害やうつ病などのこころの健康の問題を抱える若者にとってはさらにやっかいです。

 

「学習障害と付き合うことは、時にはつらいことです。そして、どんな学生でも大学生活に適応するには苦労が伴います。私たちの大学のプログラムには、学生たちが友人関係を築けるという良さがあります。学生同士が親しくなっていく様子を見ると、講師としてはやりがいを感じます。」キャピラノ大学でEducation and Employment Access programという革新的なプログラムの講師を務めるキャスリン・モスクリップは言います。

Education and Employment Access programは、2015年から行われている8ヶ月の移行プログラムです。

このプログラムは、高校を卒業した18歳以上の若者が個々の直面する課題を乗り越え、それぞれの目標を達成するのを助けるために計画されました。

毎年、14人の学生がうまく学生生活を送る方法やコミュニケーション、就職に役立つスキルを学びます。

14人の学生たちは講師や仲間から自分に合った支援を受け、興味を持っている分野での6週間の職業実習を通して実地の経験を得ます。

WE Schoolsのサービスラーニングプログラムは、はじめからEducation and Employment Access programのカリキュラムに組み込まれています。

学生たちは、地域の社会問題(例えばホームレスなど)一つと、グローバルな課題(貧困など)一つに協力して取り組みます。プログラムでの頑張りによって、学生たちはWE Dayバンクーバーへの無料チケットを手にし、同じように世界をよくするための取り組みを行う若者20,000人近くと交わる機会を得ます。

モスクリップと彼女の同僚のアリソン・ヘイルは、WE Schoolsのプログラムを利用して、学生たちがコミュニティーとの関係を築き、社会性を身につける手助けをしています。

「私たちはバランスのとれた全体的な学生像を考えることを重視しています。勉強やキャリアのことはもちろんですが、それと同時にコミュニティのよき一員になることもです。」モスクリップは言います。

学生たちの多くは、高校時代には社会奉仕団体に関わる機会を持っていませんでした。「私たち講師は、全ての若者に自分の殻を破る経験をしてほしい、そして国際社会の一員であると気付いてほしいと思っています。」彼女は付け加えます。

 

学生たちは、WE Schoolsのプログラムマネージャーの助けを借りながら、重要だと思う地域課題や地球規模の課題をグループで協力して見つけ出し、プログラム期間を通じて実行する行動計画を作成します。

 

グローバルな活動としては、毎年春にWE Charity(フリー・ザ・チルドレン)の国際開発プロジェクトを支援して、WE Bake for Change(ロビン・フッドが始めた、WE(フリー・ザ・チルドレン)によるサービスラーニングの試み)を通した資金集めをします。

2016年には、インド人家庭出身のある学生が、インドの農村について調査を行い仲間に向けてプレゼンテーションをして、WE Charityがインドの農村で展開する医療プログラムを支援するための仲間を集めました。

2017年にプログラムに参加した学生たちは、WE(フリー・ザ・チルドレン)がハイチで行う水の浄化プロジェクトの支援をすることを決めました。

学生たちは、ベイクセール(カップケーキやクッキーを販売するバザー)をキャンパスの食堂で毎週月曜日の昼食の時間に4回にわたって開催し、目標の2倍以上に当たる525ドルを集めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

WE Bake for Changeのベイクセールを通して、学生たちはカップケーキをうまく焼けるようになり、ユニークな広告作りやデザイン、マーケティング、計算といったスキルを身に付け、お金をうまく扱えるようにもなりました。

 

「ベイクセールを通して得られたものは他にもありました。チームワークやリーダーシップなどです。私は、学生たちが一緒に働き体験を共有する様子を見るのが大好きです。」モスクリップは言います。

 

講師として何よりもやりがいを感じるのは、学生たちが人として成長を遂げ、大学に溶け込んでいく様子を見ることかもしれません。

 

「プログラムに参加する学生には、社交的な学生もいますが、完全に内向的な学生もいます。強い不安状態にいる学生もいますし、自閉症の傾向があって音に対して敏感な学生もいます。」ベイクセールでは全員が交代で働き、クッキーやカップケーキを買いに訪れた学生と会話したり、学生からの質問に答えたりします。「私たち講師の仕事は、プログラムの学生たちをたくさん褒めることです。彼らなりの戦略を用いて挑戦する学生たちの様子が見られるのは嬉しいものです。」モスクリップは言います。

 

(原文記事執筆:シャロン・マコリー 翻訳:翻訳チーム明畠加苗 文責:清田健介)