この世界の素晴らしき多様性を発信しているシカゴの高校生たち

100か国以上の生徒が通っているシカゴのマザー高校。

この学校の生徒たちは、在校生の肖像の制作を通じて、世界中の人たちが共に手をつなぎあえるということを伝えようとしています。(清田)

https://www.we.org/en-CA/we-stories/we-day/chicago-high-school-students-promote-beauty-of-diversity

 

カチッ。カチッ。ピカッ。

 

「そう、いいよ。笑って、君、笑って」

 

カメラの後ろで背を丸め、マザー高校の生徒ミゲル・ディアスは、カメラ越しに仲間の生徒が入れ替わるたびにシャッターを押します。

 

 

ミゲルとWE(フリー・ザ・チルドレン)クラブの他のメンバーは、美術と写真の教師カマラ・スミスの指導のもと、生徒の肖像を撮って学校中に貼ることで、マザー高校の多様性を楽しみ祝っています。

このシカゴの高校には100以上の国の生徒がいて70の言語が話されており、アメリカでもおそらく、もっとも多様性のある高校のうちの一つです。

 

 

 

 

 

 

 

マザーWEクラブは、オールステート財団の支援によって運営されているWEボランティア・ナウのプログラムを通して、差別問題に取り組み、共生社会を促進することに力を入れています。

WEボランティア・ナウは、クラブのメンバーが気にかけていることの原因を解決するのに強いインパクトを与えることのできるブレインストーミングをする手助けをしています。

 

みんなが見られるように肖像を飾ることで、スミスは、生徒たちがマザー高校の一員であると感じられるようにする手助けをしたい、そして、人種、宗教、あるいは性自認にかかわらず、マザー高校ではだれもが歓迎されていること表現したいと思っています。

 

「お互いが戦争している二つの国から子どもたちが来ることもあります。でも、マザー高校では、彼らは友だちなのです」とスミスは言います。

 

 

 

 

 

 

 

その学校の多様性により、生徒たちはすでに、他の文化や国に対して深く共感できるようになりました。

スミスは、写真を見た人たちが他者との違いをさらに受け入れ、認めることができるようになることを望んでいます。

 

「私たちの学校を訪れただれもが学校の平和な様子を見たとしたら、これがこの世界があるべき本来の姿だとわかるでしょう」とスミスは言います。「世界の一部の地域の人たちに会ったことがないからといって、その人たちを恐れるのは悲しいことです。ただ、もっと広い心をもって、私たちが毎日、目にしていることを見ることができれば、きっと多くの人たちの考えを変えることができるでしょう」

 

マザー高校での多様性は、お互いの違いにより寛容に、より共感することによって、生徒たちが安全な場をつくる助けとなりました。

どこの出身であろうと、またどんな経験をしてこようと、それは市民権の手続きになりますが、戦争を逃れ、英語を学び、同じことを経験した人がいます。もし経験を共有できなかったとしても、お互いの葛藤に耳を傾けることができます。

 

このプロジェクトをお祝いするため、オールステート財団は、新しい写真展を見せるためにWEクラブをシカゴ文化センターに招きました。

センターに着いたとき、生徒たちはギャラリーが自分たちの肖像でいっぱいになっていることに気づいて驚きました。

 

ミゲルは、自分の写真が展示されているのを見て大喜びしました。

彼は、よりよい世界をつくるためには多様性の美しさを人々に見せて、それがもつ力をみんなに確信させたいと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

「それは本当にすごいことでした。このプロジェクトのために写真を撮ったとき、どこかに展示されるなんて思いもしていませんでした」とミゲルは言います。「とても誇らしいです。このことで何かしらの変化が起きるでしょうし、マザー高校での自分たちの活動を見せることができますから」

 

新しい子どもたちがクラブに参加することを想定して、スミスはこのプロジェクトを毎年続けていくことを計画しています。

ミゲルは、他の学校がこのプロジェクトを見て、まねをしたいと思ってくれることを望んでいます。

 

WEクラブの一員であることにより、ミゲルは、自分がより大きな世界の一部であり、そして他の人の経験が重要であることを学びました。彼はマザー高校を卒業したら歴史の先生になりたいと思っています。

そうすれば、自分の先生たちがそうしてきたように、生徒の手本となる人になることができるからです。

そして母校に戻ってきたとき、自分が生徒として経験した多様性のお祝いを目にし、自分の写真が学校のレガシーになっていることを望んでいます。

 

「僕はこれからも、30の異なる国から来た30の異なる人たちが仲良く一緒に座って学んでいる教室を見たいんです」と彼は言います。「5~6年のうちに、他の30校が同じことをしているのを見ることを望んでいます。なぜなら、そのような教室の風景は、人類の社会の素晴らしさを示す象徴となるからです。」

 

(原文記事執筆:ゾーイ・デマルコ 翻訳:翻訳チーム  鈴木佳寿美 文責:清田健介)