党首テレビ討論会から見えるカナダの民主主義

10月21日に総選挙が行われるカナダ。選挙に先立ち、テレビでの各党党首討論会も行われました。

今回の選挙では討論会準備委員会が組織され、クレイグも委員に選ばれました。
クレイグが、準備委員会委員長に行ったインタビューをご紹介します!(清田)

https://www.we.org/en-CA/we-stories/opinion/craig-kielburger-interviewdebate-commissioner-david-johnston-on-importance-canadian-election-debates

 

 

 

 

 

 

大激戦となっている今回の総選挙。その一方で、有権者の半数近くが選挙に無関心であるといわれています。

そんななか、テレビ討論は機運を盛り上げる絶好の機会です。

 

討論会は、各党党首にとってプレッシャーのかかるイベントというだけではありません。

今回新しく組織された討論会準備委員会にもプレッシャーがかかっています。討論会の行程、参加資格を満たしている各党党首の選定、多様な聴衆に討論会を様々な手段で見てもらうための工夫などについて検討をしています。

 

委員会を率いるのは、デイヴィッド・ジョンストン元カナダ総督です。マギル大学やウォータルー大学の学長を務め、様々な国家委員会の委員長を務めるなど、輝かしい経歴の持ち主です。

1979年以降、州政府の選挙討論会の司会を一回、連邦政府の選挙の党首討論会の司会を二回務めました。

私(クレイグ)も委員を務めるこの準備委員会は、ジョンストンを委員長とし、様々なセクターや政党に属する人たちで構成されています。

 

(訳注:カナダはイギリス連邦に属しているため、エリザベス女王の名代として総督がいる)

 

今回はジョンストンに、討論会の重要性や、討論会を通じて得られることなどについて聞きました。

 

 

どうして討論会に注目する必要があるのでしょうか?

アメリカの有名な為政者が言った言葉に、こういう言葉がありますね。

「国家が諸君の為に何をしてくれるかを問うな。諸君が国家の為に何を成し得るかを問いたまえ。」

政治に積極的に参加することもそのひとつです。

この国は良い国ですが、より良くしていかなければなりません。

民主主義を脅かす脅威のひとつは、自分のことばかり考えて自己満足に陥り、社会のために何もしようとしない消極的な態度です。

 

SNSで候補者の主張が直接聞ける現代において、テレビ討論会をやる意味があるのでしょうか?

 

むしろ討論会の重要性は増しています。台本無しの状態で、司会者や出席者の重要質問に答える各党党首の言葉が聞けるのです。

台本ありきで言葉を発する政治家が多いなかで、こういう場は重要です。

党首たちの性格や短所、突発的な質問への対応を垣間見ることができます。

 

歴代の討論会から学んだことは何ですか?

 

生放送の討論会は、透明性や信頼性を向上させるのに最も効果的な手段であるということです。

過去20年間、公的機関や行政、メディアへの不信感が蓄積されていきました。

このような時代の中で、テレビ討論会もまた試されているのだと思います。

 

投票できない若いひとたちが、討論会を見るべきなのはどうしてでしょうか?

若い人たちにとっては、批判的思考を鍛え実践する機会となるでしょう。

若い人たちの政策選択は、今日とても重要になっていると思います。

恐らく、この国の歴史上初めて、「君たちの生きる時代の生活は私の時代より良くなる」と私が孫たちに言えるかどうか定かではない時代を迎えています。

選挙をはじめとする政治参加は、民主主義国家において、社会の先行きを決定づける重要な行為なのです。

 

討論会を見るうえで注視するべき点は何でしょうか?

 

討論会を通じてどんな情報を得たいのかを考えてみて下さい。

党首の人格について知りたいのか?それとも政策に興味があり、各党の政策が知りたいのか?あなたが関心のある政策のリストを作って下さい。

討論会を見ている途中、もし党首その政策について言及していたら、その発言が満足のいくものだったか?その発言のどの部分が正確で、どの部分が不正確だったかをチェックしてみてください。
そのあとは、あなたが正しい解決策を提示していると感じた政党の候補者を当選させるために行動を起こして下さい。