移民や難民の人たちと共に、寛大な社会を創ろう!
クレイグとマークのコラムの紹介です。
https://www.we.org/stories/immigrants-generous-canadians/
「一番寛大なカナダ人」と聞いて、みなさんはどんな人を思い浮かべますか?
「古き良き時代」の精神を知っている団塊の世代の人たち?と思った人もいるかもしれませんが、年齢は関係ないのです。じゃあ、都市部に住んでいる人たちがすっかり忘れてしまった思いやりの心を持っている、地方に住む人たち?
うーん、それも全然違います。一番寛大なカナダ人は、
移民の人たちです。彼らはカナダで最も寄付やボランティアに熱心な社会層です。
カナダは他の国よりも多くの難民や移民を迎えていますが、そんなカナダでも、移民や難民が「社会の負担になっている」という認識を持っている人たちがいます。
そのような認識を持ちながら、多くの人がネット上などに移民や難民への中傷を拡散しています。
彼らによれば、「外国人はわが国の雇用を奪い、社会保障を圧迫している」のだそうです。
最新の研究では、そのような主張を覆す移民や難民の実像が浮かび上がっています。
移民や難民の人たちはチャリティー活動や社会問題の解決に積極的に取り組んでおり、そのような活動が、地域をより暮らしやすい場所にしています。
憎しみが社会を覆っているかのように見える昨今ですが、そのような角度からではなく、全く別の角度から物事を見る必要があります。
カナダ統計局の調査によれば、移民のチャリティー団体への寄付の平均額は、同等の経済的階層のカナダ生まれの市民の寄付の平均額を上回っています。
低所得層においても同様の傾向が見られます。
4万ドル以下の年収の移民の市民のNPOへの寄付の平均額は、404ドルとなっており、移民ではない同等の経済的階層の市民の寄付の平均額である214ドルを上回っています。
お金についてだけではありません。移民のボランティアへの参加率は、既存のカナダ人よりわずかに低いものの、ボランティアとしての稼働時間は平均値を上回っています。
移民としてカナダにやってきた市民たちが、社会貢献に対して高い意欲を持っていることは明白ですが、カナダ社会、特にチャリティー団体は彼らを迎え入れることができているのでしょうか?
多くのNPOの活動を支援している「イマジン・カナダ」のCEOを務めるブルース・マクドナルドは、NPOはこのような新たな社会的集団とのより良い関わり方を模索する必要があると指摘します。
ひとつの方法として有効なのは、地域の様々な各種団体によるリーチアウトを強化することです。
例えば、メンタリング運動として長い歴史を持つBBS運動はトロントでも活動を行っていますが、参加者の文化的背景が多様なため、型を押し付けるのではなく、文化的背景に配慮したアプローチを展開しています。
従来のBBS運動では、おとながひとりの子どもとじっくり向き合うマンツーマンのメンターシップが行われてきましたが、家族ではないおとなと子どもが親密な関係を持つことに抵抗を感じる文化圏出身の親御さんもいるため、集団になって様々なことを相談しあうユースクラブの運営をここでは行っています。
みなさんも自分が関わっているボランティア活動やチャリティー団体について考えてみて下さい。
異なる文化に対する配慮をどれぐらいできているでしょうか?
また、その配慮を実効力のあるものにするためにみなさんにもできることがあるはずです。
そして、多様性も大事です。あなたが関わっているボランティア活動の参加者は、あなたが普段社会のなかで接するような多様な人たちが参加していますか?
今度資金集めのイベントをやるときは、クリスマスなどのいわいる西暦の祝日だけではなく、多くの移民たちにとっての祝日であり、ボランティアや社会貢献への機運が高まるディーワーリー(ヒンドゥー教の祝日)や、イード(イスラム教の祝日)なども考慮にいれてみると良いのではないかと思います。
いまは寄付をする人も減少していることに加えて、新たな景気後退が始まるのではないかということもささやかれています。
そのような現状を考えますと、NPOにとって移民からの寄付やボランティアは、これから欠かせないものになっていくことが予想されます。
移民の存在は、寛容な国としてのカナダの評判を高めてくれています。
そのことだけでも、移民の人たちを温かく迎える理由になるのではないでしょうか?