ナタリー・ポートマンの、女性の権利擁護や、Time’s Up運動、そして女子教育への情熱 | ニュース・レポート

今回ご紹介するのは、ハリウッド映画でもお馴染みのナタリー・ポートマンです。

WE Day カリフォルニアに今年初登壇し、自身が取り組む社会運動などについて語りました。(清田)

https://www.we.org/en-CA/we-stories/we-day/natalie-portman-talks-womens-empowerment-times-up-education-we-day-california

 

ナタリー・ポートマンは、小説、ベビーシッター・クラブ(BSC)の愛読者で、「ここで止めたとして、もう100回ほど読んだことになります」と、WE Day カリフォルニアの舞台の奥の楽屋に移動しながら彼女は言います。

独自のベビーシッター事業を立ち上げる10代の少女たちのグループを題材にしたヤングアダルトシリーズで、どの本も、ページをめくる度に覇気満々と生きる若い起業家の姿が、ポートマンの心に強いく響き、この本の登場人物たちが彼女のロールモデルとなったのです。

 

ハーバード大学の卒業生で、アカデミー主演女優賞など数々の賞を受けた―ポートマンは、多くの人のロールモデルです。

女性の権利に対する情熱的な支援者である彼女は、Time’s Up (運動)創設者の1人として名を連ねています。

この運動はME Tooが創設し、女性の安全、公正、品位ある仕事のサポートの支援だけでなく、不公正な待遇にも取り組むために設立された運動なのです。

この運動の目的は、彼女が説明しているように、「女性が身の安全について心配することなく仕事に専念でき、成果を挙げられる、そんな生活ができるようにすることです」。

 

ポートマンは偶然にも長期に渡りWE(フリー・ザ・チルドレン)のアンバサダーを務めています。

この仕事はもともと彼女のごく初期の支援活動がきっかけで始めたチャリティー活動なのです。

ムーブメントとして、WEは人々が共に活動すればもっと良い世界を作ることができると確信しています。

20年以上前にキールバーガー家の兄弟、 クレイグ とマークが創設したこのチャリティー活動は、社会を積極的に変えるために刺激と支援を求める若者を応援する活動をしています。

 

WEと同様に、ポートマンは社会を良くするためには、結束することが重要であることをよく理解しています。「このように女性が大きな姉妹の輪のように結束しているということは、女性のエンパワーメントにおいて重要です」と、この2児の母は語ります。「ここにこそ、私たちの力が生まれます。人口の半分は女性。だから現実に力を合わせれば、それは何にもまして強力な武器と言えます」。

 

物が言えない姉妹たちに代わって声を上げることが今日ポートマンを突き動かしているとはいえ、彼女は自分の周りで起こっている苦闘をいつも知っていたわけではありません。

外側から見えないことがよくあったからです。

「私は、闘いは終わり、私にも平等の権利があるのだと信じるように育てられたのだと思います」と、彼女は言います。「それはまだはるか遠いことだと分かったとき、おとなの仲間入りができたのです」。

 

ポートマンにとって平等を求める運動は、永遠の学習過程なのです。「私は今もなお、女性が様々な歴史的制圧を受けて、十分にその能力を発揮できないでいる状況について―どんなに些細なものであっても―学んでいます」。

 

認識を深めて行くうちに、彼女は大きな世界に目を向けるようになりました。

アメリカの映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのスキャンダルによってハリウッドの舞台裏での芳しくない行為が世間の目に晒された何年か前に、女性の権利が、ポートマンにはすでに重大な課題になっていました。

 

2011年に彼女は、WEのthe Power of a Girl運動に参加しました。WEのアンバサダーとして、彼女は北米とイギリスの若者を励ましてケニアのマサイ・マラの少女たちの教育のための資金集めをしました。

WEがこの地域で新しく開校したキサルニ女子学校を機に、変化への兆しが見えてきました。

 

4年後、ポートマンはスタディーツアーその学校を訪問しました。この訪問は思いもかけないものになりました。

キサルニ校の卒業生と会う傍ら、在校生にも会い彼女たちから―開発途上のコミュニティでは珍しいことではないとしても―ケニアでは子どもの教育に男女の差別があり、そのために権力にも不均衡が生じているとの説明を受けました。

ここケニアにあって、彼女は不平等が一般的だということを直に目にしたのです。

ケニアの教室であろうと、カリフォルニアの会議室であろうと、同等の権利への戦いは、世界中の女性にとっては同じことなのです。

 

しかし、WE Villagesの開発モデルは変化を引き起こすうえで先導の役を果たしてきました。

コミュニティがキサルニ校で革新的な事をし始めた時、地元の少女たちにも門戸を開きました。

若い女性たちは、ポートマンがこの旅行中に出会った人たちと同じように、教育を受ける機会を大切にしています。

 

彼女たちの一途な情熱によって、ポートマンは新しいものの見方を教えられました。

「いつも学校に行きたくないとか、宿題を嫌がっていたりした自分を思い出します」と、彼女は思い出して言います。

「今、これらの少女たちの誇りと勉強への倫理観を知り、そして彼女たちが教育を受ける恩恵を真摯に受け止めている姿を見て、これまで私に与えられて来た数々の機会に対してより深く感謝しなければと言う気になりました。教育を受けられるなど当然のことと思い込んでいたのを、現実に認識できました」。

 

このスタディーツアーによって、少女の教育に対するポートマンの情熱がかき立てられました。

「この経験に呼び覚まされて、私はすっかり新しい観点から物事を見るようになりました」。

翌2016年、ポートマンは、ミス・クリスチャンディオール の地位を利用してファッションと美のブランド品、Love Chainをオンライン上で販売促進をするチャリティーの先導を切りました。

積極的にオンライン上のやり取りから始めて、このキャンペーンは人々に無償で貢献できることをSNSで提示して欲しいと呼びかけました。

提示の度にディオールはケニアの少女たちが教育を受けられる手助けにと1ドルをWEに寄付しました。

 

ポートマンのWEとの共同支援作業のリストは実際長いのですが、2019年になって初めて彼女は大きなショー:WE Dayに遂に登場したのです。彼女がこのムーブメントに加わって10年が経っていました。

 

何千もの北米、イギリスの若者を結束させてきたWE Dayでは、気迫あふれる発言者や、セレーナ・ゴメス、ビル・ナイ・ザ・サイエンスガイ、チャンス・ザ・ラッパーと言ったアーティストが登壇して、世界を変える若者たちを前に会場を沸かせました。

 

イベントのこの熱狂ぶりを見て、ポートマンは社会に貢献したいという若者の想いが本当に純粋なものだと思いました。

「私たちはみんな、理想主義から出発しながら、歳を重ねるにつれて実用的な考えになったり、飽きたりしていくようです」と、彼女は語ります。

楽観的に見守るか、今一途な決意を固めるべきか、揺れる気持ちのはざまで、女優・ポートマンはWE Day カリフォルニアで出会った、世界を変える世代が作り出す無限の機会に思いを馳せています。

 

彼女は、若者にチャンスが巡ってきた時に到達できる頂点の重要な例として、WEの2人の共同創設者の名を挙げています。キールバーガー家の末っ子の弟クレイグは、WEが設立された時、わずか12才でした)。「クレイグ とマーク兄弟がしたことを見て下さい。2人が30歳代の頃にはすでに大きなムーブメントを起こしていたのです」。

 

ステージから2~300メートルもある彼女の化粧室でも、1700人の若者の歓声が聞こえてきます。

モニター画面にちらっと目を向けながら、カメラは熱狂的な若者たちの群集を端から端まで撮り続けます。

「大きな共感や思いやりの輪に包まれている若者たちは、この殺伐とした社会への解毒剤です」と、ポートマンは言います。「こんなに思いやりにあふれた若者たちに出会えてとても嬉しいです。」

 

ナタリー・ポートマンのWE Dayでのスピーチ抜粋 

 

いま、私たちは変化を起こすために活動している訳ですが、その変化とは一体何なのでしょう?

 

私にとっては、それは勇気を持って誰かの味方となるということです。具体的に言えば、社会の不正を正し、正義を求めている人たちと共に行動するということです。そして思いやりの輪を広げることです。

 

具体的に私自身が力を入れたいと思っている問題は、少女や女性へのエンパワーメントです。ここにいる多くのみなさんもこの問題に取り組んでいることは知っていますよ!

私はこれまで、WEと共にケニアの女子教育を支援する活動をしたり、Time’s Upと共に職場での女性の権利の向上を求める運動をしてきました。

 

少女や女性を支援すれば、地域や社会が変わります。私たちも地域や社会を変えられるのです!でも、その前に、自分たちが変化を起こせる存在だと信じることが必要です。みなさんは、私と一緒にその一歩を踏み出してくれますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(原文記事執筆: ゾーイ・デマルコ 翻訳:翻訳チーム  松田富久子  文責:清田健介)