フィリピン、台風その後-緊急支援活動報告-
フリー・ザ・チルドレンが実施しているフィリピン台風被害への緊急支援事業に関するレポートです。緊急支援事業のパートナーの一つ「プレダ基金」の代表シェイ・カレン神父からの支援事業のコラムやスタッフによるレポートからお届けします。
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昨年11月にフィリピンを襲った超大型台風30号‘ヨランダ’の甚大な被害は3ヶ月経った今もまだ癒えておらず、数十万の人々が、家もない悲惨な状況下で毎日を過ごしています。
私たちは、被害の大きかったタクロバン市や周辺の町の状況を把握するため現地に入り、自治体の職員と情報交換をするなどして、支援活動に取り組んでいます。
すると、家を失ったたくさんの人々は市内に集まり、避難民用のテントに仮住まいしていますが、テントが不十分で行き渡らないため掘っ立て小屋を建て、仕事もなく、満足な支援も受けられないまま暮らしている人々が多くいることがわかりました。
タクロバン市のようす。台風により壊滅的な被害を受けた。
大型船が陸に乗り上げがれきとともに横たわっています。
テントが立てられその中で避難している人々もいますが、ここに入れない人々は
各々、自分たちで廃材を拾ってきて簡素な小屋を建ててその中で暮らさざるを得ません。
最近は、この台風被害に対するニュースが徐々に減ってきてメディアの関心は弱まりつつありますが、被災地や避難先の地域では人身売買や児童買春、児童労働といった人権侵害問題や被災後の心のケアが心配されています。
事実、プレダ基金では今回の台風被害の影響で人身売買の被害にあった未成年者がいることがわかり、自治体や他のNGOと連携して子どもの保護にあたりました。
プレダ基金は、子どもが人身売買や児童労働にさらされる危険性が起きている状況を、緊急に対応すべき問題と捉えています。そこで現在、人権チームやセラピーグループを専門スタッフで結成し、被災地域の自治体や、学校、パートナー団体と連携して、被災者の人権意識の向上や心のケアに関する様々の啓発活動を継続して行い、地域の復興につながるよう支援しています。
被災地域の子どもや若者へのセミナーを実施するカレン神父
被災した子ども対象のセミナー。人身売買や虐待、搾取から身を守るには
どうしたらよいか、人形劇を通じて説明しています。
被災した子どもを対象にゲームを通じて子どもの権利や健康について伝えました。
これらの活動は、被災地の状況とニーズにあわせてプログラムし、各種セミナーだけでなく、子どもにも分かり易い人形劇というかたちで子ども自身に人権問題を意識させています。また、人身売買の被害者を保護するためにどのように連携すべきか、どう気を付けたらよいかといったことも伝えています。
その他、被災地で家を失った人々が避難している地域で生活物資や食料品の
配給を行いました。
(翻訳チーム:山下正隆 文責:浅田紀子)