フィリピン台風緊急・復興支援 事業地訪問報告②

2013年11月にフィリピンを襲った大型台風(ヨランダ)によって被害を受けた地域への、緊急・復興支援の状況を把握するために、プロジェクト地域を5月18日から1週間訪問しましたので、ご報告します。
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学校修繕・修復事業に併せて、被災した家族の生計維持支援を行いましたので、その支援を受けた家族のいるコミュニティを訪問し、インタビューなども行いました。

 ◆被災家族への生計維持支援について
まずは、キナサヤン・コミュニティの被災家族10家族への生計維持支援活動を実施したので、その家族に会いました。
この地域に住む人々のほとんどが、収入のためにココナッツを育て業者に販売しています。ですが、今回の台風でココナッツが被害に遭い、収穫が困難となり収入が減ってしまうため、ココナッツと並行してその他の植物や動物を扱う農業に取組むことを奨励し、生計を維持できるよう支援しました。

生計維持支援の内容は、次の3つで、家族の状況やニーズに併せて必要なものを配給しました。

A.野菜栽培のための農具や種支給支援
→野菜の種、じょうろ、パイプ(灌漑水路用)、シャベル・スコップの支給
B.養豚支援
→ワクチンが終わった子豚と飼料の支給
C.養鶏支援
→ひよこ、ブロイラースクリーン、飼料の支給
など。

被災した家族からは、この支援を通じてココナッツによる収入が減っても家族が食べていける他の手段となるので、とても助かります、という声が聞かれました。

次に、沿岸部のイピル・コミュニティでの漁師12人への生計維持支援の状況を確認しに行きました。
この地域に住むほとんどの人は漁をして生活しており、多くが海に定置網を設置してそこにひっかかる魚やカニ、エビなどを捕獲してマーケットで販売しています。しかし、今回の大型台風によって漁に必要な網などが流されてしまったので、被害を受けた漁師へ定置網と網を固定する竿、金属紐などを支給しました。

すでに定置網を設置し直したということなので、岸から船に乗り、確認しました。
わたしたちの支援を受けた漁師さんが、船で連れて行ってくれることになり、沖に出ることに。

 

 

船に乗り、マングローブが広がる海へとすすみます。

 

 

台風による倒木も見受けられました。

 

 

15分以上すすみ、視界が広がると、定置網が見受けられるようになりました。
美しい青空と海が広がります。

 

 

台風後、定置網が再度設置されました。

 

 

漁師さんの定置網に到着!しずかに船の先頭を網に近づけて、とまります。

 

たくさんの魚やカニがひっかかっていることが分かりました。

 

 

一緒に案内してくれた漁師の家族のお母さんが、一番大きな魚をつかみ、見せてくれました。
せっかくとれたので、一緒に行ったスタッフで魚を購入することにしました。

 

 

被災地の人々は、徐々に収入を得られるようになりましたが、家がまだなかったり、家財道具がなかったり、十分な収入が得られるようになっておらず、まだまだ復興までの道のりは険しく長いことがわかりました。しかし、フィリピンの人々の持つ明るさと持ち前の力で少しずつ、通常の生活へと歩み始めていることも感じました。

フィリピンの台風被災者の方々のために、ご支援ご協力くださったみなさま、ありがとうございました。

報告:中島早苗