キラッと光る未来への希望

ハイチの村に新しく設置されたソーラーパネル。このソーラーパネルがもたらしている灯りを灯している暗やみだけではありません。

日々の生活への希望と、明るい未来をこのソーラーパネルは灯しています。(清田)

 

https://www.we.org/stories/solar-power-helps-haitian-students-shine/

 

 

火曜日の午後8時のことです。空はすでに完全に真っ暗です。顔に近づけた自分の手を見ることもできず、漆黒の闇のようです。

その後11時間もの間、農村地域に住むハイチ人たちは、電気の配管なしで生活しています。その数は人口の約40%になり、人々は自力で発電させない限り、完全に真っ暗な夜を過ごすことになります。

 

それは1500人の人々が暮らすマリアラ村の以前の状況でした。村は最寄りの町から徒歩で3時間の場所にあります。

最近までその町が共同灯の最寄りの電力源でした。

 

コオロギの鳴く音や、カエルが深く喉を鳴らす音が、街灯の周りを飛ぶ虫の羽音より夜の空気に響き渡ります。

電柱はありません。しかも、2017年の7月以前には、灯りを照らすことができる電力すら確保できず、冷蔵庫や洗濯機のような贅沢品はただの置き物状態でした。電力不足は、やらなければならない宿題に取りかかるのが難しいことも意味していました。

 

11年生のフランコは、学校から3時間歩いて、午後4時に帰宅していました。マリアラパには、高等学校がありません。

帰宅後、牧草地からまた別の場所に動物たちを移動させる前に、フランコは制服を脱ぎました。疲れてしまい、昼寝をして、それから起きて灯油ランプの明かりで勉強していました。しかし、最近では、太陽光発電の小さな照明を個人用として使用します。

 

2013年にWE(フリー・ザ・チルドレン)がハイチで行ったUnite to Lightという、ミニライトを支給するプログラムは、アメリカ人のギセラ・ボスが彼女の息子ルークを想うことで始まりました。

ミニライトはハイチの農村地域全域で頻繁に使用されるようになり、生徒たちが自宅で学習するのに役立ちます。

「ミニライトは僕たちにはとても助かります」と、フランコがクレオール語で通訳を通して話します。しかし、学生たちが学ぶためにはライトでは不十分で、最も必要なものがありました。

 

2014年に、WEはマリアラパ村に新しい小学校を建設しました。2017年の夏には、WEのハイチでの活動で初めて太陽光発電のキャンパスになりました。

太陽光発電は、全ての教室や学校の入り口の電球に電力を供給します。電気を充電する十分な電力も備わっています。

初めて、学校は視聴覚機材を使用する授業の導入について話し合っています。現在、生徒たちの学習法は完全に変わりました。

 

毎晩、小学校からの光が村を照らし、その明かりが熱心な学習者たちを受け入れます。

 

フランコは、親友と13人いる彼の兄妹のうちの4人と一緒に、学校の階段に座ります。夕方の宿題を終えたので、みんなはおしゃべりを楽しんでいます。

フランコの両親のジャン・クロードとスゼット・マルセロスは、子どもたちと下校するためにできるだけ早く学校へ向いました。

それが家族の新しい習慣です。以前は勉強が思うようにいきませんでした。

フランコはさらに、こう言います。「電気は村の全ての視野を広げてくれました。私たちに新しいイメージをもたらしました。

周囲の全ての地域は発展しています。『ああ、神様!マリアパラ村にあるすごい学校を見てください!』」

 

8年生のベヴェンスレーは、「例えば、誰かが通りから通りかかったら、その人たちは立ち止まるでしょう。そして『まあ、向こうに学校がある。この美しさを見て!』と言うでしょう。

たとえ夜に見かけたとしても、同じことを言うでしょう」と話してくれました。

 

 

「教室に電気があることで、勉強するためにみんなと来られるようになります。電気の下で私たちが一緒に努力することで、お互いをより理解できます」と、フランコは言います。

高校生は、夜になると宿題を一緒にするために小学校に集まります。公民館となった教室は、勉強する場所にもなります。

 

状況の変化を理解するには、フランコの最近のテストの点数を見るだけで十分でしょう。明るい勉強場所ができる前は、彼の社会科学のテストは52%の点数でした。現在は平均80%を取っています。

 

その違いは何なのかという問いには、答える声が一斉に聞こえます。

 

フランコの父、ジャン・クロードは「息子は今、より多くの勉強するチャンスがあります」と言い、14歳の弟のベヴェンスレーは「当然ですよ。僕たちには電気があるのですから」と言います。
フランコは「私たちはみんな、たくさん勉強するチャンスがあります」と言います。

 

明るく、新しい校舎は、生徒たちの向上心を高めてくれました。フランコの目標は農学者になることです。

彼は更なる勉学のために家を出ることになると分かっています。しかし、知識を活かして村をよりよくするために戻ってくることを計画しています。

 

WEは、ハイチの農村地域の人々が仕事を求めて首都のポルトープランスへ移住することを余儀なくされず、地方で活躍できる場を作るために、現地の村びとたちと一緒に活動します。

学校の発展と太陽光発電は、その目標のための一歩となります。

 

夕方になると、学校の周りは賑やかな遊歩道になります。友人同士のグループが勉強のために集まり、両親から簡単なチェックを受けます。

雑談しにくる人たちもいます。最近では、夜に映画上映会がありました。太陽光発電は、スクリーンに映すための十分な電力を備えています。その地域では、映画の上映は初めての機会でした。保護者会では毎月上映ができるよう努めています。

 

「電気は私たちにとって、とても大切です」とフランコは言います。「自分たちの村に起こる変化に気づくことができます。そして、可能性を感じさせてくれるのです。」

 

(原文記事執筆:ワンダ・オブライエン  翻訳:翻訳チーム 山田あさ子 文責:清田健介)