キプソンゴル村の起工式

 

 

 

 

 

 

こんばんは、浅田です。
カナダインターナショナルからの記事です。

The original article)

(訳者:翻訳チーム 中丸玲子)

 

先月、ケニアのある村が新たにフリーザチルドレン(FTC)に仲間入りしました。母親、父親、教師、村の指導者たち、祖母、祖父、そして子どもたち合わせて千人以上が集まり、1996年に初めて学校を設立して以来ずっと取り組んできた教育の新たなページの幕開けとなったのです。

 

キプソンゴル村が小学校を始めた当初は、生徒40人と教師1人が木の下に集まっていました。村の長老が小さな家を提供すると、さらに多くの生徒が熱心に授業に参加するようになりました。そのうち生徒が部屋からあふれ出るほどになったので、保護者達が丸太や泥、牛の糞で大きな建物を愛情をこめて造りました。今では800人以上の生徒が10人の教師から教育を受けています。

 

緑のパンツやシャツとえび茶色のセーターを着た数百人の生徒たちが興奮してなだれ込み、スピーチを聞いたりダンスに合わせて手をたたいたりするのに一番いい場所を我先に取ろうとしました。母親たちは虹色の派手な服装で赤ちゃんを背中におんぶして、ニコニコしながらやってきました。何十人もの父親が、ネクタイ、ブレザー、コートといういでたちで得意げにこの特別な日を迎えました。こんな得意げな顔はめったに見られることではありません。祖父母たちも三々五々集まってきて、少し前までは教育が手の届かないものだったことを思い出していました。教育を受けることは夢にもなりませんでした。教育というものを知らなかったのです。10年でここまで来たのです。

 

ウィルソン校長先生はこの特別な日に全員を歓迎する熱い言葉を述べ、村が子どもたちに教育を与えるためにこれまで成し遂げてきたこと、そしてこれから夢見ていることを熱心に語りました。「今、私たちの子どもたちは自由です」と校長先生が叫びました。これは私たちの組織名の由来にもなり、90年代半ばに児童労働に抗議する子どもたちが叫んだスローガンと、キプソンゴル村の子どもたちが享受している自由を合わせた言葉でした。教育をただ受けるだけではなく質の高い教育を受ける自由。将来に夢を持つ自由。熱心な探究心が吸収できるすべてを学ぶ自由。

 

スピーチ、ダンス、祈り、そして歌が終わりに近づくと、村人たちは人々をかき分け、最初に建設する2つの教室の最初の鍬入れをする人たちを見るのに一番いい場所を取ろうとしました。「10,9、・・・」と数人がカウントダウンを始めるとすぐに、「7,6,5・・・」と大勢が参加しました。子どもたちは興奮して跳び上がり始めました。保護者達も期待に胸を膨らませて手を握り合いました。一人のおじいさんが、鍬を頭上に振り上げて、満面の笑みで今にも振り下ろそうとしていました。「4,3,2・・・」そして、全員一緒に「1!」と叫びました。

 

思いを込めた鍬が地面に振りおろされましたが、式典のために1~2回掘るのではなく、真剣に基礎を掘り始めました。父親が疲れると母親が代わり、また交代して続けました。1時間で基礎は30センチ以上の深さになりました。保護者たちはFTCフィールドチームのメンバーに、深さ1メートルの基礎堀が完了するまで続けると約束しました。そして翌日、日の出とともに床が敷かれ、2つの教室は瞬く間に完成に近づきました。