ケニアの農村部の女性起業家たち

今回ご紹介するのは、ケニアの女性起業家たちのグループです。

彼女たちは、お互いに支え合いながら、地域や家庭に変革を起こしています。(清田)

https://www.we.org/stories/kenyan-women-build-their-homes-with-financial-literacy-training/

 

 

元炭商人のローズ ・ムタイとTeeh Gaa女性グループの他の15人のママたちが月例集会を開きます。

彼女たちは ナイロビから車で5時間の未舗装道路の先を越えて、フェンスを越え、トウモロコシ畑を通り抜けてホストの家に着きます。
マンダジと呼ばれるチャイやドーナツを通して、女性たちはささやかな貯金を在宅銀行制度の中心であるグループの貯金箱に預け入れます。個人の貯蓄を積み立て、彼女たち自身が起業する際のローンを提供するためです。

「これは従来とは異なる考え方です」と、トウモロコシ農家で6人の母親であるローズはこれまでグループがやってきたことを笑いながら説明します。「視野が広がり、自分の小さな土地を耕す以上のことができると気づきました。私は起業できます。」

 

ケニアのナロク郡の農村部の女性たちは長年の夢であった起業のために貯蓄制度を利用します。

この貯蓄システムは、WE(フリー・ザチルドレン)が提供した便利なツールとトレーニングを組み合わせたものです。
彼女たちは、新米の起業家であり、チャンスの道を切り開き、安定な収入を得る未来を確立するという、ちょっと意味深長な目標を目指します。

 

女性たちは、互いの夢を支援し、収入を蓄えるために日々切磋琢磨しています。激しい経済的競争は尊重されず、実践もされていません。

 

現在、WEの「収入源の確保」事業は、知識習得に狙いを絞ったコーチングを通じて、ケニアで1,200人を超える女性を支援しています。これまで農村部の農民や若者にスキルと資金を提供していました。(この中には、ME to WE Artisansを通じて追加して雇用された1,400名を超える女性は含まれません。)

 

20の村で、70の女性団体が変化を起こしています。

 

2月の会合では、今では立派な起業家となった仕立て屋、店のオーナー、そして山羊飼いらが毎月預恒例の金(100〜500シリング)をしました。書記が会計帳簿にそれぞれの金額を記録していました。
この起業家として欠かせない儀式は、WEの金融リテラシーとリーダーシップ研修から学びました。

 

今やグループの鶏生産者であるローズは、彼女がひそかにに貯めていた数百シリングを追加して預金しました。

彼女は2017年の初めに購入した14羽の鶏のローンをほぼ返済しました。

 

ローズが2013年にTeeh Gaa(キプシギス語であなたの家を建てる)を設立したとき、彼女やその仲間は、普通の家庭の問題を解決することを決めました。

彼女たちは家来客のための十分なカップや皿を持っていないという問題を抱えていました。

 

「来客があるときは、他のママたちにカップや皿を貸してくださいとお願いに行きます」とローズ氏は説明します。
「そんな状態が持続する訳がありませんでした。私たちはお互いに皿やカップを借り続けることはできません。 自分たちのものが必要です。」

 

Teeh Gaaグループは、食器棚に食器を追加するためのメリーゴーランドシステムを確立しました。
「私たちは考えました。毎月1人の人に対して何かをするグループを始めたら、どんな変化が生まれるだろうと。」

 

ママたちは毎月少しずつ(カップとプレートは地元の市場でそれぞれ20シリング)貯金しました。村びとリクエストされた品を購入して、各家庭に届けに行きました。

一年も経たずにローズは、ディナー皿のフルセットを手に入れました。

 

その後、グループの活動は行き詰まりました。

女性たちは、村の新米ママ赤ちゃんが生まれたときに贈り物をするためのお金と食料と水を貯めていたので、新米ママは外出する必要はありませんでした。

しかし、他のものを自分で購入する余裕はありませんでした。

 

「カップとお皿- それが私たちが今までにしたことのすべてです」とローズは言います。

 

グループの設立から2年、その可能性はまだ未開のまま、WEは彼らが復興を手助けしていた村の小学校でプレゼンテーションを行いました。
WEの担当者は、集まった両親が財務管理、予算編成、リーダーシップスキル、さらにもっと学びたいかどうかを尋ねました。
「Nilifurahi sana,」Roseはスワヒリ語でそう言って、思い出し笑いをします。 「私はとても幸せでした。 『どうぞ、私たちのグループに入って、WEのみなさんで私たちを助けてい下さい』と私たちは言いました。」

 

それは予算編成から始まり、毎月出入りするお金の管理方法を学びます。彼女たちは女性が毎月預金できる金額について議論しました。
次に、ローンについて学びました。ローンを返済するための期間や決められた金利で(利子は全てグループの貯金箱に戻って、再投資の準備金にします)、集められた資金がどのようにして互いの夢に貸し付けるのかを学びました。

会長、書記、会計の選出後、彼女たちは立ち上げの資金で取り組むべきことを決めました。

毎月の会合は、基金へのアクセスの増加とともに、重要な意味を持ちましたが、常に女性たちが女性を対象に「家(生計を建てる」ことを支援していました。
簡単ではありませんでした。女性たちはこれまでそのようなシステム化された方法でお金を貸したことがなく、誰も借りたまま逃げないと信じる必要がありました。
さらに困難なことがありました。ローズは言います。当初の数ヶ月間は貸し付けるにはまだ十分な額ではなく、会計係がしっかり鍵をかけて厳重に「貯金箱」に保管していたことも知っています。しかし、上手くいかないかしれないということを承知のうえでやっていました。

 

ローズは、鶏舎を経営して、卵と鶏を売ったお金で子どもたちの学費を払い、家で6人の子どもの世話をしたいと考えました。

若い母親にとって炭の売買をしてお金を稼ぐよりも都合が良かったのです。

 

彼女と夫は農家なので可能なときは、トウモロコシを売って補います。

彼女の子どもたちは砂糖なしで紅茶を飲むのが当たり前でした。

ケニアで小学校は義務教育ですが、親たちはPTAによって雇われた教師のために維持費、修理費、そして時には給料を支払っています。
納入金の額はさまざまですが、小規模農家にとっては、学期あたり平均400シリングでさえ払えない場合があります。

それから、制服や教科書、学用品など、高校は1学期数千シリングかかります。

 

10年近くもの間、ローズは週2回午前4時に家を出て7時間かけてメケニュまで歩いていました。

メケニュでは、女性たちは安く炭を買って村の近くで売っていました。
ローズは午前11時から午後4時まで炭を集め、袋2つを山盛りにしてロバに乗せて7時間かけて歩いて帰宅しました。
1日19時間労働が当たり前でした。彼女が説明するように、「成長する子どもたちを学校に行かせるために学費を稼がなければなりませんでした。」

 

WEから財務や起業に関する知識を得て、ローズは2016年に鶏舎の金網を購入するためのローンを組みました。
他のグループのメンバーは、山羊や牛の購入、縫製事業を始めるためにローンを組みました。
ローズは屋外全域に広がるであろう羊の群れが鶏に近づかないように金網で周囲を保護し、十分な広さの木の小屋を作りました。
彼女は週に2回、学費、貯蓄、そしてローンの返済のためにお金を使って炭を集め続けました。

 

2017年に、ローズは最初のローンを返済した後、14羽の鶏を購入するために別のローンを組みました。

彼女はさらに14羽買うためにトウモロコシを売りました。

鶏舎経営に本格的に参入したローズは、起業の成功に必要な時間とエネルギーを注ぐために炭を購入するのをやめました。
現在、彼女の家に来た近所の人たちに卵を売っています。家には庭じゅうを駆け回るにわとりの雛がいます。いつでも売ることができます。
学費、貯蓄、そしてローンの返済には十分です。ローズは誇らしげに所有地を案内します。
「私は自分の家を改修したい、家を建てたいと思いました。」とローズはいいます。

「[Teeh Gaa]は家を建てることを意味しますが、私たちは物理的に家を建てることを意味していませんでした。」
彼女は身振り手振りで皆に合図します。にわとり、新たに加わった玄関前で草を食べている牛、まもなく学校から帰ってくる子どもたちにチャンスを実際に行動に移すことが夢を実現させるきっかけとなります。

「私たちが始めたとき、全員が『家を建てる』つもりだと言いました。だから村の仲間が私たちに続いて行動する姿を見るととても幸せな気持ちになります。」

 

(原文記事執筆 :ワンダ・オブライエン 翻訳:翻訳チームメンバー 文責:清田健介)