なぜフィリピンは貧しいのか。
なぜフィリピンは貧しいのか。IMF(国際通貨基金)の報告から
2011年12月15日 ロデリック・デラ・クルス
http://www.preda.org/en/news/human-rights/the-roots-of-philippine-poverty/
翻訳:FTCJ翻訳チーム浅田紀子
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IMFの報告によると、アジアの中でもフィリピンが貧困状態から
脱出できない理由は脆弱な財政基盤と不安定な政治にあると言うことです。
「フィリピンにおける経済成長の決定要因」と題した25ページの
報告書は1965年から2008年にかけてフィリピンと23の新興成長市場を
比較し、1人当たりのGDP成長の減少の原因を分析しています。
別の報告では1950年代のフィリピンは1人当たりのGDPがアジアで
第二位でした。しかし、今日では、マレーシア、インドネシア、
タイ、ベトナムは先進国に追いつこうと高成長を遂げているのに
対しフィリピンは低迷の一途をたどっています。
「フィリピンは他のアジアの国々との関係が影響しています」と、
話をしたのはこの報告書の著者で中央銀行の役員でもある
ウィラ・ブーツ・トロ氏です。
フィリピン経済が弱いと言われるのには、農業の生産性の低さ、
政府が抱える債務、国内外への投資、研究開発費、教育への投資
の低さ、観光業界の低迷、所得の格差、政治腐敗、人口増加、
その他様々な財政危機や政治不安などが起因すると考えられています。
フィリピンには長期にわたる持続的でしっかりとした経済改革
が行われていません。
トロ氏は「東アジアに追いつくにはフィリピンはマクロ経済
の安定を図り、農業、インフラストラクチャー研究開発など
の公共支出を増やす必要があります。公共投資を増やすには
行政的政策と差別関税から税収入を増やす必要があります。
そしてそのためには税務管理の強化、消費税、財政的インセンティブ
の合理化が含まれるでしょう。」と話してくれました。
報告書では、よりよい灌漑、肥料・市場への入手、販売経路、
農場から都市への輸送路、倉庫などがあれば農業部門を支援
することになると訴えています。
政府が官民協働でインフラ整備へ投資をすれば効果が期待
されるでしょう。科学の教育を強化することも将来的に国
の立て直しに重要な役割を果たすと考えられます。