インターン報告記~プレダ基金~

こんにちは、大学生メンバーの石田由香理です。
1年半くらい前、フィリピンの盲学校でボランティア活動をした時の報告を、
このブログに書かせていただいたのですが、
私は今、大学を1年間休学して、2012年の3月31日から、
2013年の3月2日まで、フィリピンに留学中です。
4.5月は、FTCJも支援している団体、プレダに滞在しています。
これから何回かに渡って、プレダでの子どもたちの様子や
私の活動などを紹介していきたいと思います。

プレダは1974年にアイルランドからフィリピンへいらしていた
カレン神父によって設立された団体で、大きく分けて四つの活動をしています。
一つ目は、性的虐待に遭った女の子の保護、
二つ目は刑務所からの17歳以下の子どもの保護(少年院のような感じです)、
三つ目が山岳民族の子どもたちへの教育支援、
四つ目が先住民族の人々に職業訓練をし、
彼らが作ったドライマンゴーや鞄などをフェアトレード商品として販売することです。
スタッフは、プレダ全体で86人、そこに今、約10人のボランティアが世界中から集まっています。

上に書いた四つの活動のうち、私はほとんどの時間を、
性的虐待から保護された女の子たちの施設で過ごしています。
子どもたちの年齢は今1番小さい子が6歳、1番年上の子で18歳で、
約56人の女の子たちが生活しています。
フィリピンの学校は、6月に始まって3月に終わり、4.5月は夏休みです。
そう、今が1年で1番暑い季節で、
私がこっちに来てから雨が降ったことは1度しかありません。
多くの地域で水不足になっている季節なのです。
ちなみに、昨日外の温度計を見たら38度でした!

ボランティアの勤務時間は午前8時から
午後5時(途中12時から1時の1時間はランチ休憩です)、
というわけで、朝食を済ませたらすぐに、女の子たちの施設に向かいます。
夏休み中なので、子どもたちは1日中プレダの建物の中、
もしくはその周辺で過ごしています。
子どもたちの安全を守るため、
子どもたちだけで自由に外出することは許していないようです。

8時から1時間ほど子どもたちと雑談をしたり、折り紙を教えたりし、
9時から10時過ぎごろまでは、毎日プレダのスタッフによるセッションが行われます。
たとえば、フィリピン人の長所短所は何か(それを把握することで、
フィリピン人として自信を持ち、また短所改善に努めるのが目標)、
人を助けるってどういうことか(明らかに困っている人を助けることだけでは無く、
友達がいない人に声をかけたり、仕事を失って自暴自棄になっている父親に寄り添ったり、
そういう気遣いができる人になりましょうねというのが目的)など、道徳的な内容が多いです。

10時からはおやつの時間…、パンのような物や蒸しパン、
何やらお餅のような物や日本の柏餅にちょっと似たようなお菓子などが出ます。
おやつの後はたいてい自由時間で、庭へ出る子もいますし、
部屋の中を走り回って騒いでいる子たちもいますし、
積み木のような物で遊んだり、数人集まってゲーム
(人間綱引きのような遊びなど)をしている子もいます。

お昼ご飯を食べた後は1時間ちょっとお昼寝の時間、
そして1時間ほどテレビを見ることが許されます。
タガログ語(フィリピンの言葉)の番組なので
私には何だかよく分かりませんが、
たぶん、日本で言う昼ドラみたいな感じだと思います。

3時からは再び午後のおやつの時間で、
その後、スタッフによるゲームやアート
(絵を描いたりビーズでブレスレットなどを作ったり)の時間があります。
それがだいたい5時前まで続き、私はその辺りで子どもたちとお別れするのですが、
その後の予定は以下のようになっているようです。

5時から6時は掃除の時間、6時から夕食、
そして7時から9時がセラピーを受ける時間で、10時前には就寝です。

土曜日や日曜日などの週末には、みんなでプールに行ったり、
ピクニックに行ったり、公園に行ったり、
教会にお話しを聞きに行ったりすることもあります。
子どもたちの安全を守るため、
そうやって外へ外出する時には絶対に校強交通手段は使わず、
ジプニーという乗り合いバスみたいな物に全員乗って現地へ向かい、
かならず現地は貸し切りにできる場所にしか行きません。

また、女の子たちが住んでいるこの建物には、
男性は絶対に入ることができません。
建設者のカレン神父でさえ、入ったことは無いと思います。
なので、ボランティアも、男性はこの施設で働くことはできないのです。
子どもたちが性的虐待の被害者だという面から、
男性に会う機会は、ほとんどないようになっています。

月に1度、金曜日の午後には、女の子たちの保護者を招いて、
親子で受ける講演会が開かれます。
ここでは、良い家庭とは何か、良い親子関係とは何か、
親の役目とは何か、正しい躾とは何かなどの話しを聞くようです。

また、13歳から18歳くらいの比較的年上の女の子たちを集めて、
「健全な愛とは何か」「正しい男性との接し方とは」
などといったセッションが行われることもあります。
私は年上の女の子たちといっしょに、
「正しい愛とは何か」のセッションに参加したことがあります。
ここフィリピンでは、いわゆる「できちゃった婚」と、その結果離婚する家庭、
そして間で犠牲になる子どもたちの数が非常に多いので、
このセッションでは、「健全な愛というのをスペイン語ではリスポンサブレと言います。
つまり、responsible(責任)という言葉が入っている。
たんに関係を持つことが愛ではありません、愛には責任が必要で、
相手を尊敬し思いやることが必要です」のようなことが話されていて、
そしてセッションの最後にはスタッフが女の子たちに、
「こうやって今日、愛とは何かについて学んだんだから、
君たちは幸せな結婚をしてほしい。君たちの子どもが、
将来ここプレダに来るなんていうのを見たくはないからね」と言って締めくくります。

プレダのスタッフとして働いている女性たちの中には、
プレダの卒業生たちがたくさんいます。
たとえば、私たちボランティアのスケジュールを作るなど
ゲストの担当をしてくれている32歳の女性も、昔プレダに保護され、
ここで教育を受け、大人になってスタッフとして働き始めた人です。
彼女には今3人の子どもがいて、プレダで仕事をすると同時に大学にも通っています。

プレダの卒業生誰もがスタッフになれるわけではありませんが、
ここにはスタッフの卵たちを育てるコース…みたいなものもあります。
そこに選ばれる基準などは私には分からないのですが、
将来プレダで働きたいという希望があって、人を纏めるのが得意な子たちは、
だいたい18歳前後から、スタッフの卵として2.3年の研修期間に入り、
20歳を過ぎたころ、正式にスタッフになります。
自分たちが昔ここで生活していたからこそ、
スタッフたちには子どもたちの気持ちがよく分かるのだと思います2