インドノススメ
「インドに行くと人生観が変わる」というのを、聞いたことはあるでしょうか?
その言葉の通り、インドに行くとあまりにも衝撃的な体験をするので物の見方が変わる、と言われていますが、
私が初めてインドに行った大学3年の時、現地から国際電話で家族に伝えたのは「インド、普通です。」ということでした。
インドに行く前、私はとにかくドキドキしていました。
とんでもなく体調を崩すかもしれない、何か自分の持ち物を盗まれるかもしれない、
よくわからないけど、何かグロテスクな光景を見てしまうかもしれない…
では、実際はどうだったのかというと、私はラッキーなことに今まで一度もインドでお腹を壊したことはなく、
インドのカレーを食べてからというもの、それまで苦手だった辛い食べ物が食べられるようになりました。
そして、何か盗られたことも、トラウマになるようなものを見たこともありません。
「インド」という場所のネームバリューが強すぎて、渡航前は不安と緊張がすごくありましたが、
実際に行ってみると、ちょっと文化が違うだけで、私たちと同じようなことで笑ったり泣いたりする人々が、
ただそこで生活している、そんな印象を持ちました。
それでは、私がインドに行って何の衝撃も受けたことがないのかというと、もちろんそんなことはありません。
過去5回の渡航で、いつも必ず期待の斜め上を行くサプライズがあります。
例えばインドでは、「ありがとう」と「ごめんなさい」をあまり言いません。
それは「人は一人では生きていけない。みんなお互い支え合って生きている。そのことをみんなわかっているから、
あえて言う必要はない。」と考えるからなんだそうです。日本のそれとはずいぶん違います。
またある時、レストランで瓶のコーラを頼んだのにスプライトが来たので、違います、と言ったら、
日本育ちの私には想定外すぎる「もうフタ開けちゃったし(=だからこれを飲んでほしい)」という答え。
もうその感じが面白くて、スプライトをもらいました。
そして夕方になると、どこからともなくたくさんの人が外に出てきて、みんな何をするでもなくぼーっと
立っていたので、一緒にいたインドの方に「みんな何をしてるのかな?」と聞くと、
「夕陽を見てるんだよ」とのこと。
ああ、その感性、その余裕がすてきだな、と思いました。
一方で、日本はなぜみんなあんなに忙しそうなのだろう…と不思議な気持ちになりました。
東日本大震災直後にインドに行ったときには、空港でも、道を歩いていても、農村の学校でも、
「日本は大丈夫?」「あなたの家は壊れなかったの?」「様子を聞かせて」と声をかけられました。
そして、「あなたはなぜ今インドにいるの?」と聞かれたので、
自分はインドの教育問題を解決したくて、その調査研究のために来ている、ということを伝えると、
「インドはいつも問題だらけ。でも、日本はそうじゃない。インドは大丈夫。今は日本を助けるべきだよ。
あなたの国だもの。あなたがやらないと。」と言われました。
その懐の深さ、しなやかな強さに、ハッとさせられました。
ただ、もちろんいいことばかりではありません。
インドでは、本当に本当に小さい、3歳ぐらいの子どもが、今にも泣きそうな顔で物乞いをしていて、
そんな小さい子が、時にはさらに小さい赤ちゃんを抱いて、物乞いをしていました。
そしてさらにショックだったのは、そこに定期的に声をかけに来る大人がいることです。
その大人は、いくらお金がもらえたのかを確認しに来ています。つまり、子どもに物乞いを「させている」のです。
「どうしてこんなことが…」
その問いに答えるには、この世界のことや、人間社会の成り立ちについて、途方もない奥底まで考えなければなりません。
そんなインドの状況ですが、去年訪問した時に驚いたのは、10年前よりもかなり物乞いの人が減ったということです。
現地の人にその理由を聞いてみると、国の政策で、貧しい人に給付金が配られるようになったからだ、ということでした。インドの経済的な発展やSDGsの存在も、きっと関係しているのだろうと思います。
ちなみに今、世界的な大手企業のトップにはインド系の人が多いというのを、聞いたことがあるでしょうか。
多様な宗教・文化・言語があり、世界一に迫る勢いで人口が増えているインドで活躍するためには、
様々な価値観を理解してコミュニケーションを取る力、限られたチャンスをつかみ取るためのチャレンジ精神や
自己アピール力が必要とされ、そんな環境の中で生き抜いてきたインドの人々は、ベースに持つ生命力が強く、
柔軟性が高いからだといわれています。
日本は全体的に、「これがいいこと」「これはこうあるべき」と決められていることが多く、
目立たないようにすることや謙遜が美徳とされていることを考えると、まさに真逆です。
そんなインドに行くと毎回言われること、それは「あなた日本人?日本大好きだよ!」ということです。
私も負けじとインドのことを褒めまくると、「君、わかってるね~」と自信満々の満面の笑み。
新たな価値観と深い哲学、そして改めて自分の文化に気づかせてくれる魅惑の国、インド。
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