フリー・ザ・チルドレンとわたし リレーコラムVol.1 原元 望

フリー・ザ・チルドレン・ジャパンのスタッフが活動への思いを綴るリレーコラム

団体の設立25周年を記念してスタートします!

Vol.1 原元 望(副代表理事兼事務局スタッフ)

 

こんにちは。フリー・ザ・チルドレン・ジャパン(FTCJ)副代表理事兼事務局スタッフの原元望です。

いつもあたたかな応援をありがとうございます。

 

今年設立25周年を迎えたFTCJですが、この記念すべきタイミングに、スタッフの紹介を兼ねて、それぞれが心に秘める活動に対する思いをお伝えしたい!ということになり、リレーコラムをスタートしました。

 

FTCJを応援してくださっている皆さん、イベントに参加してきた子どもメンバーの皆さん、子どもたちと伴走してくれているファシリテーターの皆さんに、FTCJの新たな一面をお伝え出来ればと思います!

 

連載のスタートは、私、原元望がお伝えしたいと思います。

宜しくお願いいたします!

左クレイグ、右原元。クレイグの著書「僕たちは、自由だ!クレイグ少年の南アジア50日間の冒険(原題:Free The Children)」を購入しサインをもらった日(2000年)

 

◆団体との出会い

まずはじめに、フリー・ザ・チルドレンと私の出会いについてお話ししたいと思います。

それは24年前、2000年の秋までさかのぼります・・・。

右側が16歳の私で、左が当時17歳だったフリー・ザ・チルドレンの創設者のクレイグです。

 

当時高校1年生だった私は、ある日何気なくテレビを見ていると、夕方のニュース番組でカナダのフリー・ザ・チルドレン(FTC)が取り上げられているのを目にしました。当時から国際協力に興味があったのですが、その団体を同世代の高校生が立ち上げたということに大きな衝撃を受けました。

 

自分もやってみたい!という思いが沸いてきていても立ってもいられず、ニュースを放送していたテレビ局に思い切って電話したところ、翌日にクレイグの講演会があることを教えてもらいました。とにかく行かなくっちゃ!と、急き立てられるように講演会にかけつけると、なんとクレイグと会うことができたのです!

 

「社会の問題を解決するのはおとながやる事、子どもが手をだせるものではない。子ども時代は勉強をする時間。」

そんなふうに考えていた私の考えは、クレイグのスピーチによって一変しました。

 

当時17歳だったクレイグは

「児童労働問題は子どもが働かされているのだから、だったら同じ子どもとして何かすべきだと思うんだ。

子どもだからこそできることがある。

僕はこうやって活動を始めたことで多くの人に児童労働の事を知ってもらえたんだ。

もうカナダやアメリカなどで、子どもが活動を始めている。大人になるのを待つ必要はない。

いまできることをやっていこう」

そう語りかけてくれました。

 

そして、戸惑っている私に大人の女性が笑顔で優しく話しかけてくれたのです。

「講演会へ来てくれてありがとう。日本の活動は始まったばかりだけれど、日本の高校生も活動しているよ。メンバー登録用紙をわたすからよかったら登録してね。」

それが、代表の中島早苗(当時28歳)でした。

そして、まだ設立して間もないフリー・ザ・チルドレン・ジャパンのメンバーに登録をしたのが活動の始まりでした。

 

◆夏休みにインドへ

その翌年の夏、2001年にフリー・ザ・チルドレンが主催するインドで学校建設をするためのスタディーツアーに参加しました。ストリートチルドレンや、児童労働をしている子どもたち、物乞いをしている子どもたちと実際に出会い、自分との生活とのギャップに大変驚きました。学校では教えてもらえない現実がそこにありました。

その時に

「私は大人になったら児童労働をしている子どもたちを救出する仕事ができるかもしれないけれど、できることには限りがある。私がその子どもたちを救出しても児童労働の問題の根本を解決することに繋がらない。

自分は日本人として生まれたのだから、日本でできることをしよう。インドの子どもの支援はインドの仲間に任せよう。私は日本の子どもにこういった世界の現状を伝えていく。世界には児童労働の問題以外にも、解決してない問題が沢山あるのだから、子どもの頃からそのことについて考える機会をつくらなきゃ!子どもの頃から世界の課題について考え行動していなかったら、大人になってから解決することなんてできない。」

という思いが沸いてきました。これは現地に行かなければ沸いてこなかった感情だったと思います。

 

その日から、

「この目で見たことをひとりでも多くの日本の子どもたちに伝え、

日本の子どもたちが児童労働などの社会課題に関心をもって、

その子どもたちがアクションをおこすことができる社会をつくろう。」

という思いで、日本での活動がはじまっていきました。

 

◆私が受け取った「子どもの変化を起す力を信じる」というバトンを、次の子どもへつなぐ

私が高校生の頃、代表の中島とカナダのスタッフは、私から意見を引き出そうとして関わってくれました。意見を言うことが得意でなかったわたしも、そのおかげで自分の意見を言う事ができるようになっていきました。

子どもには、近くにその子の力を信じて話しかけてくれるおとなが必要だと、私は身をもって実感したのです。

自分がおとなになってからは、私が受け取った「子どもの変化を起す力を信じる」というバトンを、次の子どもにつないでいきたいと願い、始まったのがキャンプ事業(テイク・アクション・キャンプ)です。(最初は私が2000年に参加したインドのスタディーツアー中に受けたカナダのFTCが開発したプログラムをツアーに参加した仲間と日本語訳して実践してみることから始まりました)

学生時代は大学で研究していた開発教育とカナダのFTCが開発したリーダーシップトレーニングを組み合わせてキャンプを実施しました。(2004年)

 

◆子どもの意見を引き出すファシリテーターの育成とキャンプを運営

キャンプの準備はそこに関わる大人や子どもたちのサポーターとして参加する大学生のスタッフの意識を変える事から始まります。ファシリテーター研修を実施し、子どもたち一人一人に力があること、それをスタッフがまず第一に信じ、子どもに上から教えるのではなく、目線を合わせ、子どもの中にある意見を引き出すという姿勢で関わっていくということを、スタッフに徹底的に伝えていきます。

 

その視点を持ったスタッフが、子どもに関わっていくことで、最初はシャイで寡黙だった子どもたちが、自然と社会課題に対しての意見をどんどん言い始め、ご家族も驚くほどのソーシャルアクションの活動計画をつくりあげていくのです。

「ここは学校では話せないことも話せる!正解も間違えもなくて、社会にはたくさん課題があることが分かった。その課題を解決するために、自分にできることをやっていきたい!」

と皆がイキイキとした表情で語ってくれます

 

その子どもたちがおとなになってそれぞれの場でアクションを起し、社会に変化を起す力になっていると信じ、毎年このキャンプを実施してきました。初回キャンプから23年が経ち、当時の参加者の子どもたちも20代、30代となりチェンジメーカーとして活躍しています。

(この夏のテイク・アクション・キャンプの募集要項はこちら

 

◆フリー・ザ・チルドレン・ジャパンの職員として

2011年に団体もようやく職員を雇えるくらいまでの財政基盤となり、正職員となりました。団体と出会ってからの10年間はボランティアや別の仕事をしながら短時間のアルバイトで団体の活動をサポートしていたので、「子どもたちが国際協力・社会貢献に関わるきっかけをつくる」という自分が一番やりたかったことを働く時間全てに使うことができる!と、本当に嬉しかったことを今も思い出すと胸が熱くなります。(初めて打ち明けますが、2011年に世田谷の事務所に職員として初出勤した日には、代表の中島は大阪、出野は中国で子育て中と、自分しかスタッフがなかったので1人こっそり泣きました。)

それから、少しずつスタッフが増え現在は9名のスタッフで運営しています。私自身も、親となり子育てをしながら団体の活動を支えています。

1人1人が活動への思いが強く、激務となりがちなところが悩みですが、、スタッフのウェルビーイングも目指しながら、団体を運営していきたい気持ちです。

 

◆25年を迎え、これからの社会のニーズに応えるためにスタッフを増やしたい

フリー・ザ・チルドレン・ジャパンで仕事をしている中で、本当に大きな力と希望を感じることは、

これまでの25年間、「社会をよりよく変えよう!」という力に溢れた子どもたちのメンバーの登録が一度も途切れたことがなく、むしろ増えている!という事です。

 

いつの時代もその子どもたちの純粋な気持ちとエネルギーは同じ輝きをもっていて、おとなの側が

「うん!そうだよね!社会をよりよく変えていけるよね!」

勇気と学びをもらうことが多いです。本当に感動します。その感動がわたしの活動の原動力となっています。

 

2023年のこども基本法の施行と共に、社会はさらにFTCJのこれまでのノウハウと経験を必要としていることを、

各方面からの問い合わせをいただく中で感じる今日この頃なのですが、団体が人員不足ですべてのニーズに応えられないという、もどかしさがあります。

 

子どもメンバーからは会費を頂かないという姿勢を設立当初から貫いており、

団体の活動をさらに広げていくためには、おとなの皆さんの寄付が必要です。

 

FTCJは今後の活動方針として、

・今まさに過酷な状況で苦しむ海外と国内の子どもたちへの直接的な支援活動と、

・未来を担う子どもたちが「社会は変えられる」と信じ活動を起していくための啓発活動の

2本柱の活動を設立当初から大切にしていますが、これからもその2本柱を大切にしいくことをスタッフや理事、メンバーとの会議で皆で確認し合いました。

 

特に今はこども基本法の施行を受けて、日本社会から「子どもの声を聴くことができる大人の育成」を求められていることを感じます。

この流れを止めないために、スタッフを増強してその社会のニーズに応えることのできる団体になっていきたいです。

 

そのために、今年度はキッズパワーサポーター(マンスリーサポーター)の登録者増加キャンペーンを実施します。

今年度中に100人集めることを目標としています。

皆さまどうぞお力添えいただけましたら幸いです。