【フィリピンスタディツアー2024春】報告連載 Vol.7 ーDay6-7 マニラのスラム地域/漁港訪問報告&帰国

「フィリピンスタディツアー2024春」の参加者報告ブログ 全12回の連載 Vol.7をお届けします。
連載一覧はこちらからご覧いただけます。


報告「フィリピンスタディツアー2024春」
Day6 (2024年3月25日)

 

この日は、マニラのナボタスを訪問しました。漁業で生活をする人が多い地域で、漁業の首都ともいわれる場所です。
ナボタスにあるスラム地域を訪問しますが、そこに住む人々も漁港で働く人が多くいるため、どんな場所なのかを知るために、漁港も特別に訪れました。
 
スラム地域に着いて、まずは全員で、地域内をツアーして回りました。多くの電線や洗濯物などに驚きながら、地域の中にあるお店などを回って説明を聞きました。
お店では、まとまったお金を支払うのは難しい人でも、必要なものを都度購入できるようにしていて、例えばおむつなども1枚で販売していました。
 
その後、ペアで分かれて、ホームビジットです。
各家庭でお昼ご飯を食べ、遊んだりして3時間弱を過ごしました。
様子を見に行くと、お互いの言葉を教え合っている人、おりがみを折っている人、一緒に歌っている人、お互いの趣味を紹介しあっている人、インタビューをしている人、それぞれ思い思いの時間を過ごしていました。
 
ナボタスからホテルに戻り、講演・ディスカッションの時間です。
スラム地域での支援活動をしているKPACIOから、スラム地域で暮らす人々の状況や支援活動について伺いました。
その後、ホームビジット先の様子や気付き、印象に残ったこと、先住民族の村とスラム地域の様子を比べて感じることなどを共有しました。
全員で夕食を食べた後は、スタディツアーを締めくくる時間です。
ツアーを通じて感じたことや学びの共有を行いました。それぞれが考えていることに学びを得ながら、改めてフィリピンで過ごした時間を振り返ることが出来ました。
 
また、それぞれの関心のある社会問題・その理由、その問題に対して行うアクションを発表し、ジェンガで新しい社会を作るワークも行いました。
それぞれが積んだジェンガが徐々に1つにまとまっていき、とてもユニークな形になったのを見て、この18人がつくっていく社会が楽しみになりました。
 

Day7 (2024年3月26日)

 

最終日の朝は、仲間への手紙や1か月後の自分への手紙を書いたりと、ゆったりとした時間を過ごし、お昼前に空港へ移動しました。
空港で最後のご飯を食べて帰国です。お迎えに来ていたご家族との再会を喜びつつも、一緒に過ごしてきた仲間との別れを惜しみ、最後の最後までコミュニケーションを取っていました。

またみんなで再会できることを願いつつ、全国各地でそれぞれのアクションを起こしていくことを応援し合い、ツアーは終了となりました。
 

参加者からの報告

 

スラム地域に入る時はちょっと身構えるような感じでドキドキしていました。でも、実際は私の想像とはまったく違ったスラムの姿がありました。衛生的ではないという面はありましたが、とにかく人が明るく見えました。子どもも多くにぎやかだし、なによりコミュニティー全体がみんな仲良く協力し合っている感じがしました。そこで考えさせられたのが、そこで出会った人々はスラムと呼ばれる地域で生活をしているだけなのだということです。「スラム」と聞くと治安が悪く、危険そうなイメージを私は持っていました。でもお宅訪問をしたり、帰りぎわにスラムの子ども達がお見送りのためにバスまでついてきてくれたりしたことで、そのイメージが間違っていたことに気づきました。「スラム」は生活の場であり、そこで暮らしている人は悪い人じゃない。もしも今回スラムで会ったお宅のお母さんや子ども達がアパートなどで暮らしていたらと想像してみても、まったく違和感がありません。お家にはテレビもスマホもあり、子ども達は学校に通っていました。これは私とそうかけ離れた生活という訳ではないと思います。お宅訪問した際、お母さんに「この生活でもっと必要だなと思うものはありますか?」という質問をすると、「今のもので十分。みんな健康だし、食料もあるし、それで幸せ」という答えが返ってきました。私は欲しい物を買ってもまたしばらくたつと新たに欲しい物がでてくる自分になんて欲深いんだろうと反省しました。スラム地域の訪問の後、メンバーと意見交換をした際、「社会問題と人々の生活は直結しない」という意見が出ました。スラムは貧困問題から生まれた地域です。しかし、小さなことに幸せを見つけている人が多くいる印象でした。私が今回のツアーで出会ったスラムの人々を思い浮かべると、どの人も笑顔だったなと思います。一見対象的な言葉の「スラム」と「笑顔」が結びつくことに行ってみて気づくことができました。
しず/高校生
私は中学校に入ったとき、スラムという言葉を習いました。衛生状況や治安が悪く、公共サービスが受けられていない閑散とした地域というイメージでした。ですが実際行ってみると、学校に通っている子どもや遊んでいる子どもがいたり、電気が通っていたり、と驚くほど明るく賑やかな地域でした。歩いているとHi!と話しかけてくれるし、笑顔で手を振ってくれて、私は自然とスラムへのイメージが良い方向へ変わっていきました。ホームビジット先では金銭面の余裕があるはずないのに、私たちにお腹いっぱいご飯を食べさせてくれて、プレゼントまでもらい、もてなしてくれました。スラムで暮らしている方たちはみんな、毎日を楽しんでいるように見えました。私はそのとき、「貧しい=幸せでない」は成立しない、ということを学びました。逆に、日本で便利な生活をしているから幸せである、とは言い切れません。生活が苦しい中でも幸せを見つけるというのは決して簡単なことではないと思います。ですが、スラムの方々と接する中で幸せの形はたくさんあるということを学びました。その幸せを自分で見つけにいくこと、これは国境を超えた世界で共通する、大切なことだと学びました。しかし、そのスラムでは撤去を強いられたり、火事がおきやすいかったりと、課題が多くあります。それを救えるのは、私たちのような金銭的に余裕がある人です。私は、スラムの方たちの幸せが少しでも多く守られるために、アクションを起こしていきたいと思いました。
はんな/高校生
私が訪れたスラムの家庭は、想像よりも広く、快適でした。私はとても陽気でノリのいいお母さんと、KPACの奨学金で学校に通う優しい息子の温かいおもてなしに迎えられました。そのため、私は最初、スラムが抱える問題を感じることができませんでした。しかし、私たちがその居心地の良さをお母さんに伝えた時、「私はスラムが好きじゃない」とキッパリ返され、ハッとさせられました。お母さんは、「もっとお金があれば、子どもにおいしいご飯を買ってあげられるし、教育にお金をかけられるし、自分の家だって買える」「近くには銃を持っている人がいて、人身売買があり、子どもが巻き込まれないか怖い」「お金が欲しい、仕事が欲しい。」と話してくれました。また、スラムは家が密集しているため、火事が多い事が問題としてありますが、お母さんの親戚も火事にあったそうです。親戚の女性は身一つで逃げたため、家や所持品を全て失ったそうです。お母さんは、「もっとお金があれば、彼女に食べ物、服、布団なども支援できたし、車があれば、彼女を迎えに行くことができたのに」と悲しい思いを話してくれました。私は、お母さんの願いや現状を聞いて、この家族やスラム全体が抱える、貧困や犯罪という大きくて深刻な社会問題の存在を再認識しました。

スラムから出たいと願う人がいる一方で、スラムを自分の居場所としていて、ずっと自分も子どももスラムにいたい願う人がいることも知りました。

スラム訪問後に、現在は少しずつスラムが撤去されているという話を聞きましたが、スラムをなくしていく際には、スラムが抱える問題だけでなく、そこで生活する一人ひとりが抱く思いも照らし合わせながら、誰もが安心して暮らせるまちを築くことが重要だと感じました。
わかな/高校生

 

次回からは、参加者1人1人の参加動機や感想・アクションなどをお伝えしていきます!お楽しみに!
 


「フィリピンスタディツアー2024夏」参加者募集中!

フィリピンスタディツアー2024夏 子どもふれあい、国際協力について考えるたび

日程:2024年8月1日(木)〜7日(水)/6泊7日
場所:フィリピン(マニラ/オロンガポ)*成田発着
対象:中学生以上 *25歳以下優先
旅行代金:304,000円 *旅行代金に含まれない費用がございます。詳細はウェブサイトでご覧ください。
割引:早割-5月15までのお申し込みで5,000円引き *併用不可
きょうだい割-同一住所のご家族2人以上のお申し込みでそれぞれ5,000円引き *併用不可
募集人数:18名(最少催行人数8名)
締め切り:1次締切-5月15日(水)24時、最終締切-6月11日(火)24時