ボランティア体験記~フィリピンの盲学校にて~(3)

 

こんにちは!
8月12日の記事に引き続き、「Service Learning」という
大学のプログラムでフィリピンのデュマゲッティにある
障害者学校を訪れたFTCJ大学生メンバーの石田由香理さんの
体験談をお届けします。―――活動を通して―――

3. 私の活動

これらの現状を目の当たりにして、たった一週間で私に
何ができるかと途方にくれてしまいました。

まず浮かんだのは、教材不足に対し点字の本を増やすことでした。

しかし、ほとんどの生徒は点字も読めず、
読めたとしても非常に遅いものでした。
点字を読むことができない、一人で外出ができない。
そんな彼らは将来就職することは厳しく、親がいなくなったら
飢え死にするか施設に預けられて一生を過ごさなければなりません。

このような状況を聞き、自分にできることは、彼らに視覚障害者
として生きて行くうえでの基礎知識
(物の触り方や日常生活に必要な手の使い方)を教えることと、
基礎学習に必要な教材を作ることだと考えました。

さっそく、近くの本屋で教材作りに必要な物を揃え、
二日目からの四日間を使って全盲の子を中心に次の三つのことを教えました。

一つ目に、毛糸を糊で紙に張り付けて迷路を作りました。
日本でも5~6歳にやらせるもので、毛糸の線の上を指で辿り、
将来点字を読んだり、図形やグラフを触って理解するための練習をしました。

二つ目に、折り紙を使い、単純に半分に折ったり
四つ折りにしたりしました。きれいに辺や角を合わせる作業を通して、
洗濯物や紐結びの際の指の感覚を養いました。

三つ目に、近くで買ってきた物を使って簡単な足し算をしました。
「右手に一つ、左手に二つ…合わせていくつ?」と、
字が読めなくても足し算引き算を学べるようにしました。

実際、これらの教材を使って、マートンという14歳の男の子は
その週で一ケタならば足し算引き算ができるようになりました。

$フリー・ザ・チルドレン・ジャパン

マートンに、ブレイルメモを使わせている石田さん(写真右)

これらの学習に加え、私が持ってきた、画面に出た文字を音声で
読み上げる携帯電話や、授業中にノートを取るためにブレイルメモ
(点字の電子手帳のような物)を見せたりしました。

そして、盲学校の近くにあるシリマン大学でSpecial Educationの
授業を見学させてもらい、最後の5分をいただいて、特別支援教育を
専攻する将来しょうがい者学校の先生になる学生の前で生い立ちや
私が受けて来た日本の教育について話しました。日本では全盲でも
一般の人と同じレベルの教育が受けられると話した時には教室が
どよめき、さらに私が実家から離れて寮で自炊していると話すと、
30秒ほど話しを中断しなければならないほどのどよめきが起きました。

指導者さえ、障害者は何もできない、可能性が無いと思っている。
それが私が見たフィリピンの現実でした。
学ぶ側も、また指導する側も情報源やロールモデルが必要なのです。

(終了)

この原稿のブログアップを担当したFTCJでインターンを
している大学生のMitchです。
石田さんの体験談を読んだ感想は:

「できない」と社会がしょうがい者の方にリミットを
かけていることが一番の妨げになっていたようです。
染み付いた考え方はそれ自体から変化をおこすのは難しく、
違う考え方の人と触れ合うことで変わっていく。

石田さんがフィリピンを訪れた意義は果てしなく大きいですね。
どこかでみなさんを待っている場はあるはず、
そのときに備えて、行動していきましょう!!