2023年のエクアドルでの活動を報告します
フリー・ザ・チルドレンでは、現地パートナー「WE Charity Foundation(WCF)」を通じて、エクアドルのアマゾン地域のコミュニティの支援を行なっています。
現地より、2023年度のWCFのエクアドルでの活動レポートが届いたので、ご報告いたしします。
WCFのエクアドルでの活動は25年前に始まり、主にアマゾン地域にあるナポ県に暮らす人々を、各コミュニティとパートナーシップを組む形で支援してきました。
パートナーコミュニティ内での事業の自立や継続性が拡大していく中で、現在は徐々に食糧保障や医療や教育へのアクセス向上など、より地域全体を支える仕組み作りに力を入れています。
25年以上の実績を踏まえ、WCFの今の目標は、個々のコミュニティを支援するサイクルから、地域レベルのプロジェクトへ移行し、アマゾンの人々が永続的に繁栄できるようにすることです。
2023年は、主に以下の3つの活動に注力しました。
<ミンガ農業研修センター>
- 農作物を12トン以上を収穫することができました
- カカオ農業の研修プログラムによって、参加者の世帯収入が70%以上増加しました
エクアドルのアマゾン地域における食糧保障を改善していくためには、熱帯雨林を守りながら持続的な農業を行なっていく必要があります。そのために、この「ミンガ農業研修センター」は設立されました。
このセンターでは、農家が自分の農場で実践できる現代的、持続的な技術を学び、収穫量を安定的に増やしたり、収入を向上できるようにするための研修を提供しています。
現在、より多くの苗木を育て、育てた苗木を学校での熱帯雨林保全プログラムへ提供できるよう、このセンターの規模を拡張しているところです。
<女性へのエンパワメントプログラム>
- 支援地域内の75%のコミュニティが、このプログラムに参加しました
- プログラム参加者の92%がプログラムで学んだことを実践しました
エクアドルの農村地域では、10人のうち7人の女性が、性別による暴力や虐待の被害を受けているといわれています。
この地域の女性を応援することは、彼女たちの生活を向上させるだけでなく、ジェンダー平等、DV、貧困など、多くの地域の課題を解決するきっかけにもなります。
このプログラムは、受講する女性たちが経済的に自立し、世帯内で平等な立場になるための教育、収入を得られるようにするためのツールや情報を提供しています。
<モバイルクリニック(移動診療)>
- アマゾン地域の70以上のコミュニティを訪問しました
- 1万人以上を診療しました
アマゾン地域のコミュニティの多くは、ジャングルの奥深くや山奥など、地理的に隔離されていることが多く、人々が適切な保健・医療サービスへアクセスすることが困難であるという課題があります。
WCFはモバイルクリニックを実施し、医療チームが1日がかりのカヌー移動や登山を経て、こうした地方コミュニティを訪問し、たくさんの医療物資を届けたり、保健教育に関する研修を行ったり、現地の人々の診療を行ったりしています。
ケースストーリー
ノーマ・サナイさん
女性エンパワメントプログラム参加者
「これまで、私たちは自分たちの食べ物を買わなければならなかったのですが、そのお金すら足りませんでした。しかし今では、家族を養うだけでなく、売ってお金を得るために十分な食糧を得られるようになりました。」
ノーマさんは、既にグループの一員だった姉が新しい事を学んでいる様子を見て、このプログラムに参加することを楽しみにしていました。
このプログラムに参加したノーマさんには、モルモットが支給され、その飼育方法を教わりました。
ノーマさんは教わったことを元に、また母の助けも得ながらモルモットを飼育し、安定的に繁殖できるようになりました。繁殖したモルモットを売ったお金で、ノーマさんは高校へ通い続けることができるようになり、自分や弟や妹の衣類を買ったりすることもできるようになりました。
プログラムでの研修を受けた後、ノーマさんは家庭菜園も始めました。プログラムで支給された作物の種を、家族みんなで協力して育てています。最初は、自分たちが食べるものを作るために家庭菜園を始めましたが、徐々にご近所や親戚の人へおすそ分けできるほど豊作になりました。
家庭菜園の収穫量がさらに増えたため、ノーマさんたちは収穫した作物を売ろうと考え、アラウシの町に出かけました。町の道ばたで作物を売ろうとしたのですが、自治体からの許可が下りなかったため、販売場所を探していたところ、マーケットの空きスタンドを見つけました。
現在は、家庭菜園で収穫した作物を毎週日曜日にアラウシのマーケットで販売するようになったことで、安定した収入を確保できるようになりました。
ノーマさんは今、姉と同じように、無事に高校を卒業できることを楽しみにしています。
日ごろから当団体の活動にご支援くださっているみなさま、エクアドルでの活動のためにご支援、ご協力をくださったみなさまに、心より感謝申し上げます。
フリー・ザ・チルドレン・ジャパンでは今後も、現地パートナー団体WCFを通じてエクアドルのアマゾン地域の人々を応援していきます。引き続き、ご支援をお願いいたします。