外務大臣に教育支援について提言しました!

 TICAD

第5回目のアフリカ開発会議(TICAD V=ティカッド・ファイブ)が横浜で6月1日~3日に開催されました。アフリカ51カ国から大統領など国の代表者が出席し、その他国際機関やNGOなども参加しました。

TICADは1993年に第1回が開催されて以来、5年おきに日本政府の主導により日本で開催
されてきたアフリカの開発をテーマとする国際会議です。会議では経済や貿易問題、
環境問題、インフラ、教育問題への取組など、様々な分野について話し合わわれています。

近年では、アフリカに眠る天然資源の開発と輸出によりアフリカの国々で目覚ましい経済成長がみられますが、その一方で、環境の悪化や貧富の格差など多くの課題を抱えています。

例えば、サハラ以南のアフリカでの小学校への就学率は76%(2010年)にとどまっています。
つまり、24%の子どもは小学校に入学できておらず、1200万人もの女の子が一度も学校に
通うことなく生涯を終えています。

また、5歳未満の子どもの死亡数は、先進国では1000人あたり15人なのに対し、サハラ
以南のアフリカでは1000人あたり121人となっており、乳幼児の死亡率が依然高い状況
です。多くの子どもが感染症などで命をおとしたり、病院や保健所へのアクセスが難しいと
いう現状があります。

そして、人々がきれいな水へアクセスできる割合は先進国では99%となっていますが、
サハラ以南のアフリカでは、わずか61%となっています。アフリカでは、遠くまで水を
汲みに行かなければいけない地域がまだまだたくさんあるのです。

フリー・ザ・チルドレン・ジャパンは、アフリカを含む途上国の教育問題について、今回の
TICAD開催中に、教育協力NGOネットワークおよびプラン・ジャパンの共催により行われた
シンポジウムに参加しました。

そのシンポジウムでは、途上国の教育問題と教育支援について考えるもので、
阿部俊子外務大臣政務官に、世界の開発途上国の基礎教育支援の拡充のための
提言書を手渡し、日本政府に提言を行いました。この基礎教育支援について学んだ
フリー・ザ・チルドレンの高校生メンバーも当日壇上でスピーチを行いました。

その時の高校生メンバーや、NGOからのメッセージや提言を下記にご紹介します。

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2013年6月1日

外務大臣 岸田文雄殿

「世界一大きな授業」に参加した子ども代表からのメッセージ

本日は、「世界一大きな授業」に参加した58,348名の子どもを代表して、
大臣にお会いできることを大変光栄に思います。

私たちは、「世界一大きな授業」を受け世界の教育の現状を学び、学校に行けていない
子どもたちがこんなに沢山いる事に純粋に驚きました。子どもというのは学校に行くもの
だと思っていたからです。

僕たちは学校に行きたくなくても親や周りの大人が行きなさいといいます。
ですが途上国の子どもたちは行きたくてもいけない現実があるというのにとても驚きました。

彼らは何も悪くないのに家にお金がないからとか国が貧しいからという理由だけで
行けていないのかと思うと同じ子どもとしてやりきれません。

それなら先進国でお金のある私たちが支援をすればいいのではないでしょうか?
大人のみなさんは教育が大事だとご存知のはずです。

それなら世界の子どもたち全員が教育を受けられるまで支援し続けるべきではないでしょうか?

「教育は自分の国の責任」「自分の国の子どもでなければどうでもいい」
みなさんはそんなことを思っていませんか?

もっと大きな視野を持って、今よりももっと支援の輪を広げてくださいますようお願いします。

そこで、日本の教育援助を改善するために、以下の4点を大臣にお願いします。

1. 基礎教育援助の割合を増やしてください。
日本の二国間援助ODAに占める基礎教育分野の割合はわずか0.5%で、少なすぎます。
他の先進国並みの2.1%まで、つまり4倍増やしてください。

2. 貧しい国により多くの教育援助を配分してください。
日本の教育援助の70%は中所得国向けで、低所得国向けは30%にすぎません。
日本を除くG7諸国の教育援助は45%が低所得国向けです。紛争や貧困などでより
困難な状況にある国を重視してください。

3. 技術だけでなくお金の支援もしてください。
多くの途上国政府はすでに目標値である政府支出の20%を教育にあてていますが、
初等教育の完全普及を達成するためには540万人の教員の雇用が必要です。教員の
給与や教科書代などの経常経費が圧倒的に不足しています。技術協力だけでなく、
教育分野の財政支援にも力をいれてください。

4. 教育のためのグローバルパートナーシップ基金にもっと拠出してください。
EFA目標達成のための国際イニシアチブである「教育のためのグローバルパートナー
シップ基金」への日本の拠出金は、年に540万ドルで、英国の3億5200万ドル、
豪の2億7800万ドルと比べてあまりにも少なすぎます。2010年の国連総会で約束した
教育援助額(5年間で35億ドル)の約9%にあたる年間6,000万ドルを拠出してください。

以上、ご検討いただき、お返事をいただきますよう、お願い申し上げます。
どうも、ありがとうございます。

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