家事労働者にも権利を

こんにちは、今日は8月8日にILOから出されたプレスリリースを紹介します。
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家事労働における隠された現実

6月16日、ILOの第100回の総会において、家事労働者も他の労働者と同じ権利を有するべきとして、家事労働者のためのディーセント・ワークに関する条約(第189号)とこれを補足する勧告文書第201号が採択されました。多くの子ども達(特に女子)が学校にもいけず、掃除、アイロンがけ、料理、雇い主の子どもの世話などの家事に従事しています。これらの条約がどのようにいきすぎた家事労働から子ども達を救う事ができるのか?についてILOのマーチンさんとホセさんが答えてくれました。

 

質問:「子どもの家事労働」をどのように定義付けていますか?また、人数はどれくらいいると思われますか?
「子どもの家事労働」の定義とは18才以下の子どもによる家庭内での仕事を言います。人数については、家庭内という人目に触れない場所であるために正確な数字はつかめていませんが、2008年地点で少なくとも1,550万人はいると思われます。地域ではアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどで多く見られる傾向にあります。

質問:どうして、この問題は人目に触れることなく、取り組むのに難しいのでしょうか?

社会や地域の慣習なども一因として挙げられますが、多くの国で少女にとってはいい仕事だと考えられています。家事は女性の役割という固定観念や結婚のための修行の一種であるとも考えられています。子どもによる家事労働は児童労働として認識しています。通常15才以下になりますが、就業最低年齢に達しない子どもによる労働を児童労働と考えているのですが、年齢に関係なく、子どもたちが仕事をするというのは危険なことなのです。仕事というものは子どもの健康、安全、モラルなどに害を及ぼす傾向にあります。

質問:この問題の根底にあるものは?

児童の家事労働はいろいろな問題があります。貧困、教育の欠如、女子・女性への差別、紛争や病気で親をなくしやむを得ず、家事労働を始めることもあります。また、家事労働につくことにより、家事を覚えるので女子にとってはいい教育になるという考え方も影響しています。

質問:家事労働ではどんな危険性が考えられますか?

長時間労働、危険な化学薬品の使用、重い物を運ぶ、ナイフやオノ、熱くなったフライパンなど危険なものはいっぱいあります。身体的暴力、言葉による暴力、ときに性的暴力を受けることもあります。教育、健康、休息、遊びなどの時間がとれず、子ども達の基本的な権利が侵されれば、子ども達の心身ともの健康に悪影響を及ぼすと考えています。

質問:この新しい条約と勧告は家事労働をする子ども達にとってどのような効果があると思われますか?

この新しい家事労働者のためのディーセント・ワークに関する条約(第189号)は就業最低年齢を定めた138号と最悪の形態の児童労働の禁止・撤廃のための条約の182号とも関係があり、新しい条約は138号と182号と最低年齢も同じで、各国の法律の最低年齢を下回らないようにしてあります。勧告(201号)については児童による危険な仕事を廃止するように強く求めています。

幼少から家事労働を強いられている子ども達は十分に教育を受ける事ができませんし、最低年齢に達していたとしても、家事労働が原因で教育を受けることが難しくなります。新しい条約は18才未満の子どもによる家事労働には対策を講じるように各国へ訴えており、18才以上だとしても教育や職業訓練を受ける機会を奪ってはいけないと訴えています。