児童労働はカナダの見えない危機

11月7日グローバルボイスより
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翻訳:中丸玲子

二人のティーンエージャーの2つの死。二人の危険な夏のアルバイト。

マキシム・ディグレイ君はケベック州西部の農場でトウモロコシの積み荷作業をしていました。2005年8月の終わりころ、彼はトレーラーから落下、(トレーラーの下敷きとなり)圧死。13歳でした。

 

アンドリュー・ジェームズ君はマニトバ州のストーニーマウンテンの道路舗装会社でアスファルト下ろしの作業をしていました。2008年7月、彼はアスファルトの下敷きとなり死亡。15歳でした。

 

カナダ国民は、児童労働はガーナのココア園で子どもたちナタを振ったり、インドのカーペット織機で子どもが小さな指を切ったりというような外国の問題と考えているようです。カナダの高速道路を十代の若者が舗装しているとはほとんどの人が考えたこともありません。現実に死者が出て初めて、国内の子どもたちの職場環境に目を向け始めたのです。

 

これら2つのケースでは、二人ともそれぞれの地域で就労可能とされている法廷年齢に達していました。しかし、低年齢での就労は彼らにとって最善の利益とはならなかったのです。

 

それでは、誰が子どもたちの最善の利益を考えていたのでしょうか?

 

カナダ国内14の州や地域には、連邦政府が定めるのと同じように就労規制があります。

 

アンドリュー君が亡くなったマニトバ州では、16歳未満は工事現場、製造工場、足場の組まれた現場で働けないはずです。しかし、15歳の少年がアスファルトを下ろす作業をしていました。

 

一方、ケベック州では12歳から14歳は親の同意書があれば働くことができます。しかし、13歳のマキシム君は親の同意書は必要とされていませんでした。というのも、カナダのほとんどの司法管轄区域も同じように、農場での児童労働にはほとんど全くと言っていいほど規制がありません。

 

矛盾、独善的な規制、法的強制力のない規則には全くあきれます。また、カナダの最も弱い労働者を規制する複雑な法律を子どもや親たちに理解させることが、いかに難しいか気づかされました。

 

確かに言えることは、答えよりも疑問の方が多いということ。子どもがカナダで就労できる法定年齢は何歳とすべきでしょうか?安全基準違反がもたらした死や怪我が、成長度の問題も提起しました。子どもが労働者としての権利を十分理解できるのは何歳からなのでしょうか?

 

カナダで児童労働が存在しないのではなく、現実は議論があいまいで問題点が見えなくなっているだけなのです。

 

カナダのほとんどの司法管轄区のように、ベビーシッターや新聞配達など、理論上は「雇用」に当たらない、害のない仕事に例外を作ることについては、ぼくたちも前向きに考えています。しかし、おかしなことに、カナダのアルバータ州のようなプレーリー州(訳注:プレーリーが多い、アルバータ州・サスカチュワン州・マニトバ州のこと)では、農作業も雇用条例から除外されているのです。

 

「ですから、8歳の子どもをトラクターの運転手として雇っても州の条例は適用されません。」と(アルバータ州)エドモントンのアサバスカ大学の労使問題専門のボブ・バーネットソン准教授は話します。「あるいは、8歳の子どもにトラクターを運転するよう、雇用と関係なく指示することも可能なのです。」

 

アルバータ州の子どもたちの雇用経験に関するバーネットソン准教授の研究によると、9,10,11歳の子どもたちが様々な分野で働いた経験を持っており、そのほとんどが違法なものだということです。カナダの雑誌The Walrusの2008年の調査記事によれば、2007年にケベック州で労働災害補償を受け取った子どもの最年少年齢は8歳でした。

 

連邦法は17歳未満を学校にいるべき時間帯に働かせないようにしていますし、午後11時から午前6時までの労働も禁止しています。また、16歳未満の子どもは露天掘り炭鉱(訳注:露天掘りとは坑道を掘らずに地表から渦を巻くように地下めがけて掘っていく手法:ウィキペディアより)や爆発物製造工場で働くことはできません。

 

けれども、若年層の就労最低年齢や労働時間の上限は司法管轄区によってまちまちです。マニトバ州では、16歳未満の労働者は労働基準監督局長の許可を取らなければなりません。

 

ケベック州の12歳に必要なのは親の同意だけです。州法で労働時間の上限も定められていません。表面上は、ケベック州で12歳の子供が学校に行くことになっていなければ、週に40時間ハンバーガーを売り歩いてもいいのです。夜の11時以降にならなければ。フルタイムの仕事を持つ子どもが、基本的な就寝時間を連邦政府から指導されているというのは、むしろ滑稽だと言えます。

 

こうした矛盾の中にも傾向があり、若年労働者を守る州の法律が更に緩められる傾向にあります。2003年、ブリティッシュコロンビア州は法案37を可決しました。この法案は12歳から14歳の労働者に対する規制の多くを緩めるもので、許可要件や職場の無作為調査を除外しました。このように若年層の労働規制は企業などからの苦情だけを基に実施されるようになっているのです。2009年にはサスカチュワン州は就労最低年齢を15から14歳に下げました。

 

アルバータ州の若年労働者は仕事によっては許可が必要とされています。しかし、物議を醸している包括的適用除外がレストラン業界では2005年に認められました。脂っこいポテトフライ作りに安い労働力を使いたがるファストフードのロビイストからの圧力を受けたことは明らかです。

 

13歳の子どもがポテトフライの揚げ鍋担当となっても苦情を言う人はいないでしょう。確かに、違法な雇用ではありませんから。バーネットソンの研究から、子どもの労働者もその親たちも若年労働者の権利についてはほとんど無関心だと言うことが分かりました。親の同意書は無意味なものと化していますし、親は働いている子どもの保護者としては無力な存在となっているのです。

 

児童労働は、確かに途上国でもっと注目されるべき問題です。

 

悲しいことですが、カナダの児童労働者の権利に対する国民の意識は、十代の少年がトラクターにひかれたり、タールの下敷きになったりして初めて目覚めたのです。積極的に子どもたちの最善の利益に取り組む役職もありません。

 

カナダで働く子どもたちのために支援者が是が非でも必要なのです。