東アフリカ緊急支援 経過報告
東アフリカ緊急支援レポート!
国連によると東アフリカでは干ばつの影響で29,000人以上もの子どもが命を落としていると言われています。また、1200万人もの人々が緊急食料
援助がないと亡くなってしまう状況にいます。
この様な状況から子どもを助けるため、フリー・ザ・チルドレン(以下FTC)では、2011年9月から東アフリカ緊急支援事業を立ち上げ、昨年から短期支援と長期支援の2つのプロジェクトを打ち出し、干ばつ被害を軽減する対策を講じています。
多くの方からのご支援により、ある程度の成果をあげることができました。
現地から9月~12月までの活動報告が届きましたので、感謝とともにここでご紹介します。
◆緊急救済支援:ダダーブ難民キャンプ※
(※ソマリア難民受け入れの世界最大のキャンプ)
2011年12月 経過報告
翻訳:FTCJ翻訳ボランティア 中丸玲子さん
FTCではダダーブ難民キャンプにいる家族対象の緊急支援を行ってきました。
連日、約3千人のソマリア難民が押し寄せたためにダダーブはたちまちケニアで4番目の大都市に膨れ上がりました。
しかし、40万人が生き残るために頼れるのは寄付だけなのです。
FTC創設者のクレイグは米女優ミア・ファローさんと共にまず9月に難民キャンプを訪問し、30歳の5児の母である難民ファドゥモさんから話を聞くなどしました。(写真は、難民キャンプ訪問中のクレイグ)
「キャンプでの生活は厳しいものです。望んでいた生活とはかけ離れています。
でも一つ言えることは、ここは平和です。それはとても大切なことです。
将来がどうなるのかわかりませんが、子どもたちがソマリアに戻るのは難しいでしょう。
ここに仕事はありません。子どもたちの衣食住は、私が頼りです。
でも、何もしてあげられないのです。」
ファドゥモさんのような家族を支援するため、FTCは国連高等弁務官事務所(UNHCR)と協力して9月には、1万7千世帯に15トンの水を配給し、ダダーブのキャンプまで何日も歩いて到着した多くの新たな難民には、1ヶ月分の必需品
が配給するなどの緊急支援を実施しました。
◆短期支援:栄養強化支援 in ケニア
FTCが活動しているケニアのマサイ・マラ地区の14のコミュニティでも、8月までには干ばつの兆候が顕著になっていました。FTCが運営支援をするバラカ・ヘルス・クリニックは、特に子どもの栄養失調の増加を把握し、危惧していました。
FTCが支援する学校の校長は、生徒らが自宅で家族の危機的状況を助けていたため、出席率が低下していると述べていました。FTCの支援は常に、社会的弱者つまり就学年齢の子ども、妊婦と乳幼児、育児中の母親らに重点を置いており、9月以来、FTCは栄養強化計画を立て、これら3つのグループに対して総合的な日常食を提供してきました。
食事は、FTC支援の学校に出席している生徒たちに、昼食時に配給されるなどしています。そうすれば、彼らは質の高い教育にも積極的に参加できます。FTCは6千人の生徒と約3500人の母子へ栄養強化食品の配給という目標を達成できました。
これらの食事を多様化させて供給するために、FTCは学校管理委員会と協力して、玉ねぎ、にんじん、ケール、キャベツ、ホウレンソウなどを学校の農場で育てています。
この努力が実り、子どもに自宅の手伝いをさせなければならないほど生活が困窮していても、生徒の出率は非常に安定していたことを確認しました。
そして、栄養失調の減少傾向の初期段階も確認できました。
FTCは引き続きこの栄養計画を実施し、同時に今後数カ月は干ばつの影響と長期戦の戦いを続けていきます。
◆ケースストーリー:アルフレッド・ロノ
アルフレッド・ロノはケニアのナロック地区のコミュニティで活動するFTC支援チームのスタッフです。
アルフレッドは自分の体験から、食と生活の安全を長期的に実現し、より多くの家族を支援することに意欲的に取り組んでいます。彼は生まれてからずっと、干ばつにより自分のコミュニティの食の安全が次第に脅かされていくのを見てきました。思い起こせば、彼の家族は広大な土地を使って、一年中家族全員を養えるほどのトウモロコシを育てていました。
子どもが成長するにつれて土地は小さく分割されていきました。同じ土地を何度も何度も耕すことになったため土地は痩せ、生産量も減少してきました。気候変動と雨量の減少が追い打ちをかけ、家族を養う主食が減りました。そしてついには、家族全員を半年養うだけの主食も野菜も生産することができなくなったのです。
彼は学校に通い、質の高い教育を受けました。学校でのモデル農場で自分たちの土地に適した知識と技術を学びました。土地はとても狭いのですが、彼は家族を一年中養える作物と野菜を生産できるようになりました。
アルフレッドは言います。
「解決することはできます。貧困や飢えから抜け出すためには、持続可能な長期的支援で解決することができるのです。
今、必要な支援は灌漑設備です。雨が降るのを待っていても仕方ありません。自分たちでコントロールできないのですから。でも、灌漑設備を整備すれば、農業訓練を通して農民の能力を向上させていけます。
その一方で、緊急に対応しなければならない支援もあります。
今現在の命を救うことに集中しながら、明日のことにも目を向けることが大切です。」