児童婚姻と闘うことは何故そんなに難しいのか

こんにちは、浅田です。
今回は子どもの早期結婚に関する記事です。

(翻訳者 翻訳チーム 金田豊正)

The original article
  

児童婚姻と闘うことは何故そんなに難しいのか

 

世界中の組織がこの慣習を止めさせようとしています。しかし、根付いた“しきたり”や“貧困”や無力な“国の統治”が本来の進歩を抑え込んでしまっています。

 

発展途上国の中には、毎年1000万人の18歳になる前の女の子たちが自分たちの意に反して結婚させられています。そして、この女の子たちのうち7人に一人は15歳以下なのです。

この問題がよく知られているインドでは、国内外の人権団体が、昔から続いているこの悪い慣習を阻止すべく話し合いと法律化を進めています。でも、場所によっては、この児童婚姻の中止を断固として譲っていないのが現状です。

このような実態の中で、女性の児童婚姻は深刻な問題を抱えています。それは、彼女らの教育を受ける機会が先細ったり、経済的な独立の望みを喪失させたり、若すぎるお母さんから生まれる乳児の死亡率が高まったりして、結局は彼女らの人生全体を狭めてしまっているのです。

しかしながら残念なことに、児童婚姻は多くの国において理論的には違法なのですが、司法権として執行されることは少ないのです。そして、年を追うごとに多くの幼い女性たちが未来をはく奪された結婚生活を送る身分に落とし込まれているのです。

 

フォード基金は、世界中の数十のNGOが持つ調査データベースをつなぐことによって児童婚姻についてのインタラクティブなワールドマップのウェブサイトを立ち上げ、今週発表しました。

http://www.fordfoundation.org/2011-annual/youth-sexuality-and-rights/

この目的は、児童婚姻のグローバルな実態をより一層把握しやすくさせ、個々に活動している人権擁護団体に自分たちの活動がこのウェブサイトを通じてより大きな動きに変化することをわからせることにあります。最終的に長続きする活動はその国の政府自身によってなされる必要がありますが、フォード基金は、世界の人権擁護団体が一体となって支援をする場も必要だと感じています。

“性と生殖に関する健康と人権を擁護する組織”のマーガレット・ヘンペルはこう語っています。「もし、みなさんがこれを問題と感じ長期的な変化を見つめていくのなら、そこには、確かな専門性を持ち、世界中の仲間と連携できる組織や人たちが間違いなく存在すると強く信じています。そして、この課題に直接手を染めることのできる人がこの長年にわたる問題を解決していくでしょう。」

 

児童婚姻の背景は、その国における“貧困”、“若い女の子にとって人生の選択の余地が無いこと”、“女性の人権に対する悲惨な境遇”、“社会的不安”、“不安定な経済”などが挙げられます。さらには、地元の慣習が各家庭での若年令の結婚を促しています。

ニューデリーにあるユニセフ・インドの児童保護の専門家であるドラ・ギウスティは次のようにメールに述べています。「結婚持参金が可能な限り増えないようにするためや結婚費用を抑えるために貧しい家庭では他の家と一緒に集団結婚式を挙げています。」

 

女の子が若年結婚をすると、彼女の家族の生活も楽になります。

女の子が結婚せずに家にいると、彼女たちは家の中で経済的な負担としてみなされてしまうのです。

 

児童婚姻の問題に取り組む人たちのほとんどは、この家庭の中の問題が法律の未施行よりも深刻な問題だと受け止めています。

ドラ・ギウスティは次のことも述べています。「伝統的に女の子は父親から花婿に受け渡される所有物と見なされている。彼女らは両親が年老いても生活の面倒を見ることも出来ず、かえって重荷になると見なされているのです。」

 

発展途上国の国においては、女性に関してその社会で受け入れられている慣習があります。すなわち、未婚の女性たちは家族の世間体という非常に大きなプレッシャーを責務として感じ、できるだけ思春期に近い年齢で結婚することが家族や彼女自身が社会に汚点を残さないと考えているのです。

 

マーガレット・ヘンペルは、児童婚姻の過ちの認識を普及させることは児童婚姻自体をストップさせることだけでなく、発展途上国の女性が直面しているすべての複雑な問題について広く議論していくことを希望しています。

そして、マーガレット・ヘンペルはこのように語っています。「児童婚姻は“女性自体を低く評価していること”や“普通に妻や母になる女性の権利を無視した扱い”を示す一つの明白な事例である。」

子どもを産む権利や経済・教育の格差やエイズ感染のリスクなどの女性の権利が社会の中で活発に議論されるだけでなく、児童婚姻が世界の中でこれらに対する反対意見の火付け役となることを期待しています。

しかし、最終的には、この問題は次世代の子どもたちにかかっているのです。

マーガレット・ヘンペルは次のように表現しています。「父親は娘たちに正しいことをやってもらいたい。兄弟は姉妹に正しいことをやってもらいたい。母親は子どもたちに正しいことをやってもらいたい。」

 

現実に、ユニセフと国際女性研究センター(ICRW)が調査した結果によると、インドでは、他の両親が同じことをするのなら、自分の娘を遠くの学校に通わせることを厭わないという気持ちが高まってきています。

このことは今までのインドの家庭で見られていた非現実的な判断や実際には不履行に終わるようなことについて改善の兆しが見えてきていると言えます。フォード基金は、この調査は多くの地域社会のリーダーが若い女の子の人生の改善に関わりを持つことの励みとなり、また、インドの両親がこの難しいながらも進歩した決断を下しやすくなると期待しています。とりわけ、女の子たち自身がこの問題を話し合う必要があります。

マーガレット・ヘンペルは最後にこう言っています。

「もっとも効果のある解決策は、彼女らが求めている未来について話す方法を探すことと彼女らの人生に変化を与える代弁者を生み出すことです。」