ネパールでの養子縁組の不正取引が大きなビジネスに

こんにちは、浅田です。

今回は一年前の記事ですが、ネパールの養子縁組に関する記事です。

(訳者 翻訳チーム 金田豊正)

カトマンズのGWEI特派員のラメシュ・サウド氏からの報道

ネパールは養子を求める海外の国にとって養子縁組を行う重要な国の一つとなってきました。その理由の一つとして、南アジア一帯にも言えることですが、ネパールの人たちには、親のいない子どもを養子に迎え入れる考え方がなかったことが挙げられます。このため、孤児は欧米の国々に引き取られていました。

しかし、最近、アメリカやいくつかの国々は、ネパールから孤児を養子に迎え入れることについて不正な取引の疑惑があるとして、養子縁組を中止するようになりました。

ネパールの児童養護施設の不正取引は、無くなるどころか、どんどん悪化してきています。ネパールの何百もの児童養護施設は商売に走り、養護施設のオーナー達は金儲けをするために養護施設を孤児で一杯にしています。

ネパールタイムスのこのレポートは、“バプの誕生日*”を迎える前に深刻な警告として報道されました。

*人権運動の領域においても平和主義を貫き通したガンジーの生誕記念日(10月2日)のこと。ガンジーはインドと密接な関係にあるネパールにおいても尊敬されている人物で、現地では、国の父(バプ)として崇められている。(訳者註)

大きな金儲けのために子どもたちを利用している!!!

-養子縁組はネパールの大きな不正取引の一部分である-

トーマス・ベル氏、ネパールタイムス、2011年10月1日付け

悪徳な児童養護施設のオーナーたちは、監視の目を逃れるため子どもたちをあちこちに移動させているので、正確な数を把握するのは難しいのですが、ネパールの児童養護施設の孤児数は約15,000人であると児童人権保護組織は推定しています。

チベットに隣接しているフムラ地区のような遠隔地の多くの子どもたちは、首都のカトマンズで教育を受けることを約束して、貧しい家庭から誘い出されています。

このことは、不正な養子縁組につながっていて、何千ドルを払ってでもネパールの孤児を求める西洋人に偽の孤児を引き合わせているのです。

ネパールの子どもの人権活動団体であるネクスト・ジェネレーション・ネパールのファリド・アイト・マンサー氏は、こう言っています。「すべてが不正取引に結び付いています。養子縁組は人身売買の一つにすぎません。」

他の子どもたちも結局は、児童売春や児童労働や物乞いをする羽目になっています。政府の中央児童福祉審議会(CCWB)のダルマ・ラジ・シレスタ氏は「ネパール国内での養子縁組が無い時に、児童養護施設の孤児の数はいつも減っている。これは、児童養護施設が孤児を他のどこかに送っているということだ。」そして、「ヨーロッパの国にたどり着いた孤児は幸せかもしれない。不幸なことに孤児の中にはインドや中東の国々に連れて行かれる者もいる。しかし、これらもきちんとした記録が無いのが現状だ。」と述べています。

このような不正取引の蔓延によって、現在は多くの欧米諸国がネパールからの養子縁組を取りやめているのですが、新たな金儲けの波が起きています。それは、インターネットを使って海外のボランティアをネパールに呼んで偽の児童養護施設で働いてもらうというやり方です。ある外交官は次のように言及しています。「不正取引者にとって、これらのボランティアが大きな金のなる木になっている。」「もし、このような収入源にならなければ、彼らを呼んだりしない。」

もう一つの外国筋はこう語っています。「短期間のボランティアでやって来る外国人の目的は、純粋なボランティアの場合もあるが、別の意図で来る場合もある。」

これらのボランティアは事前に適性や経歴などの審査は行っていません。CCWBのシレスタ氏は、ボランティアによる子どもたちへの性的虐待があると指摘しています。そして、ネクスト・ジェネレーション・ネパールは、外国人からの膨大な寄付に対して、時々子どもたちが悲惨な状況に置かれていることの証拠を得ています。さらに、児童養護施設のオーナーたちは、ボランティアが去った後、プレゼントされた子どもの服やおもちゃを売り飛ばすこともあります。また、両親に約束した子どもたちへの教育さえも果たさないままになっていることがあります。

いくつかのNGOは、子どもたちがこの不正な金儲けの仕組みに不必要に巻き込まれる懸念があるため、児童養護施設からの資金調達をやめていまます。

しかし、グーグルサーチは、たくさんの民間旅行会社がネパールでのボランティア旅行プランを提供していることを明らかにしています。そして、ボランティアはネパールに到着後、何千ドルも支払うことになっているのです。

カトマンズのターメルにあるいくつかの旅行会社は、子供たちの家と怪しげなつながりを持っています。CCWBは454軒の児童養護施設のリストを持っており、そのほとんどがカトマンズ・バレーにあり、多くは未認可の施設です。

CCWBのシレスタ氏は「ポクハラ地区やチトワン地区には、劣悪な児童養護施設が存在している。」と言い、児童養護施設の基準はAからDまでのランクがありますが、これらの施設の多くは、CやDの低いランクに該当しています。さらに、シレスタ氏によると、力のある児童養護施設のオーナーたちは、ヨーロッパの援助資金提供者と良い関係を持っていて、安定した資金調達を行い、ネパール政府の無規律で簡単な政策を期待しています。そして、彼らはヨーロッパを頻繁に歩き回り、偽の児童養護施設のために新たな援助資金提供者を探しているのです。

ネパール政府は子どものいる家に対して効果のある政策を出していません。子どもが児童養護施設に本当に入る必要があるかどうかを的確に審査する方法がないのです。また、政府はバル・マンディア地区を含めたネパールの児童養護施設に対して資金拠出を行っていません。そのため、彼らは他のところで資金を調達しようとしているのです。

シレスタ氏によると、救出した子どもたちを保護する場所がないのでCCWBはめったに行動しませんが、不正な児童養護施設のいくつかに対しては早急に閉鎖することを迫っています。一方でシレスタ氏は「良い児童養護施設も存在する」と認めています。最後に、不正な児童養護施設においては起きたことを聞いてみると次の通りでした。

体罰、拷問、性的虐待、路上での物乞い、一日一回だけの食事、病気にかかっても治療しない、学校に行かせない など。