カナダにも存在する人種差別

カナダにも人種差別は存在し、それについて話し合うことが大切だという

クレイグのコラムを以下に紹介します。

(The original article:原文)

http://www.huffingtonpost.ca/craig-and-marc-kielburger/canada-racism_b_5845284.html

先日、カナダの多文化主義政策担当大臣が人種差別的な中傷を受けるという大変皮肉な事件がありました。テニスクラブで週末を過ごした大臣とその家族は、そのクラブを利用していた女性から、シーク教徒(※大臣とその家族の宗教)がテニスクラブの会員である事を良く思っていないという趣旨の発言を浴びせられたというのです。女性は大臣が失業者であると勝手に決め付けていた上で、どうして失業者がここに来るのだと発言したようです。カナダは多文化主義の国ではあっても、まだ人種差別が消えた国にはなってはいないのだという事を思い知らされる事件でした。

8月にアメリカで発生した黒人青年射殺事件きっかけに起こった抗議行動(※詳細は日本語の参照リンクにあります)は、カナダのメディアに、アメリカの人種差別の問題を社会問題として報道や議論をするきっかけを与えました。そしてある意味では、隣国で起きている「いつもの騒動 」として報道していた側面もあります。しかし、それと関連してカナダの人種差別の問題に言及している報道はわずかしかありませんでした。

多くのカナダ人は、この国の多様性を認め、人種差別的な発言に否定的な考えを持っています。しかし、一部の警察官が人種差別的な考えに基づいて捜査や取り締まりをしている実態や、職場で起きている人種差別等、人種差別が解決していない事を認め、どうにかしたいとも思っています。人種差別はカナダにもあります。そしてその事について国全体で話す事が必要です。

1987年、高校教師だったLundさんは、批判を覚悟で、反人種差別団体を設立しようとしている生徒に協力をしました。87年当時、彼らの地元のレッドディアは、ホロコースト否認論論者の教師がヘイトスピーチの容疑で有罪判決を受けた事で世間から注目されていました。白人優位主義者が近くの街で抗議の為にテントを張っているような状況でした。そんな中で当時行動を起こしたLundさんは、現在はカルガリー大学教育学部の教授として、教室を通じて社会をより良くしようという野心を抱いている教員やその卵を指導しています。Lundさんに、カナダ人が差別の問題について話がしやすい状況を作るにはどうしたら良いかを聞いた時に教えてくれた事は[人々は微妙な問題について話す準備が出来ていないとは思い込まない]です。

1999年、Lundさんは同性愛者の二人組の学生から、ゲイやレズビアンの学生に対する差別撲滅に協力して欲しいと頼まれます。Lundさんは、同性愛について話すと嫌悪感をあらわにする人が続出するのではないかと憂慮しますが、二人組のこれまでの体験を聞いた大学の教員は深く感銘を受け、アルバータ州初のゲイとストレート(異性愛者)がオープンに共に活動出来る団体の設立に協力しました。

差別について気軽に話が出来る環境も作りも時には効果的です。学校でライブを開き、学生バンドと先住民のラップグループがコラボして、人種差別について話す時間をライブ中に入れた例もあります。

差別的な発言に感情的になりすぎるのも良くない時があります。特に葛藤しやすく自分と向き合おうとしている若者はそんな言動をしてしまう時もあるモノです。そんな時は、頭ごなしに叱らず自分のやった事の重大さを丁寧に話せば、自分のやった事を思い直して、最終的には正しい方向に進む生徒も多いとLundさんは云います。

Lundさんは、若者は「大人が避けている微妙な問題」について真剣に向き合いたがっていて、大人は彼らの話を聞く必要があると指摘します。多文化主義と宣言するだけで人種差別は無くなりません。差別について話をする事から始めてみませんか?

参考リンク
http://www.ctvnews.ca/canada/multiculturalism-minister-target-of-racist-remark-1.1999964
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052970204162404580100413444109380

http://www.theglobeandmail.com/news/national/holocaust-denier-and-former-alberta-teacher-jim-keegstra-dead-at-the-age-of-80/article19155171/

(翻訳:翻訳チーム 清田健介)