「聖戦」に向かうカナダの若者たち
ハフィントンポストのクレイグとマークのコラムの紹介です。
パーティー好きの大学生だったコリン。大工として働きながら、X線技師を志していたソマリアからの移民のアリ。イスラム教に改宗して鬱病を克服するきっかけを掴んだように見えたダイアン。 全く違う生い立ちのこの3人は、海外のテロ組織に加わりました。150人程のカナダ人がこのような組織にいると推定されています。
多くの若いカナダ人が世界を変えたいと思っていて、外国で学校建設の為にシャベルを握ったりしています。その一方で、同じ思いを持ちながら、シリアで武器を手に握る若者がいるのです。支援活動等に参加する若者と、戦いを選ぶ若者。この選択の違いはどうして起こっているのでしょうか?若者が過激派に巻き込まれないためにきることはあるのでしょうか? 過激な思想とテロリズムについての専門家である社会学者のDawson氏と、政治学者のZekulin氏に意見を聞きました。
テロリストに関する社会学的研究はまだ殆どありません(テロリストは聞き取り調査などには消極的です)が、Dawson氏は公表されている彼らの学歴や年齢等から、一定の傾向を探っています。その研究によれば、過激な思考に導かれる人の低年齢化が年を追う事に進んでいるそうです。
主流な理論として、Dawson氏は、若者が芸能人に影響され、自我を確立しようとする傾向を指摘します。誰かの真似をする事で自分が何者かを知ろうとするということです。Zekulin氏は、孤立した若者が過激派に惹かれると指摘します。「聖戦は最高」という考え方が浸透していると指摘する人もいます。
「聖戦は最高」運動の浸透はイギリスで特に進んでいます。イギリス出身の戦闘員がアジトでゲームやパソコをしてくつろいでいる写真をネット上に拡散させて、生活を魅力的に見せることで、若者をテロ組織に勧誘しようとしているのです。
過激な行動を取った若者を知っている人の多くが、その若者がいかに真面目で頭の良い好青年だったのかを強調します。Dawson氏は、それは不思議なことではないといいます。[善良な子は、社会で多くの問題が解決されていないことに憤り、それが怒りにつながることもあるのです]と..
Zekulin氏は、ヨーロッパで行われている問題を抱えた若者を過激な考えから守る取り組みに注目しています。このような取り組みは危険な思想に代わる別の考え方を若者に示すことを目指しています。Dawson氏は、[若者に世界に前向きな形で世界のためにできることがあると教える必要がある」といいます。この取り組みはそのようなモノの一つといえるでしょう。
残念ながら、私たちはまだこの問題の解決策を持っていません。しかし、コリンやアリ、ダイアンがシリアで亡くなっているという事実を重く受け止め、この問題と向き合わなければなりません。
以下は、翻訳チームのこの記事の翻訳をしてくれた清田健介さんのコメントです。
※この記事の原文が公開された直後、モントリオール、そして私が留学していたオタワで、カナダ軍の兵士が犠牲となった事件が相次いで発生しました。今の段階で要因を断定するのは難しいですが、シリアのテロ組織に影響を受けたのではないかという報道もあります。この記事には、今の世界で起こっていることの背景、そしてそれにどう向き合ったらいいのかを考えるヒントがひょっとしたらあるのかもしれません。