昔ながらのやり方が世界の糖尿病患者を救う?

クレイグとマークのコラムの紹介です。糖尿病問題に取り組む若者の話です。

http://www.timescolonist.com/life/global-voices-an-old-school-solution-for-diabetes-1.1492004

Rakhraが子どもの頃、糖尿病患者だった彼の祖父は階段でころげ落ちて腰を骨折し、数ヶ月間痛みに苦しみ衰弱して亡くなりました。成人したRakhraは糖尿病で父親を失ったカンボジアの少女のことを聞きながら、祖父を思い出していました。教師を目指していたこの少女は、孤児となり学校に通うのも困難になってしまったのです。カナダとカンボジア、二つの全く違う国で暮らす彼らの人生に、糖尿病は大きい影響を与えたのです。

貧困地域で流行る病気を考えろといわれて、エイズやマラリア、結核(そして今はエボラという人も多いでしょう)と答える人がいても、糖尿病と答える人はあまりいないでしょう。でも、今の糖尿病患者の五人中四人は、開発途上国に住んでいます。(国際闘病病連合より)

カナダは糖尿病患者に必要な医療が受けやすい国ですが、開発途上国では大多数の人が血糖値測定器を買えるお金がありません。その為、糖尿病であっても多くの人が適切な医療を受けられず、失明や心臓病、腎不全などの深刻な合併症を発症しています。毎年300万人~400万人の命が糖尿病で失われています。

世界がエイズやエボラに集中する中、Rakhraと四人のヨーク大学シューリック・ビジネススクールに在籍するカナダ人社会起業家たちは、ビジネス的な観点から糖尿病問題に取り組み、学部生としては初めて、Hult賞のファイナリストになりました。彼らをファイナリストにしたアイディア、それは何十年も前の技術を使い糖尿病の問題に取り組むというモノでした。

この賞では、ビジネスを学ぶ世界中の学生を対象に、企業が国際問題解決のためにできる事は何かというアイディアを募集しています。今年のテーマは、「生活習慣病を抱える都市部のスラム街の住民のためにできる事」でした。Rakhraと四人のチームメートには全員糖尿病を抱える家族がいた為、糖尿病が彼らのテーマになるのはある意味当然の成り行きでした。

今年始め、彼らはインド農村部とムンバイのスラム街に行き、現地の糖尿病患者が直面している問題を調べました。その結果、経過観察が大きな課題である事が分かりました。

糖尿病患者は、その日の血糖値によって、薬の種類や食事の内容を決める為、血糖値を測る事は日常生活において不可欠です。インスリン錠剤などの薬はインドの医療制度の下で提供されますが、国からの保障が無い血糖値測定器の費用は、インドの貧困層の平均月収の七割分に相当します。測定器が購入できない患者は、日々適切な対応を取るのが困難になり、最悪の結果を迎えてしまう可能性が高くなります。

大きな課題に直面したRakhraたちは、測定器が発明される前の時代には、化学的に処理された紙に尿を付けて血糖値を測っていたという事を突き止めます。(妊娠テストと似ていますね) 紙の色は血糖値の度合いによって変化します。このやり方は測定器程の正確な値は出せませんが、低価格で糖尿病患者に必要な測定ができます。これは開発途上国の地域にとっては理想的なやり方といえます。

再びインドに渡ったRakhraたちは、彼らが考えついたやり方を現地で試しました。現地の糖尿病患者たちは、処理された紙を使えば血糖値を低コストで測る事ができるという手軽さに感激していたといいます。「この方法を教えた時、現地の人がほっとした表情していました」とRakhraと共に活動するKhambatiはいいます。

このビジネスモデルは、化学的に処理された紙を月間月2ドルで購入すれば実施可能です。携帯を持つ患者は、携帯を通じて血糖値を医者や専門家に送信し、必要なアドバイスをすぐに受けられれば、糖尿病と日々上手く向き合う事ができます。Khambatiは、このようなビジネスは、政府が医療にお金きちん使っておらず国際機関からの支援が不充分な地域で大きな需要を生み出せるといいます。既存の組織が対応できない問題に挑む素晴らしい社会起業家がまた生まれました!

Rakhraたちは、賞金100万ドルを手にすることはできませんでしたが、投資家から事業を支援したいとの申し出が何件か来ているそうです。糖尿病で大切な人を失う事がない世界の実現を目指して、五人の若者は歩み続けています。

(訳者 翻訳チーム:清田健介)