世界が停滞気味だった2014年をふりかえる

クレイグとマークのコラムの紹介です。

http://www.weday.com/global-voices/2014-wasnt-exactly-year-worth-tweeting/

先日、カナダ人が2014年にツイートしたニュースベスト10が発表されました。その内六つがホッケーについて、二つが銃撃事件、残りはトロント市長選とカナダ建国記念日についてでした。

ホッケーの勝利は愉快ですが、社会問題や環境問題に関する明るい話題が入っていると嬉しいなと思ったのが本音です。そもそも、この2014年、人類は平等な世界の実現に向けてどこまで前進したのでしょうか?私たちは、世界が多くの問題に直面しながらも、素晴らしいこともあったいろんな意味で複雑な1年だったと思っています。

私たちは今年の本コラムにて、先住民の女性たちが殺人事件の犠牲者になったり、行方不明になる確率がカナダ社会の中で突出して高い現状を指摘しましたが、先住民の少女が死体遺棄された悲劇などが発生しても尚、カナダ政府は行動を起こしていません。(※先住民の住む地域などで、女性が事件に巻き込まれている現状を受け、クレイグやマークをはじめ多くの活動家が実態調査をするべきだと訴えているが、カナダのハーパー首相は、特別に調査をする必要はないとしている)

2014年は先住民問題に関しては歴史的な年でした。Idle No More(※これまで政府が保護してきた先住民の土地に対する規制緩和を行っているハーパー政権への抗議活動。2年前を中心に環境活動家も参加)はまだ衰えてはいません。都市部での先住民の市長誕生、14年越しに実現した先住民住居地区での新たな学校建設などがありました。しかし、未だにあまりに多くの先住民が学校や清潔な水を待ち続け、多くの女性が事件に巻き込まれても誰も責任を取っていません。

今年の特別な出来事は、やはりマララ・ユスフザイさんとカイラシュ・サティヤルティさんのノーベル平和賞受賞です。これは国際的な子どもの権利にとって重要な勝利です。子どもを児童労働から解放し、全ての子どもを学校に通わせなければ地球が平和にはならないと世界が認めたのですから。

しかし、全体的には、今年は世界平和とは程遠い1年でした。ロシアによるクリミアとその他のウクライナの地域への軍事行動、それに対する西側諸国の反応を見る限り、世界は新たな冷戦への道を突き進んでいます。新たに明らかになったCIAの拷問の実態は、人類の善良な心はホンモノなのかと疑いたくなってしまうモノでした。中東での、ガザやシリアやイラクでの暴力はより残酷になるばかりです。

環境問題では、先月のアメリカと中国の温室効果ガス削減の合意により、世界の温室効果ガスを出している大物の張本人たちがやっと気候変動に取り組むのではないかという期待が高まっています。しかしながら、我々にはそれは無関係のようです。(※EUや米中が2020年以降の温室効果ガス削減計画を出している中、カナダは未だにその計画を出していない。因みに、日本も全く同じ問題を抱えている。) カナダ緑の党のメイ党首は国際社会の動きに相変わらず絶望しながらも、何もないよりは良かったと思っているようですが..

このまま暗い調子で進めたくはないので、今年あった明るい話題も紹介します。 エマ・ワトソンの国連での演説は女性の地位向上を求める運動に男性も参加できると訴えました。スコットランド独立の是非を問う住民投票への若者の意欲的な参加は、若者の低投票率は仕方がないと考える人を刺激し、考え直すきっかけを与えています。ソチ五輪直前にロシアが施行したセクシャルマイノリティーへの差別的な政策(※公共の場でセクシャルマイノリティーであることをオープンにして行動、表現する事を禁じる政策。ソチ五輪中も実際にトランスジェンダーのイタリアの国会議員が逮捕された。欧米を中心に抗議運動も行われた )は、オリンピック憲章に性的指向を理由とした差別の禁止を新たに制定することに繋がりました。

しかし、私たちは世界が2015年に多くの課題で挫折するよりも、前進がより多くなる年になって欲しいと思っています。そのチャンスはすぐそこにあります。

来年は、ミレニアム開発目標の最終年度です。今こそ、世界が貧困の無い社会の実現という夢の実現に向かって新たな計画を示す時です!

国連気候変動パリ会議を一年後に控え、既に動きが活発化していますが、私たち地球に住む生命が直面する脅威に立ち向かうために、世界はついに来年合意するのでしょうか?

2015年の中盤には、多くの人の証言で既に知られているかつての先住民の子どもへの同化政策(※19世紀から、カナダ政府が手動して、先住民の子どもを家族から引き離して宿舎学校に入学させ、キリスト教や英語を強制したとされる政策。1995年に最後の宿舎学校が閉校するが、2008年になってようやくカナダ政府が公式に認め謝罪した)の報告書が出されます。これが、先住民と非先住民の人々の新たな対話のきっかけになることを望みます。

このような機会を活かすことができれば、2015年は世界の前進についてツイートせずにはいられない年になるでしょう!
参考リンク

ツイッターのトレンド in カナダ
http://o.canada.com/news/most-tweeted-about-2014-news-stories-559411

カナダの先住民
http://www.huffingtonpost.ca/craig-and-marc-kielburger/aboriginal-women_b_4638968.html
http://www.cbc.ca/news/canada/manitoba/tina-fontaine-15-found-in-bag-in-red-river-1.2739141
http://www.cbc.ca/news/canada/manitoba/harper-rebuffs-renewed-calls-for-murdered-missing-women-inquiry-1.2742845
https://www.youtube.com/watch?v=2DeWNZY7Ves
http://www.winnipegfreepress.com/opinion/columnists/high-hopes-for-first-indigenous-winnipeg-mayor-280400052.html
http://www.huffingtonpost.ca/craig-and-marc-kielburger/attawapiskat-new-school_b_5883002.html
http://www.cbc.ca/news/canada/a-history-of-residential-schools-in-canada-1.702280

ノーベル平和賞
https://ftcj.org/archives/12351(日本語)

ウクライナ情勢
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201411/2014110900020(日本語)

CIA
http://www.afpbb.com/articles/-/3033846(日本語)

気候変動
http://www.huffingtonpost.jp/2014/11/11/greenhouse-gas-us-china_n_6143062.html (日本語)

http://www.theglobeandmail.com/news/politics/canada-wont-meet-2020-greenhouse-gas-emission-targets-report/article21998423/
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/578734.html(日本語)

http://elizabethmaymp.ca/news/2014/12/14/down-to-the-wire-was-the-lima-decision-better-than-nothing/

活躍する若者
http://www.huffingtonpost.jp/emma-watson/we-want-to-end-gender-_b_5871850.html(日本語)

http://cnews.canoe.ca/CNEWS/Good_News/2014/10/23/22027646.html

五輪とセクシャルマイノリティー
https://www.youtube.com/watch?v=iWgJ_iA9Xc8
http://www.hrw.org/ja/news/2014/09/25-0(日本語)

ツイッターのトレンド in 日本 (おまけ)
http://www.biglobe.ne.jp/special/2014matome/index_07.html#1

(訳者:翻訳チーム 清田健介)