世界の全ての子どもたちに、失敗を経験する機会を!;失敗が教育と同じぐらい大切な訳

クレイグとマークのコラムの紹介です。

http://www.we.org/we-at-school/we-schools/columns/living-we/why-the-world-needs-you-to-let-your-kids-fail/

 

テック系の企業が集う、アメリカのシリコンバレー。この街には、

知る人ぞ知る秘密のスローガンがあります。「失敗をしよう!」

です。

 

この街では、失敗を非常に前向きに捉えています。あの

Facebookのオフィスでも「早めに失敗しておこう!」

「何度も失敗しよう!」と書かれたポスターを見かけま

した。実は、テック系の実業家たちが、「失敗から学べ

ること」をテーマに集う、 「FailCon」という国際

会議もあるんですよ!

 

シリコンバレーのように、革新的な事業や、億万長者が多

く生まれている場所では、「失敗は不可欠であり、成功に向

けた必要なステップである」という考え方が浸透しています。

しかし、私たちの社会では、未だに失敗というモノに対する「偏見」があるように思います。

 

「失敗に対する恐怖心」は、世代を超えて連鎖するようです。

極端な例は、親が子どもの失敗を心配するあまり、子どもの就

活の面接に同席するというようなこともあるようです。

 

親の過保護な対応は、子どもの自己認識に影響を与えるだけ

でなく、他者の失敗に対する認識にも影響します。失敗をさ

せないための親の過保護な対応が、子どもの共感力の形成を

妨げている可能性があるのです。

 

失敗を経験することは自己肯定感を育むだけでなく、自分や

他者を思いやる力(セルフ・コンパッション)を育むことにも

つながります。失敗は誰もがするモノであり、失敗したから

といって自分が完全否定される訳ではないということを..

そういったことを糧にして立ち直り、学び、人間は成長して

いくのです。失敗を経験しなければ、それを学ぶことはでき

ません。私たちの中にあるソフトウェアーが故障したかとい

って、その故障が私たちを覆ってしまう訳ではありません。

私たち人間は、失敗を経験して強くなれるのです。

 

もし子どもたちが失敗に直面する機会を与えられず、

セルフ・コンパッションを育むことができなければ、

子どもたちは共感力を育むことができません。

 

マークは幼い娘の父親であり、クレイグは叔父です。私たち

も、子どもを危険から守りたいという気持ちは痛いほど分か

ります。しかし、「ヘリコプターペアレント」と呼ばれるよ

うな親の行動は、完全に一線を超えてしまっています。

 

現在は、「良い親とは、子どもを困難なことから回避させる親

だ」という風潮が強くなっているように思います。子どもの宿

題の面倒を見ることが求められています。学校では、運動会な

どで順位をつけない学校もあります(全員が勝者だ!というよう

な考え方で)。私たちが、子どもたちが成功しやすい環境を「人

工的に」作っていく結果、子どもたちは運動会で「負ける」こ

となく、過保護に育っていきます。その結果、子どもたちは成

長の機会を失ってしまうのです。

 

子どもたちが、自信をつけ、「健全なリスク」を取り、目標に

向かう力を得ることはとても大切です。失敗を避けていては、

そのような力を育むこともできません。失敗を通じて、子ど

もたちは「自分を許す力」を身に付け、それが他者への思い

やりを育むことにつながっている側面もあるようです。

 

過保護に育てられた子どもたちもやがておとなになり、ホー

ムレスの状態で暮らす人たちや、失業中の人たち、こころの

病気を抱えた人たちに出逢うことになります。しかし、過保

護に育てられた子どもたちは、セフティーネットが当たり前

のモノだと思っているので、なぜ困難な状況に直面する人が

いるのかを理解するのは、困難な作業になってしまうのです。

 

恵まれた家庭で育った子どもたちは、大抵の場合、親が失敗

の根を取ってしまうので、困難な状況を回避するのは簡単だ

と思いこんでしまいます。その結果、恵まれない境遇の人た

ちは誤解され、「怠け者」というレッテルを貼られ、社会か

ら益々孤立していくという悪循環が生まれてしまいます。

 

今の社会では、人種差別的な言動や性差別的な言動をすれば、

少なくとも非難を受け、許容されることはあってはならないと

されています。しかし、失敗を非難することは、時と場合によ

っては容認されているのが現状です。場合によっては人格攻撃

も許されています。「ホームレスなら職探しをするべきじゃないか」

と言っても、あんまり問題視されないというように..

 

私たちは、親として、子どもたちを支えていく者として、シ

リコンバレーの起業家から学べることがあると思います。子

どもたちが、まだ様々なことを吸収している段階で、失敗を

経験させてあげて下さい。そして、他者に共感する力を育て

させてあげて下さい。私たちがもっと頻繁に失敗を経験すれ

ば、思いやりの溢れる社会をつくることができるのではない

でしょうか?

 

参考リンク
セルフ・コンパッションとは?

 

http://woman.excite.co.jp/article/lifestyle/rid_E1447298542172/

 

ヘリコプターペアレントとは?

 

http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/13/parent-job-interview_n_3918081.html

 

「順位をつけない運動会」への是非
http://news.mynavi.jp/c_career/level1/yoko/2013/01/post_3008.html