児童労働禁止法修正案を可決したインド議会:「家事労働の児童労働合法化」に広がる批判の声
今回の「世界の子どもニュース」は、インドの児童労働に関するニュースを
お伝えします。
インド議会は、7月26日、児童労働禁止法の改正法案を可決しま
した。この改正法は、14歳未満の労働をすべての職種で禁止し、
違反した雇用主の罰則もこれまでより強化されています。しかし、
休日や放課後の家業での児童労働が合法化され、教育に影響しなけ
れば娯楽産業やスポーツ界で児童が働くことも認めています。また、
危険の職種でなければ、15歳から18歳の未成年者の労働も認められて
います。
政府は、こうした例外は教育とインド経済の現実を両立させるため
に設けられたものだとしています。また、インドでは親が貧困と戦
うため、あるいは職人技を引き継ぐために、農業や家業で子どもを
必要としているという現実もあります。
しかし、国連児童基金(UNICEF)や子どもの人権擁護団体など
は、この改正法が児童の家業の手伝いを合法化し、未成年の就労
禁止職種を減らすものだとして懸念を表明しました。そして、ユ
ニセフはインド政府に対し、法案から家業を除外し、危険職種を
「完全に網羅するリスト」を法案に含めるよう要請しました。
また、ユニセフ・インディアは7月24日に、「“児童が家業を手伝
う”という文言を削除するよう強く勧告する。これは、子どもたち
を搾取や人身売買から守るため、そして、長時間労働で学校に通
えなくなるのを防ぐためである。」との声明を発表しました。
2015年の国際労働機関(ILO)の報告によると、5歳から17歳の
児童労働の数は世界に1億6800万人で、うちインドは570万人と
いうことです。しかし、ユニセフはインドの児童労働者数が280
0万人に上るとしています。
(要約:翻訳チーム 中丸玲子 )