クレイグとマークが、今年の国連事務総長選挙で期待「していた」こととは?

今月、次期国連事務総長を決める選挙が行われ、ポルトガル元首相のグレテネス氏(男性)

が次期国連事務総長に選出されました。クレイグとマークは、今回の事務総長の

選出にあたり、あることを期待していたようなのですが、一体それは何

だったのでしょうか?(清田)

 

https://www.we.org/we-at-school/we-schools/columns/global-voices/un-make-history-year/ 

 

 

※今回のコラムは、事務総長選の投票前に書かれたモノです。

 

最近、世界各地で、女性の政治家がリーダーになったり、有

力候補になったりしていますが、実はある選挙でも、女性の

動向が注目されています。その選挙の結果は、国際情勢にも

大きな影響を与えますが、その選挙があまり注目されることはありま

せん。でも、その選挙を勝ち抜いた人は世界のリーダーとなります。

 

今年の夏、潘基文現国連事務総長は、次期事務総長に女性が

なって欲しいという意思があることを表明しました。

 

国連事務総長には、193カ国が加盟する国際機関の舵取りと

しての役割と同時に、熱意を持って各国を取りまとめ、地球

規模の課題解決に各国が協力できるような環境作りに尽力す

ることが求められます。

 

国連創設以来の70年の歴史において、歴代八人の事務総長が

いますが、この中に女性はいません。カナダ国連協会のキャ

スリン・ホワイト会長は、女性が国連の舵取りを行う時がく

ることを望んでいます。

 

「女性が国際的な場でリーダーシップを取るべきだと思う

んです。」トロント大学で国際情勢の研究をしている、27

歳の大学院生のMieka Buckley-Pearsonも言います。彼女

は、世界各国の大学生が集まるカナダ国連協会の総会(国連

総会を模したイベント)に於いて、二度事務総長を務めました。

私たちも、今こそ本当に女性が国連事務総長になるべきだと

考えています。今の国際社会の重要課題は、女性の権利の問

題でもあるからです。児童婚、性差を理由とした暴力、そし

て貧困や気候変動においても、女性が受ける影響は極端に大きいからです。

今挙げた問題の解決に取り組む上で、国連は非常に大きい役割を担っています。

「持続可能な開発目標」においても、ジェンダー平等は中心的な課題の一つにな

っていると、ホワイト会長も指摘します。近年、国連は、紛争地に於いて女性を

保護する決議や、和平プロセスに女性を含むといった趣旨の決議の採択もしてい

ました。

 

しかし、Buckley-Pearsonは、国連は女性の問題にもっと取

り組むべきだと主張します。女性が事務総長になることで、

女性が抱える問題に対する国連の取り組みが加速し、具体的

な戦略を練ってくれるのではないかという確信が持てるとい

う考えです。「もし女性がトップにならなければ、国連の女

性の権利の問題に関する姿勢は、曖昧なままで透明性も確保

されそうにないような気がするんです」(Buckley-Pearson)

 

国連事務総長の選出は、加盟国による候補者の選定から始ま

ります。候補者は、現あるいは元外務大臣、国家の首脳経験

者、あるいは国連の組織を率いたことのある個人から選定さ

れます。かつて、このような役職に就いていたのは、男性ば

かりでした。しかし、今は女性の首脳や外務大臣も増えてきました。

 

候補の資格を有する女性が増えてきたことは、既に国連の事務

総長選に変化を起こしています。これまで、事務総長線に立候

補したことがある女性は三人だけでしたが、今年だけで四人の

女性が、ラテンアメリカ、東欧、ニュージーランドから立候補

しています。(実はもう二人女性の立候補者がいたのですが、事

務総長選からの撤退をしました)

 

候補者が選定されると、安保理での面接が行われます。また、

今年は国連総会の期間中に候補者のタウンホールミーティング

も開催されました。タウンホールミーティングでは、候補者に

対して各国の代表者が質問する場も設けられました。最後に、

安保理が次期総長にふさわしいと思う候補者を指名し、国連総

会で加盟国による承認が行われます。

 

ホワイト会長は、事務総長の選出は、国家の選挙顔負けの非

常に政治的なモノで、ロビー活動や選挙運動が結果を左右す

るといいます。そのような政治的な場で、女性候補者が不当

な扱いを受けている(しかも周りはそれに対して無自覚)なこ

とも起こっているといいます。タウンホールミーティングの

際、四名の女性候補者全員が「あなたが自分を強いリーダー

だと思う理由は何か」という質問を浴びせられた一方で、男

性候補者はそのような質問を一切受けなかったといいます。

 

首相がフェミニスト宣言を堂々としているようなカナダでは、

世界中で女性が基本的人権を得られずに苦しんでいるという事

実が見逃されがちです。世界のトップに女性が就くことで、女

性への世界の見方が変化するきっかけになるかもしれません。

「女性が国連の事務総長になることは、国家だけにのみならず、

国連の機関や、経済界にジェンダー平等の重要性を訴える強いメ

ッセージになると思います」とBuckley-Pearsonは語ります。

 

そのメッセージは、世界がいま切望しているメッセージでは

ないでしょうか?

 

参考リンク

 

次期国連事務総長に選出されたグレテスポルトガル元首相

 

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/10/next-secretary-general-un.php

 

女性事務総長の誕生を希望すると明言していた潘基文現事務総長

 

https://jp.sputniknews.com/politics/201608162648048/

 

「持続可能な開発目標」で謳われているジェンダー平等の重要性

 

http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sdg/post-2015-development-agenda/goal-5.html

 

国連事務総長選について

 

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/248751.html

 

「フェミニスト宣言」したカナダのトルドー首相(そしてオバマ大統領)

 

https://www.buzzfeed.com/sakimizoroki/i-am-a-feminist?utm_term=.qdzyXXp580#.dyzkmmp5e3